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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1216235 |
審判番号 | 不服2009-14988 |
総通号数 | 126 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-06-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-08-19 |
確定日 | 2010-04-09 |
意匠に係る物品 | 携帯用電子計算機 |
事件の表示 | 意願2008- 26397「携帯用電子計算機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2008年(平成20年)10月14日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「携帯用電子計算機」とし,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 拒絶の理由及び引用意匠 原審は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとし,本願意匠に対して拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2008年 5月28日に受け入れた内国雑誌『週刊アスキー 2008年 6月10日 689号』の第9頁所載 意匠に係る物品「ノートパソコン」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA20004801号)であって,その形態は,当該ページの写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 (2)形態 両意匠は,形態について,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (なお,対比の都合上,本願意匠の図中における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。) (共通点) (A)筐体がやや厚みのある横長略矩形板状体であってその上面部に「操作キー部」等を設けた「本体部」と,筐体が薄い横長略矩形板状体であってその内面に表示画面部を設けた「蓋体部」が,ヒンジ部を介して開閉可能に接合されてなるものである点, (B)本体部は,その上面のやや上寄りに,入力キーなどの操作キーを集合させた操作キー部を設け,その上下を横長細幅な「縁部」としたものであって(以下,正面から見て手前側を「手前縁部」という。),手前縁部には略矩形状の「タッチパッド部」を設け,その側面部には,各種の入出力用接続端子部などを設けた点, (C)蓋体部は,四辺にやや幅のある枠状の「縁部」を設けてその内面の中央に横長矩形状の「表示画面部」を設けた点, (D)タッチパッド部の具体的態様が,横長矩形状のパッド部の左右に縦長矩形状の押しボタン部を設けたものである点, (E)操作キー部のキートップ配置の態様が,横4列で区域の中に収めたものである点。 (相違点) (ア)ヒンジ部の態様について,本願意匠は,ヒンジが本体部と蓋体部の間に細長い円柱状体を埋め込んだようになっているものであり,本体部と蓋体部が180°開くものであるのに対して,引用意匠は,ヒンジが本体部と蓋体部の間の左右2箇所に設けられており,本体部と蓋体部が180°までは開かないものである点, (イ)本体部と蓋体部の筐体の態様について,本願意匠は,いずれも扁平な略直方体であり,また,平面視した筐体の四隅のみがそれぞれ小さい円弧状の隅丸状にされたものであるのに対して,引用意匠は,本体部が背面側から正面側へ厚みが薄くなって側面視略「くさび」状をなしており,また,本体部の底面側と蓋体部の上面側の筐体の角部がすべて緩やかな丸面状に面取りされたものである点, (ウ)本体部の正面側の態様について,本願意匠は,正面中央上寄りの細い横長略矩形状部に9個の発光灯を連設した「発光部」を設け,正面の左右に一対の略横長矩形状の区域に円孔を縦横に配列してなる「スピーカー放音孔部」を設けたのに対して,引用意匠は,正面の左端と右側のやや中央寄りの2箇所に,横長の陸上競技場トラック型状の凹部に円形凸状の発光部を設けたものである点, (エ)蓋体部の表示画面部の縁部の態様について,本願意匠は,上方の縁部の中央に小さい矩形状のカメラ部を設け,左右上下の四隅に小さい正方形状の突起部を,そして,左右の両縁部の中央端部に縦筋状の突起部を設けたのに対して,引用意匠は,カメラ部は認められず,左右両縁部に縦長矩形状で高さが表示画面部に等しいスピーカー放音孔部を設け,左右上方の両隅に円形状部を設けたものである点, (オ)タッチパッド部の配置態様について,本願意匠は,手前縁部の左右方向の中央で,上下に細幅状の余白を残して配置されているのに対して,引用意匠は,手前縁部の左右方向のやや左寄りで,その高さは手前縁部にほぼ等しいものである点。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断すると,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,形態については,以下のとおりであって,両意匠は意匠全体として見た場合,類似するということはできない。 すなわち,両意匠において共通する態様に係る前記共通点(A)ないし(E)は,両意匠の形態全体に渡るものであるが,この種物品分野,すなわち,ノートブック型電子計算機の先行意匠に照らすところ,ありふれた態様であって,両意匠にのみ特徴なものとはいえないから,これのみをもって両意匠の類否判断を決定付けているものということはできない。 これに対して,相違点(ア)ないし(オ)は,それぞれが見る者に異なった印象を与えるものであって,とりわけ,相違点(ア)において,本願意匠は,ヒンジが本体部と蓋体部の間に細長い円柱状体を埋め込んだようになっているものであり,かつ,本体部と蓋体部が180°開くものである点は,本願意匠のみの特徴点といい得るものであって,これらの相違点が相乗した効果を考慮すると,共通点が両意匠に及ぼす影響をはるかに凌駕し,意匠全体として両意匠に別異の印象を与えているものというべきであるから,両意匠が類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原審の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,さらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-03-25 |
出願番号 | 意願2008-26397(D2008-26397) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
太田 茂雄 杉山 太一 |
登録日 | 2010-05-14 |
登録番号 | 意匠登録第1390021号(D1390021) |
代理人 | 羽切 正治 |