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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立不成立) K0
管理番号 1211345 
判定請求番号 判定2009-600030
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2010-03-26 
種別 判定 
判定請求日 2009-08-17 
確定日 2010-01-29 
意匠に係る物品 フレンチドア式陶磁器焼成炉 
事件の表示 上記当事者間の登録第1311616号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「フレンチドア式陶磁器焼成炉」の意匠は、登録第1311616号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由
1 請求人の申立及び請求の理由
1-1 請求の趣旨
本件判定の請求人は、イ号物品写真及びその説明書により示される意匠(以下、「イ号意匠」と言う。)は、登録第1311616号意匠(以下、「本件登録意匠」と言う。)及びこれに類似する意匠の範囲に属するとの判定を求めると申立て、証拠方法として、甲第1号証(枝番1?3)、甲第2号証及び甲第3号証(枝番1?23)を提出した。

1-2 請求の理由
正面に設けられた扉について、本件登録意匠は、両開きではあるものの、フレンチドア式(スイング式)である点で、左右にスライドして開くスライド式であるイ号意匠とは異なる。しかし、当該物品が取り引きされる場合には正面扉が閉まった状態となっているため、その開閉の形式の相違は意匠上の大きな相違とはならず、両意匠は、正面中央に開き目が存在するという点で、常態では大きな意匠上の類似性を有する。

2 被請求人について
本件判定の判定請求書及び同時に提出した甲第1号証の1?3の記載によれば、請求人は、平成21年7月13日に、大阪府大東市の大東市立文化センターに、イ号意匠に係る電気陶芸窯(以下、「イ号物品」という。)が設置されたことを発見したとしているが、判定請求書に被請求人を表示していない。
そこで、当審判合議体は、請求人に対し、被請求人の表示がない理由について審尋したところ、請求人は、同文化センターより、本件判定の結果以前にイ号物品の納品元との間で係争を生じさせたくないため、相手方を特定しないことを条件にイ号物品の撮影を許可された点及び、本件登録意匠の出願人は、大東市の入札資格を有する事業者であり、同文化センターの意向を無視して判定請求することができない旨回答した。
本件判定請求は、「属する」との判定を求めるものであるが、前記のとおり、証拠方法の入手と引き替えに請求人の行為が制約され、請求人の意図により相手方を秘したものではないから、被請求人を特定しない判定の請求として審理する。

3 本件登録意匠
本件登録意匠は、2007年(平成19年)2月19日の意匠登録出願であって、同年8月23日に意匠権の設定登録がなされたものであり、意匠に係る物品を「フレンチドア式陶磁器焼成炉」とし、その形態は願書及び添付図面に記載されたとおりのものである(この判定に添付した「図面第1」)。

4 イ号意匠
イ号意匠は、2009年(平成21年)7月13日に、本件登録意匠 が特許庁発行の意匠公報に掲載後の、平成21年7月13日に、大阪府大東市の大東市立文化センターに、イ号意匠に係る電気陶芸窯が設置されたことを発見し、自らカラー写真を撮影したものであって、その正面から視た意匠は、甲第1号証の1?3に示すとおりのものである(この判定に添付した「図面第2」)。なお、正面以外の方向から撮影した写真は提出されていない。

