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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7
管理番号 1224810 
審判番号 不服2009-23193
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-26 
確定日 2010-07-26 
意匠に係る物品 椅子用座 
事件の表示 意願2008- 26747「椅子用座」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,本意匠を意匠登録第1382223号とする,平成20年10月17日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「椅子用座」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の意匠であり,
著者の氏名:タカラベルモント株式会社
表題:TAKARA BELMONT News
掲載箇所:ビンテージチェア4thエディション
媒体のタイプ:[online]
掲載年月日:2007年5月8日
検索日:[2009年 3月 9日]
情報の情報源:インターネット
情報のアドレス:URL: http://www.tb-net.jp/press/070508-03.html
に掲載された理美容いす(真中の写真のもの,製品番号:0716)の意匠の内,脚部を除いたいす用座の意匠であって,その形態は,当該インターネットに掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.請求人の主張
これに対して,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。
(1)背凭れ部の形状について
本願の意匠は,正面図中央縦断面図に示されるように,背凭れ部と座面部は,左側面視において略L字形状を成し,一体的に形成されている。これに対して,引用の意匠は,背凭れ部の背面側から観察すると,背凭れ部全面が観察され,座面部は該背凭れ部の後方位置から前方に至り,背面視から明らかなように別体として形成されていることが観察される。また,正面視における背凭れ部の形状は,本願の意匠は,背凭れ部の両側外形線は座面部と同じ幅で略平行に頂上部まで至っていることが観察され,また縦長に形成された四角形を呈しており,これに対して引用の意匠は,背凭れ部の最下部の幅より背凭れ部の頂上部にいたるまで,幅が広がっている形状となっており,横長の略逆台形状として観察され,両意匠の背凭れの形状は,基本的形状が相違するだけでなく,その印象も全く相違するものであると思料いたします。
(2)座面部の形状について
本願の意匠は,正面図中央縦断面図に観察されるように,座面部を構成するものとして両側部から背面部にかけてコ字形状を成す枠部が設けられ,該枠部の上部に,背凭れ部と一体に形成されている座面部および手すり部が乗った形で設けられています。これに対して,引用の意匠のものは,背凭れ部と両側に設けられる手すり部の三方に挟まれて,座面部分を同一面上に配置されて設けられており,組立て方法が相違しているため,側面視および背面視で観察した場合,本願の意匠のコ字形状の枠は本願の意匠の全体的意匠を形成する上で重要な部分であり特徴的な意匠でもあります。
(3)手すり部の形状について
本願の意匠は枠体に横に細長の矩形板状の手すり部が載置されたものであり,これに対して引用の意匠は,矩形板状の手すり部前方および上面にわたって逆L字形状を成す張り部で形成された手載せ部が設けられており,両意匠の手すり部の形状からくる印象を異にしているばかりでなく,引用の意匠のような枠体も見られず,また手すり部の高さも本願の意匠のものと比較して高くなっており,本願の意匠のように横に細長く形成されているのに対して,引用の意匠は,縦長長方形を成した矩形板状を成し,本願の意匠が軽快感を与えるのに対して,引用の意匠のものは重い感じを与えるものであります。
以上述べたように,背凭れ,座面部,手すり部および足掛け部のすべてにおいて,本願の意匠のものは引用の意匠のものとは明らかに相違しており,これら相違から観察される全体形状は全く形状を異とするものであると思料いたします。

4.当審の判断
そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,意匠に係る物品が一致する。
次に,形態について,一致点と相違点について総合的に検討すると,一致点すなわち,両意匠が,略矩形板状の背もたれ部及び略矩形厚板状の座面部につき,右側面部において略直角状に形成した点,正面部において,該座面部及び背もたれ部を挟み込むように,略矩形板状の肘掛け部を左右にそれぞれ配した点,足掛け部につき,逆「へ」字状に下方に延出して,水平状部に2本の細丸棒状体を連設した点は,この意匠の属する分野においては,普通にみられる形態であって,これらの点が一致することのみを以て,全体観察をした場合に,両意匠が類似すると判断できるほど格別な特徴となってはいない。
一方,相違点については,とりわけ,背もたれ部と座面部を一体的に形成している点,座面部及び手すり部下部における枠部の有無の点は,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらが類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。
以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体の美感に与える影響は大きく,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。

5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-06-18 
出願番号 意願2008-26747(D2008-26747) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松尾 鷹久加藤 真珠 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 樋田 敏恵
橘 崇生
登録日 2010-10-22 
登録番号 意匠登録第1402130号(D1402130) 

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