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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7
管理番号 1219797 
審判番号 不服2009-25223
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-21 
確定日 2010-07-13 
意匠に係る物品 テーブル 
事件の表示 意願2007- 32274「テーブル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願は、平成19年(2007年)11月26日の意匠登録出願(意匠に係る物品「テーブル」)であり、その意匠は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
これに対して、原審は、拒絶の理由について、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、日本国特許庁発行(平成18年7月10日)の意匠公報記載の意匠登録第1276173号(意匠に係る物品、「会議用テーブル」)の意匠(以下、「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条の規定により意匠登録をすることができないものであるとしたものである。
そこで、原審が拒絶の理由において本願意匠が類似するとした引用意匠との類否判断について検討すると、両意匠の意匠に係る物品は、ともに、会議用のテーブルであり一致する。
また、両意匠の意匠に係る物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状」という。)については、両意匠を対比してみると(なお、使用者が着座する側を「着座側」とし、その反対側を「前面側」とし、本願意匠の「着座側」を表す「正面図」が引用意匠の「背面図」、本願意匠の「前面側」を表す「背面図」が引用意匠の「正面図」と照合するように、両意匠の図面の配置を揃えながら対比する。)、以下のとおり、主な共通点及び相違点が認められる。すなわち、共通点として、(A)全体は、略長方形板状の天板の短辺側の左右両側の下部に側面視略L字形の棒状脚部を取り付け、天板の長辺側の前面側の下部に略横長長方形板状の幕板を設けた点、さらに、各部の具体的な態様として、(B)左右両側の脚部の上端間に丸パイプを横架し、(C)天板の裏側で、左右両側の脚部の後方のやや離れた位置に、略円柱状の基軸から略矩形板体が着座側方向へ側面視緩やかな弧状に延びる操作レバーを設け、(D)左右両側の脚部の前後端にキャスターを設けた点が認められ、一方、具体的な態様の相違点として、(ア)左右両側の脚部形状について、(ア-1)各縦棒部を、本願意匠は、外側面と内側面とが異なる棒状の水平断面略変形八角形状とし、外側面の着座側寄りの上下方向に、細幅帯状の平坦面を形成し、その平坦面が下部の横棒部との屈曲部で細幅帯状の両辺が凹円弧状に拡幅しながら横棒部の側面と面一状に連続して繋げ、内側面を、横棒部との屈曲部に段部を形成してやや薄肉とし、内側面のほぼ中央の上下方向に、広幅帯状の平坦面を形成して、その下端を横棒部の手前で緩やかな弧状としたのに対して、引用意匠は、外側面と内側面とをほぼ同一の棒状の水平断面略長方形状とし、内外両側面とも、縦棒部の上下方向にほぼ横幅いっぱいに広幅帯状の平坦面を形成して、その下端を横棒部の手前で半円弧状とし、正面視横幅を、横棒部との屈曲部で下方に向けて漸次やや拡幅し、(ア-2)各横棒状を、本願意匠は、横幅を前後方向に等幅とし、内外両側面とも垂直面状とし、上面を、縦断面円弧状の上部を水平に切り欠いて、湾曲面状の上端に細幅帯状の平坦面を形成したのに対して、引用意匠は、横幅を前面側から着座側方向へと漸次幅狭としながら後端部を緩やかな湾曲面状に小さく膨らませ、内外両側面が斜面状で、上面が平坦面状の縦断面略台形状とし、(イ)幕板を、本願意匠は、天板の前端より着座側へやや奥まった位置にした、前面の上下方向の横中央が前方へ僅かに突出して、縦断面扁平「く」の字状に屈曲したのに対して、引用意匠は、天板の前端のほぼ真下にした、前面を平坦面状とし、(ウ)天板の前面側の裏側に取り付けられ、幕板の裏側に設けられる配線ダクトを、本願意匠は、縦断面略L字状とし、その前面板の下方約2/3を、下端が着座側方向へやや奥まる前屈みの傾斜面とし、前面板の上端が、天板と隙間無く接するのに対して、引用意匠は、縦断面略杓子状とし、前面板が、天板との間にやや細幅の隙間を形成した点に相違が認められる。