5 本件登録意匠とイ号意匠の対比
本件登録意匠とイ号意匠は、いずれも陶芸用の電気釜に係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、形態については、主として以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。
まず、共通点として、形態全体は、やや奥行きの短い略直方体状の筐体の内側に焼成窯を収容し、前面(正面図に現した形態)に、左右両開きの扉をその周囲に筐体前面の余地部を残して取り付け、筐体の右側面に機構部を覆う縦長直方体状のカバー(以下、「右側面カバー部」という。)を取り付けている点が認められ、各部の具体的な態様において、左右の扉の前面にそれぞれ縦長扁平直方体状のカバー部(以下、「扉面カバー部」という。)を取り付け、筐体の底面四隅に短い脚部を形成している点が認められる。
一方、具体的な態様の差異点として、(1)筐体上面の態様について、本件登録意匠は、筐体上面の前後両方に、それぞれ左右両端の短い支柱により支持した横棒を横方向水平であって筐体上面に平行して前後左右対称状に形成しているのに対し、イ号意匠は、そのような態様を一切構成していない点、(2)筐体前面の上下両端の構成態様について、イ号意匠は、扉の開閉操作のためのガイドレール部を取り付け、その左右両端を筐体の左右両端よりもそれぞれ突出して長い態様に形成し、さらに下方のガイドレール部の下側に平行して棧状の部材を取り付けているのに対し、本件登録意匠は、そのようなガイドレール状の部分及び棧状の部材を取り付けた構成態様が見受けられない点、(3)左右の扉の開閉態様について、本件登録意匠は、左右に観音開き(フレンチドア式)としているのに対し、イ号意匠は、扉を左右に滑らせて開くスライド式とし、やや幅広の略「コ」字形型材状の支持脚部(以下、「扉支持脚部」という。)を左右の扉のそれぞれ前方縦方向に跨って取り付け、かつそれぞれ上下両端を後方へ直角状に形成して前記ガイドレールに滑らせて移動可能な構成態様としている点、(4)左右の扉の前面の態様について、本件登録意匠は、それぞれ周縁を縁枠状としてさらに左右に二分する縦枠を設けているのに対し、イ号意匠は、そのような枠を設けず、左右の扉の召し合わせ部分の上下両方に施錠部を取り付けている点、そして、(5)扉面カバー部の態様について、本件登録意匠は、左方の扉の左上隅及び右方の扉の右上隅であって、いずれも扉の上面へ側方視鉤状に突出して取り付けた態様であるのに対し、イ号意匠は、左方の扉の左下隅寄り及び右方の扉の右下隅寄りにそれぞれ取り付けた態様である点が認められる。

6 本件登録意匠とイ号意匠の類似性についての判断
前記共通点及び差異点を総合し、両意匠が意匠全体として類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について以下考察する。
まず、共通点について、形態全体についての前記共通点は、この種陶磁器用窯に多数見受けられ、また、扉面カバー部を設けている共通点についても、本件登録意匠及びイ号意匠のほかに、左右の扉のそれぞれ前面に温度制御装置等を設けてカバーを取り付けた態様のものが見受けられ、いずれも両意匠のみに共通する点とは言えないものであるから、これら共通点を以て、直ちに両意匠が互いに類似するものと言うことはできない。
一方、前記各差異点について考察すると、差異点(1)については、本件登録意匠の、筐体上面の前後両方に短い支柱で支持した横棒を取り付けた態様は筐体上面を特徴づけている点であり、一方、イ号意匠には、筐体上面を特徴づける構成態様が認められないから、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。差異点(2)については、イ号意匠のガイドレール部は、その左右両端を筐体の左右両端よりもそれぞれ突出して長い態様に形成したものであり、また、左右の扉の開閉操作などの使用時に注意を払う部位の態様についての差異であるから、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。差異点(3)については、左右の扉を観音開きとするか左右にスライド式とするかの差異自体は両意匠のみの差異点ではないとしても、イ号意匠の支持脚部は、左右の扉のそれぞれ前方縦方向に跨って取り付けたやや幅広の略「コ」字形型材状であり、また、扉の開閉時にガイドレールに滑らせて移動する構成態様としたものであり、筐体前面を特徴づけている態様であるから、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響はきわめて大きいと言える。差異点(4)については、本件登録意匠は、それぞれ周縁を縁枠状としてさらに左右に二分する縦枠を設けているため、同形同大の縦長長方形の枠が4つ連続している意匠的な効果を生じているのに対し、イ号意匠は、縁枠状部分のないシンプルな態様にとどまり、差異点(5)に係る態様と相俟って、筐体前面に異なる美感を生じていると言える。
そして、これら差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、本件登録意匠とイ号意匠の形態全体に異なる美感をもたらしていると言えるから、差異点は、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。
したがって、本件登録意匠とイ号意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、形態については、共通点よりも差異点が相乗した意匠的な効果が両意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいから、両意匠は、全体として美感が異なり、互いに類似しないものである。

7 むすび
以上のとおりであるから、イ号意匠は、登録第1311616号意匠およびこれに類似する意匠に属しない。
よって、結論のとおり判定する。


















別掲
判定日 2010-01-19 
出願番号 意願2007-3934(D2007-3934) 
審決分類 D 1 2・ 1- ZB (K0)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 玉虫 伸聡小林 裕和 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 鍋田 和宣
並木 文子
登録日 2007-08-31 
登録番号 意匠登録第1311616号(D1311616) 
代理人 特許業務法人京都国際特許事務所 
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