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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6
管理番号 1222905 
審判番号 不服2009-23025
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-25 
確定日 2010-05-11 
意匠に係る物品 おたま 
事件の表示 意願2008- 27930「おたま」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、平成20(2008)年10月30日の意匠登録出願であって、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、その意匠は、意匠に係る物品を「おたま」とし、形態は願書及び願書に添付した図面に記載のとおりであって、実線で表した部分を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分としたものである(以下、「本願意匠」という。)。(別紙第1参照)
これに対し、原審が拒絶の理由(本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同項柱書の規定により、意匠登録を受けることができない。)として引用した意匠は、平成11(1999)年5月18日に出願され、平成12(2000)年7月31日に特許庁が発行した意匠公報に記載された、意匠登録第1081308号(意匠に係る物品「しゃくし」)の当該部分意匠であり、その形態は同公報に記載されたとおりのものである(以下、「引用意匠」という。)。(別紙第2参照)
そこで、本願意匠を、引用意匠の図の配置に揃えて対比すると、両意匠は意匠に係る物品が「おたまじゃくし」で共通し、意匠登録を受けようとする部分の物品全体に対する位置、大きさ、範囲並びに用途・機能についても、おたまじゃくしの下端に位置し、汁をすくう部分である点で共通する。また形態においても、両意匠は、全体を椀状とし、使用時に起立させておくことができるよう底面側に略円形の平坦面を形成し、この平坦面に対して、上縁を前下がりに傾斜させた基本的な構成態様が共通する。他方で、本願意匠は、全体を肉厚とし、外側凸面を、球面に近い曲面とその一部を削り取ったような平坦面とによって構成し、内側凹面は、平坦面を用いずに滑らかな曲面によって構成したのに対し、引用意匠は、全体を肉薄とし、外側凸面を、下方に従い曲率を大きくした曲面と、これになだらかに繋がる平坦面とによって構成し、内側凹面は、外側凸面と相似の曲面と平坦面とによって表裏一体的に構成しているという差異が認められる。そして、これらの差異は、いずれも通常の使用状態において明確に視認されるものであって、特に内側凹面における平坦面の有無の差異についていえば、汁の容量や盛りつけの際の操作性等、調理具としてのおたまじゃくしの基本的な機能に直接的な影響を及ぼすものであり、指で触ったときの感触や洗浄のしやすさにも大きな影響を及ぼすことを考慮すると、当該差異は強く看者の注意を惹くといわざるをえないから、この差異の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。また外側凸面の曲率の差異も、球面をイメージさせるか否かの点で、看者の印象に顕著な差異をもたらすものとなっており、本願意匠においては、外側凸面に平坦面を形成し、これに対応する内側凹面に平坦面を形成しないことによる対比効果も、看者の一定の注意を惹くものと認められるから、これらの差異が相俟って生じる視覚効果は、上記の基本的構成態様に認められる共通点を凌駕し、両意匠に異なる美感をもたらすものとなっている。
したがって、両意匠は形態において類似するものとはいえないから、原審の拒絶の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願について、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-04-28 
出願番号 意願2008-27930(D2008-27930) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 温品 博康 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 杉山 太一
市村 節子
登録日 2010-09-03 
登録番号 意匠登録第1397776号(D1397776) 
代理人 鈴木 一永 
代理人 鈴木 正次 
代理人 涌井 謙一 
代理人 山本 典弘 

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