そうして、共通点について、(A)の全体構成は、天板と脚部と幕板とが組み合わされてできたものであるが、天板を脚部で支えるということは、会議用テーブル等にとって必然的な構造とも言えるし、その天板の下部に幕板を取り付けることも、この種会議用テーブル等の分野において極ありふれた手法であり、かつ、天板の略長方形板状も、幕板の略横長長方形板状も、いずれもこの種会議用テーブル等の分野において極ありふれたものであり、側面視略L字形の棒状脚部にしても、看者にとって単に天板を支える棒状の支持構造だけに留まるものではなく、テーブルが組み立てられる各部の具体的な態様により看者の注意が注がれるものと言うべきであり、その点、具体的な態様の相違点として、上記のとおりであり、特に(ア)の脚部形状の相違及び(イ)幕板の前面形状の相違を有するものであって、この共通点(A)の両意匠の類否判断に及ぼす影響は限定的なものと言わざるを得ない。また、(B)丸パイプ、(C)操作レバー及び(D)キャスターの形状については、丸パイプとキャスターは、いずれもこの種会議用テーブル等の分野において、各部の構成部材として極普通に用いられるものであり、看者の格別の注意を惹かず、操作レバーも、操作レバーが天板を折り畳むときに操作される付加的な構造で、かつ、天板の裏側に隠れて見え難い部分的な箇所に設けられて、殆ど注意を惹くものではないことから、共通点(B)ないし(D)の形状の両意匠の類否判断に及ぼす影響はいずれも微弱である。
一方で、相違点である(ア)脚部の(ア-1)縦棒部及び(ア-2)横棒部の形状の相違については、縦棒部と横棒部とを形作る棒状の骨格形状が、本願意匠の縦棒部が水平断面略変形八角形状で、横棒部が内外両側面とも垂直面状とし、上面を、湾曲面状の上端に細幅帯状の平坦面を形成したものと、引用意匠の縦棒部が水平断面略長方形状で、横棒部が縦断面略台形状と異なる上に、視覚的に目立ちやすい縦棒部外側面及び横棒部の上面形状において、本願意匠は、縦棒部の外側面の細幅帯状の平坦面が、横棒部との屈曲部で細幅帯状の両辺が凹円弧状に拡幅しながら横棒部の側面と面一状に連続して繋げて、縦棒部と横棒部との一体性を強く印象付けているのに対して、引用意匠が、縦棒部の外側面の広幅帯状の平坦面が横棒部の手前で途切れ、横棒部と連続する一体性に欠けるものであり、また、本願意匠は、横棒部の上面が、湾曲面状の上端に細幅帯状の平坦面を形成し、丸味面も強調しているのに対して、引用意匠は、盛り上がりのない平坦面とするだけで、角張った面を強調することになり、これら縦棒部外側面と横棒部上面形状は、脚部を形作る面の構成に明らかな相違を生じさせるものであり、さらに、脚部の他の相違点である縦棒部の内側面の形状や横棒部の前後方向への幅等の相違をも加味すれば、(ア)の脚部形状の相違のみをもってしても、両意匠の類否判断を決定付ける程に、意匠全体として両意匠に異なる印象を与えるに十分なものである。また、(イ)の幕板形状の相違は、テーブルの前面側の最も見えやすい位置で、本願意匠の横中央の突出が僅かであっても、この種会議用テーブル等の分野において引用意匠のように幕板の前面が平坦面状を基調とする形状が多い中にあって、縦断面扁平「く」の字状に屈曲させて、上下に二分した面の向きに変化を付けたものであることは十分視認することができ、他の差異点と相俟った場合、両意匠の差異感をより強調することとなる。
そして、相違点(ウ)配線ダクトの形状の相違を加えて、共通点と相違点を総合してみると、相違点(ア)が両意匠の類否判断を決定付ける程のものである以上、共通点(A)の類否判断に及ぼす影響は相対的に微弱なものとなり、また、共通点(B)ないし(D)の形状も、いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であることから、相違点(ア)ないし(ウ)の相まって生じる視覚的効果は、すでに共通点を凌駕して、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものである。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致するとしても、形状において、相違点が共通点を凌駕し、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものであることから、両意匠は類似しないものである。
以上のとおりであり、両意匠は類似しないものであることから、本願意匠は引用意匠に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条の規定により意匠登録をすることができないものであるとした原審の拒絶の理由によって、本願について拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-06-25 
出願番号 意願2007-32274(D2007-32274) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 淺野 雄一郎江塚 尚弘 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 杉山 太一
市村 節子
登録日 2010-07-23 
登録番号 意匠登録第1395293号(D1395293) 
代理人 南部 さと子 
代理人 永芳 太郎 
代理人 水野 尚 

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