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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1219789 |
審判番号 | 不服2009-19099 |
総通号数 | 128 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-07 |
確定日 | 2010-07-06 |
意匠に係る物品 | モニターカメラ付インターホン子機 |
事件の表示 | 意願2008- 28918「モニターカメラ付インターホン子機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2008年(平成20年)11月11日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「モニターカメラ付インターホン子機」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって,本願意匠に対して引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,「独立行政法人工業所有権総合情報館が2003年 8月 8日に受け入れた内国雑誌(株式会社電波新聞社発行)『電気店 2003年 9月 1日9号』第18頁所載,製品番号 WQC800AK インターホン用カラーカメラ付ドアホン子器の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA15016143号)」であって,その形態は,同雑誌の写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 (2)本願意匠と引用意匠の形態 本願意匠と引用意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (i)共通点 基本的構成態様として,両意匠は, (A)全体を奥行が短い略縦長直方体とし,正面側の「本体部」と背面側の「ベース部」が前後に重なってなるものである点, (B)本体部は,上から「モニターカメラ部」,「スピーカー部」及び「呼出ボタン部」を縦方向の中央位置に配置したものである点, 具体的構成態様として, (C)モニターカメラ部は,左右に余地部を残して幅広な正面視横長矩形状のパネルがカメラレンズ部の前面に配置されている点, (D)スピーカー部は,粗い縦格子状の放音孔が形成されている点, (E)呼出ボタン部は,正面視横長矩形状の押しボタン部が少し正面方向に突出するように形成され,中央に円形の凹み部が形成されているものである点, (F)本体部の左下端部に縦長スリット状にマイク部が形成されている点。 (ii)相違点 具体的構成態様として, (ア)本願意匠は,モニターカメラ部のパネルが本体部に嵌合したような態様で形成され,本体部の前面よりも湾曲面状に突出しており,また,モニターカメラ部が本体部に占める割合について,高さの比率で約40%であるのに対して,引用意匠は,モニターカメラ部のパネルは,本体部上面及び前面に側面視略「L」字状で本体部と面一状の平坦面状としたものとして形成され,また,モニターカメラ部が本体部に占める割合については,高さの比率で約30%である点, (イ)本願意匠は,モニターカメラ部のパネルは,周囲を透光性材質とし,下辺のみがやや幅広の「額縁状枠体」が形成され,その内側を透明部としており,額縁状枠体の下辺の透明部寄りには正面視水平状の「太線模様」が施されているのに対して,引用意匠は,パネルの中央に透明部が無く,全面を透光性材質で覆い,額縁状枠体も線模様も無い,左下に正方形状の模様を施したものである点, (ウ)本体部の形状について,本願意匠は,全体が四角錐台状で,正面視縦長矩形状であるのに対して,引用意匠は,全周側面は垂直面状で,正面視縦長隅丸矩形状である点, 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 (1)共通点の評価 基本的構成態様としてあげた共通点(A)及び同(B)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また,具体的構成態様としてあげた各共通点もありふれた態様であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 (2)相違点の評価 これに対して,両意匠の相違点としてあげた具体的構成,とりわけ,相違点(ア)は,非常に目に付き易い部位に係るものであり,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいという他ない。また,この相違点(ア)に相違点(イ)が相まった視覚的効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。相違点(ウ)もこの印象を更に強めるものとなっている。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-06-15 |
出願番号 | 意願2008-28918(D2008-28918) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤原 宗久良 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
杉山 太一 太田 茂雄 |
登録日 | 2010-07-16 |
登録番号 | 意匠登録第1394731号(D1394731) |