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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F4
管理番号 1218157 
審判番号 不服2009-21684
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-09 
確定日 2010-06-09 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2008- 6184「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成20年3月12日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.拒絶理由
原審において,「この意匠登録出願に係る包装用容器の分野において,口部,肩部,胴部を用途に応じて適宜組合せることは,本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法です。この意匠登録出願の意匠は,本願出願前に公然知られたものと認められる包装用容器の口部,肩部の意匠(意匠1の口部,肩部の意匠),本願出願前に公然知られたものと認められる包装用容器の胴部の意匠(意匠2の胴部の意匠)を,単にほとんどそのまま組み合わせたに過ぎないので,容易に創作できたものと認められます。」として意匠法第3条第2項に該当する旨の拒絶理由が通知され,その際に引用された意匠は,意匠1(以下,引用意匠1という。)が特許庁発行の意匠公報記載,意匠登録第1262385号(意匠に係る物品:「包装用びん」)の意匠,意匠2(以下引用意匠2という。)が,特許庁発行の意匠公報記載,意匠登録第1258290号(意匠に係る物品:「包装用びん」)の意匠であって,その形態は,それぞれ当該意匠公報に記載されたとおりのものである(別紙第2および別紙第3参照)。

3.請求人の主張
これに対して,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。
肩部については,本願意匠は,全て直線から成る台形状短冊片が,周方向に間隔をあけて10枚配設されている。この台形状短冊片は,肩部外表面から凹んでいるので,言わば「窓枠に嵌められた閉鎖板(例えば,ガラス板)」のような状態で配設されている。これに対して,引用意匠1の短冊状板片の形状は上下の両辺が丸みを帯びた弧状に形成され,各短冊板片は肩部の外表面に隙間なく密着させて12枚配設されている。
以上のように,前記両意匠の肩部の形状は,明らかに異なるものであり,前記各意匠から生じる美感(印象)も又相違している。
口部および首部については,本願意匠は,幅広口に形成され,その首部は短首形状に形成されている。これに対して引用意匠1は通常の口部であり,首部の形状も蓋体嵌合用の螺旋条係合部の下部にやや幅広のリング状突起が形成され,該リング状突起の下部は外向きに湾曲した形状に形成されている。
以上のように,前記両意匠の口部と首部の形状は,明らかに異なるものであり,前記各意匠から生じる美観(印象)もまた相違している。
胴部については,本願意匠の帯状の凹溝は,緩やかに窪んだ凹溝であり,その両凹溝の間の胴部は,同一径(直筒状部)であり,前記以外の部分(直筒状部の上方及び下方の部分)は膨れて弧状となっている。これに対し,引用意匠2の帯状の凹溝は,半円状の窪みであり,その両凹溝の間の胴部のみならず,それ以外の部分の胴部も,同一径(直筒状)である。
従って,前記本願意匠の胴部は,穏やかで優雅の感を与えるが,引用意匠2の胴部では,前記本願意匠の胴部に比べ,硬くてシャープな印象(美観)を与えるので,両意匠は,形状が異なり,美観も相違する,といわざるを得ない。
以上から明らかなように,前記両意匠は,形状が異なり,その印象も異なるので,本願意匠は,前記引用意匠1及び引用意匠2に基づいて当業者が容易に創作することができたものではない。

4.当審の判断
そこで,請求人の主張を踏まえ,さらに検討する。
原審において,本願意匠は,出願前に公然知られたものと認められる包装用容器の口部と肩部の意匠(意匠1の口部,肩部の意匠)および胴部の意匠(意匠2の胴部の意匠)とを,単にほとんどそのまま組み合わせたに過ぎないとされているが,本願意匠の口部と肩部を引用意匠1の口部と肩部とを対比すると,(1)肩部には,縦長の略台形状短冊片が,周方向にわずかな間隔をあけて10個配設され,この略台形状短冊片が,肩部外表面から凹んでいる点,(2)凹んでいる略台形状短冊片の下辺は,平面視では胴部の最大径部分の外周縁よりも内側にある点,(3)口部は幅広口に形成され,その首部は短く,わずかに内側に湾曲している点が主な相違点としてあげられる。さらに,本願意匠の胴部を引用意匠2の胴部と対比すると,(4)胴部の上下部に形成された帯状の凹溝が,緩やかに窪んだ凹溝であり,その両凹溝の間の胴部は,同一径の円筒状であるが,両凹溝の上方および下方の部分は膨れて弧状となっており,凹溝の上下で直径が異なっている点,が主な相違点としてあげられる。
これら(1)?(4)の相違点のそれぞれを個別に観察した場合には,それぞれ創作が困難といえるものではないが,全体観察をすべきで意匠にあっては,相違点を個別に観察するべきではなく,これらの相違点を総合的にまとめて包装用容器として造形した本願意匠は,公知の意匠を参照したとしても,もはや商習慣上普通に行われる改変の域を超えており,ましてや引用意匠1の口部と肩部および引用意匠2の胴部を,単にほとんどそのまま組み合わせたものということはできないというべきである。
5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-05-20 
出願番号 意願2008-6184(D2008-6184) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 樋田 敏恵
橘 崇生
登録日 2010-06-25 
登録番号 意匠登録第1393140号(D1393140) 
代理人 伊藤 文彦 
代理人 斎藤 侑 

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