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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H2
管理番号 1219791 
審判番号 不服2010-4258
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-26 
確定日 2010-07-06 
意匠に係る物品 電気機器収納函用支持具 
事件の表示 意願2009- 3479「電気機器収納函用支持具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成21年2月20日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「電気機器収納函用支持具」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁意匠課が1989年7月27日に受け入れた内国カタログ「SLIKTRIPOD」,1989年4月1日発行,第16頁所載「カメラライト用スタンド」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC01053024号)であって,その形態は,当該カタログに記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.請求人の主張
これに対して,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。
引用意匠のカメラライト用スタンドの脚部は,平坦面に載置されることから3本が同時に動きます。即ち,引用意匠の開閉補助棒は,3本の脚部と1本の丸管状の取付部の下端をリンクさせるものであります。しかし,本願意匠の電気機器収納函用支持具は,1本の丸管状の取付部を立設する位置が平坦でなくても設置できることを前提に創作されています。電気機器収納函の配置によって重心位置が変化しても,丸管状の取付部が常に垂直に立設できる構造となっております。故に,3本の脚部は独立して固定でき,地面に対して取付部が常に垂直に立設されるようになっています。
また,取付部(縦桿)の伸縮は引用意匠では不可欠なものですが,本願意匠では取付部は図示の状態であり,伸縮機能はありません。当然,本願意匠では取付部の下端の位置と脚部の位置はリンクしていません。特に,引用意匠の取付部(縦桿)の伸縮は,3本の脚部と1本の丸管状の取付部の下端とが開閉補助棒によってリンクしているからこそ,伸縮自在な構造になっているものであります。それに対して,本願意匠では,電気機器収納函の重心位置とのバランスで3本の脚部の配設状態(配置位置,配置角度)が決定されます。
したがって,本願意匠と引用意匠は,両者間の機能的構造に共通性が存在せず,かつ,両意匠の構造的な違い,美的処理の違いが明らかであるから,本願意匠の形態に共通する部分が存在していない引用意匠を基に類似と認定される根拠がなく,当然,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するという原査定は取り消されるべきであります。

4.当審の判断
そこで,本願意匠と引用意匠を比較する。まず,両意匠の意匠に係る物品については,本願意匠が電気機器収納函を支持するスタンドであるのに対して,引用意匠はカメラライトを支持するスタンドであり,両意匠ともに物品を支持するために用いるスタンドであるから,用途は同一であり,支持する物品が異なることにより機能的に異なる部分があるが,少なくとも類似する物品であるということができる。
次に,形態については,両意匠は,丸管状の取付け用支柱とこれを3点で支持する角柱状の脚部とその端部にエンドキャップが嵌められている点で一致するが,いわゆる三脚の分野においては,極めて普通にみられる形態であって,このような概括的な観察によって類否を判断することは不適切であり,各部の具体的態様を含めて類否を判断すべきである。
そこで,各部の具体的な相違点について検討すると,とりわけ,取付け用支柱を挿通する管状連結部において,脚部を挟むように保持する2組の略台形状板を120度間隔で形成した点,連結部における脚部用のボルトとナットの位置を変えることにより脚部の開脚角度を変えられるようになっている点は,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらが類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。
以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は類似するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体の美感に与える影響は大きく,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。

5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-06-18 
出願番号 意願2009-3479(D2009-3479) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕和 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 橘 崇生
樋田 敏恵
登録日 2010-07-16 
登録番号 意匠登録第1394734号(D1394734) 
代理人 特許業務法人 Vesta国際特許事務所 

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