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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1212864 |
審判番号 | 不服2009-19623 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-14 |
確定日 | 2010-02-16 |
意匠に係る物品 | 包装用びん |
事件の表示 | 意願2007- 26914「包装用びん」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は、平成19年10月2日の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「包装用びん」とし、その形状を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 2.原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するというものであり、その引用意匠は、特許庁総合情報館が1997年7月9日に受け入れた1997年4月10日のドイツ意匠公報、第2095頁所載の包装用びん(添付図面上向かって右側の包装用びん)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH10042194号)である(別紙第2参照)。 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると、意匠に係る物品については、共に「包装用びん」であるから一致し、形状については、下記のとおりの一致点と相違点がある。 (1)一致点 (A)有底略円筒状の胴部上部に、略水平状の肩部を形成し、その中央部に略円筒状首部を形成した基本的構成態様が一致し、 (B)胴部を、中央部が漸次張り出すように僅かに膨らませ、胴部と肩部の境界を角張らせ、首部上端に円環状縁部を形成した、具体的構成態様が一致する。 (2)相違点 両意匠は、具体的構成態様において、 (a)首部について、本願意匠は、全体が上から下まで同一径の円筒状で、円環状縁部を、首部の外形よりも僅かに大きい程度とし、びん全体の長さに対して約3/10の長さとしているのに対して、引例意匠は、上端から下端へとやや窄めた略漏斗状とし、円環状縁部を凸状に外周へ張り出させ、びん全体の長さに対して約1.5/10の長さとしている点、 (b)胴部の底部について、本願意匠は全体が透明であるため、胴部長さの約10分の1ほどの底厚が視認でき、下端まで胴部の周面が延長されている形状であるのに対して、引例意匠は全体が不透明であるため、底厚は不明であり、下端に形成した段差を介して、胴部より一回り小さな基部が形成されている点、 (c)胴部長さのびん全体の長さに対する割合について、本願意匠は約7/10としたのに対し、引用意匠は約8.5/10としている点が、相違する。 4.類否判断 両意匠の物品は、液体を入れて販売するためのびんであるが、消費者においては手にとって使用されるものであることから、意匠の形状について、需要者は、正面を始めとして様々な角度から確認することによって、意匠を把握するものである。したがって、基本的構成態様のみならず、各部の具体的構成態様ももれなく検討し、意匠全体として類否を判断しなければならない。 そうすると、一致点について、両意匠の一致する基本的構成態様(A)は、意匠全体の骨格をなすが、従来より普通に見られる態様であるので、直ちに類否判断を支配するものでなく、これに加味される具体的構成態様について、さらに検討する必要がある。 両意匠の一致する具体的構成態様(B)については、首部上端の円環状縁部は、具体的な形状に相違があるうえ、上端部に局限されているので、類否判断を左右するものではない。そして、胴部の中央部を僅かに膨らませて胴部と肩部の境界を角張らせた態様は、胴部は意匠全体に占める面積は大きく、肩部との境界部も目につきやすい箇所であるが、これらの形状はこの種意匠において両意匠に独特とはいえないうえに、看者の視認においては、これらの部位だけが切り離されて看取されるものではなく、首部と一体的に視認されるものであるので、首部の相違点と合わせて検討されなければならないものである。 次に、相違点について、首部の相違点(a)は、引用意匠の略漏斗状の形状が、首部を短めにしたことや上端部の円環状縁部をくっきりとした凸状に形成したことと相まって、首部として一つの明らかなまとまりを形成し、本願意匠とは異なる意匠的効果をもたらしているのに対して、本願意匠の首部の形状は、この種物品の意匠において従来より普通に見られるため、この部位のみの視覚効果としては希薄ではあるが、引用意匠とは異なるまとまり感を看者に与えているといえる。 胴部の底部の相違点(b)は、底厚や基部の有無は、透明か否かの相違と相まって視覚効果は大となり、意匠全体の基調の形成に大きな影響を及ぼしている。 胴部長さのびん全体の長さにおける割合の相違点(c)は、共に細長い胴部の範ちゅうにあるが、首部を合わせて意匠全体としてみると、華奢かずんぐりかという一定の視覚的影響を形成している。 以上を総合すると、相違点による視覚効果は一致点による効果を圧しており、特に、首部と底部の相違点による形状は、それぞれ異なる意匠的効果を表しているというべきであり、両意匠は、意匠全体として美感が相違し、類似しないものである。 5.むすび したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものではなく、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-02-01 |
出願番号 | 意願2007-26914(D2007-26914) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 樫本 光司 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 樋田 敏恵 |
登録日 | 2010-03-19 |
登録番号 | 意匠登録第1385680号(D1385680) |
代理人 | 下坂 スミ子 |
代理人 | 中山 俊彦 |
代理人 | 池山 和生 |