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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1222906 
審判番号 不服2010-1015
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-18 
確定日 2010-08-11 
意匠に係る物品 包装用瓶 
事件の表示 意願2008- 13333「包装用瓶」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願の意匠
本願は,平成20年5月28日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用瓶」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.拒絶の理由
原査定において,本願の意匠が類似するとして引用された意匠は,本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の意匠,すなわち,
電気通信回線の種類:インターネット
掲載確認日(公知日):2006年5月26日
受入日:特許庁意匠課受入2006年6月2日
掲載者:サッポロビール株式会社
表題:サッポロビール/ニュースリリース
掲載ページのアドレス:
http://www.sapporobeer.jp/CGI/news/index.cgi?key=index&seq=881
に掲載された「包装用瓶」の意匠の蓋及び容器本体部の模様を除く形状のみの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ18002651号)であり,その形状は当該インターネットに掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.請求人の主張
これに対して,請求人は審判を請求し,概ね以下のとおりの主張をした。
本願意匠と引用意匠とは,下記(ア)ないし(コ)の差異点を有する。
(ア)本願意匠の口部は,中央に緩やかな凹部を設けてなるのに対して,引用意匠の口部は,螺合されたキャップが設けられている。(イ)本願意匠の首部は,約8度の角度の傾斜で形成されているのに対して,引用意匠の首部は,約5度の角度の傾斜で形成されている。
(ウ)本願意匠の肩部は,約27度の角度の傾斜で,かつ,胴部の上端部の横方向長さ1に対して約1/6の割合で,わずかな弧面を介して左右外側に膨出するように胴部の上端部に連接してなるのに対して,引用意匠の肩部は,首部の下端部から,約45度の角度の傾斜で,かつ,胴部の上端部の横方向長さ1に対して約1/4の割合で,直線的に左右外側にそれぞれ突出し,胴部の上端部に連接してなる。
(エ)本願意匠の胴部は,肩部の形状に伴い台部の上端部と明確に区別されず連接されているのに対して,引用意匠の胴部は,肩部の形状に伴い台部の上端部と明確に区別されて連接されている。
(オ)本願意匠の台部は,周方向に3本の線が設けられているのに対して,引用意匠の台部は,そのような線が設けられていない。
(カ)本願意匠の首部の長さは,容器本体の全高1に対し約1/2の構成比率であるのに対して,引用意匠の首部の長さは,容器本体の全高1に対し約1/3の構成比率である。
(キ)本願意匠の肩部の長さは,容器本体の全高1に対し約1/9の構成比率であるのに対して,引用意匠の肩部の長さは,容器本体の全高1に対し約1/12の構成比率である。
(ク)本願意匠の胴部の長さは,容器本体の全高1に対し約1/3の構成比率であるのに対して,引用意匠の胴部の長さは,容器本体の全高1に対し約1/2の構成比率である。
(ケ)本願意匠の口部の上端部の外寸は,肩部及び台部の最大寸1に対し約1/3であるのに対して,引用意匠の口部の上端部の外寸は,肩部及び台部の最大寸1に対し約1/2である。
(コ)本願意匠の首部の下端部の外寸は,肩部及び台部の最大寸1に対し約2/3であるのに対して,引用意匠の首部の下端部の外寸は,肩部及び台部の最大寸1に対し約1/2である。
したがって,本願意匠と引用意匠とを意匠全体として総合的に観察した場合には,前記差異点(ア)ないし(コ)が両意匠の類否に大きな影響を与えるものであり,両意匠の差異点は両意匠の共通点を凌駕しているとするのが相当であり,両意匠を全体的に観察した場合には,全く非類似の意匠というべきである。

4.当審の判断
そこで,本願意匠と引用意匠とを比較すると,まず,意匠に係る物品については,ともに包装用瓶であるから一致する。
次に,形態については,一致点と相違点について総合的に検討するに,一致点については,すなわち,首部が開口部方向に窄まった略円錐台形状である点,肩部が首部を構成する斜面より緩い斜面によって構成されている点,胴部を肩部よりわずかに内側方向に傾斜した直線状の斜面によって底面部方向に漸次括れさせた点,胴部の底面部寄りの括れの最も深い箇所から底面部にかけて,胴部の端部を外側方向に略樽状に膨出させた点は,本願の意匠の属する分野においては極めて普通にみられる態様であるから,上記のような概括的な観察のみによって類否判断をすることは適切ではなく,具体的な構成態様を加味して全体観察を通じた総合的な類否判断をすべきである。
そこで次に,具体的な相違点について検討すると,首部の傾斜角度,肩部の傾斜角度と胴部への連続態様,台部の態様,首部・肩部・胴部の全高に対する比率,口部・首部の全幅に対する比率における各部の具体的態様の相違は,引用意匠にはない本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらが類否判断に及ぼす影響は大きく,かつ,両意匠に共通する上記概括的一致点を凌駕しているものであるということができる。
以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体の美感に与える影響は大きく,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。

5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-07-06 
出願番号 意願2008-13333(D2008-13333) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 樋田 敏恵
橘 崇生
登録日 2010-09-10 
登録番号 意匠登録第1398629号(D1398629) 
代理人 藤森 裕司 
代理人 飯島 紳行 

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