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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 J3
管理番号 1226465 
審判番号 不服2010-4294
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-26 
確定日 2010-10-12 
意匠に係る物品 電子スチルカメラ 
事件の表示 意願2008- 31400「電子スチルカメラ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする平成20年12月10日の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「電子スチルカメラ」とし、その形態を願書及び願書添付の図面に記載されたとおりとするもので、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」とした、物品の部分について意匠登録を受けようとするものである(以下、本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。

これまでの手続きの経緯について、意匠登録出願人(本件審判請求人に同じ)は、平成21年3月27日提出の手続補正書により願書の本意匠の表示に「意願2008-20421」を追加した後、原審より、同年(以下、同年は省略する。)6月11日付の意匠法第3条第1項第3号(特許庁意匠課公知資料番号第HA20002859号)を理由とする拒絶理由通知が発送され、出願人は、8月3日に意見書を提出、その後原審より、9月16日付の意匠法第10条第1項の規定に該当しないことを理由とする拒絶理由通知が発送され、出願人は、11月9日に意見書を提出、これに対し原審は、9月16日付で通知した理由により拒絶査定をした。

本件審判請求は、願書に記載した本意匠に類似しないので、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとの理由の拒絶の査定に対してなされたものである。

これに対し、平成22年8月27日提出の手続き補正書により、本願の「本意匠の表示」を削除する補正がなされ、これにより、原審において指摘された拒絶の理由は解消しているので、その拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

なお、本願意匠(別紙第1参照)と、平成21年3月27日提出の手続き補正書により願書の本意匠の表示に追加した元の本意匠(意願2008-20421、平成21年5月22日に意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1363059号、別紙第2参照)とは、原審において指摘されたとおり、類似しないものである。
すなわち、本願意匠と元の本意匠を対比すると、(イ)意匠に係る物品、及び、意匠登録を受けようとする部分の(ロ)用途及び機能は一致しているものの、(ハ)位置、大きさ、範囲、及び形態については、以下の通りの共通点及び差異点を有している。
(ハ-1)本願意匠(別紙第1参照)
本願意匠は、電子スチルカメラ本体の約4分の3の高さで本体を広く覆う上下可動式のレンズカバー部の創作に係り、実線部を、左側面側について本体の奥行き方向略3分の2を覆うレンズカバー部側壁部の短辺縁部から正面図において本体の右端寄り部、すなわち、破線で表されたレンズカバーの右端部が、カメラ本体に沿って奥行き方向に回り込む直前までとし、その位置においてレンズカバー部上下辺を垂直に一点鎖線で結び、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とそれ以外の境界とし、さらに、左側面側の側壁部へと回り込むコーナー部について、側壁部から正面側の平板状部へと繋がる直前にレンズカバー部上下辺を垂直に一点鎖線で結ぶと共に、正面側の平板状部の左端から約7分の1の位置で、同様にレンズカバー部上下辺を垂直に一点鎖線で結び、その間の、略一枚板状の薄いレンズカバー部の上面及び下面の外側の辺を、一点鎖線で表し、左側面側コーナー部について、略縦長矩形状に意匠登録を受けようとしない部分として境界を表したものである。
以上によれば、本願の意匠登録を受けようとする実線部分の形状は、本体の約4分の3の高さの平板状レンズカバー部の左側面側短辺縁部を、上下を隅丸として垂直に構成し、側壁部を平面視略四半分円弧状とし、左側面側コーナー部上下辺を介し、正面側を、平板状部の左寄り部を除いた右端部までの横長状平板としたものであり、右側面側の短辺縁部及び左側面側の略縦長矩形状に表されたコーナー部はその一点鎖線により意匠登録を受けようとするものでないことは明らかである。
(ハ-2)元の本意匠(意匠登録第1363059号、別紙第2参照)
元の本意匠は、電子スチルカメラ本体の約4分の3の高さで本体を広く覆う上下可動式のレンズカバー部の創作に係り、実線部を、左側面側について本体の奥行き方向略3分の2を覆うレンズカバー部側壁部の短辺縁部から正面側の平板状部、そして右端寄りの本体平板状部の終わるところに設けられた短辺縁部とした、レンズカバー部全体を部分意匠として意匠登録を受けようとするものであり、その形状は、本体の約4分の3の高さの平板状レンズカバー部の左側面側短辺縁部を、上下を隅丸として垂直に構成し、側壁部を平面視略四半分円弧状とし、左側面側コーナー部は、平坦に正面側の平板状部に繋がる態様とし、正面側を、右端寄りの本体平板状部の終わるところまでにわたる横長矩形状とし、右側面側短辺縁部を上下を隅丸として垂直に構成した態様としたものである。
(ハ-3)共通点と差異点
両意匠の位置、大きさ、範囲、及び形態については、主として、以下のとおりの共通点と差異点が認められる。
先ず、共通点として、(A)全体が略一枚板状で、本体の約4分の3の高さとし、本体を広く覆う態様としている点、(B)左側面側について本体の奥行き方向略3分の2を覆う側壁部を有し、その短辺縁部は上下を隅丸とした垂直状に構成し、平面視略四半分円弧状とする点、(C)正面側について、横に長い平板状とし、(D)平面視、底面視形状を略倒「J」字状とする点、が認められる。
一方、(a)本願意匠は、レンズカバー部の左側面側コーナー部及び右側面側短辺縁の内側を一点鎖線で表し境界としたもので、レンズカバー部全体の中に、意匠登録を受けようとする部分から除く部分を有しているのに対し、元の本意匠は、レンズカバー部全体の部分意匠に係ることから、レンズカバー部における、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ、範囲に差異がある。そのため、(b)左側面側コーナー部について、元の本意匠は、当該部分を正面側の平板状部と左側面側の側壁部を平坦に繋いだ態様としているのに対し、本願意匠は、当該部分を、意匠登録を受けようとする部分としていないため、対比する部分を有さない点、(c)正面平板状部の右側部について、元の本意匠は、本体の平板状部が終わるところに、直ちに短辺縁部を有し、その形状を、隅部に丸みを有し、上下を垂直に直線状としたのに対し、本願意匠は、右端寄り部を一点鎖線による境界とし、短辺縁部は本体平板状部が終わるところではなく、さらに延長された位置にある点、(d)平面視、底面視形状略倒「J」字状について、元の本意匠は、両端部が明示されているからレンズカバー全体で略倒「J」字状としているのに対し、本願意匠の右側縁部及び左側面側コーナー部は、単に境界線とするもので、レンズカバー部全体の中の一部を略倒「J」字状としている点、において差異が認められる。

そこで、共通点及び差異点を総合し、意匠全体として本願意匠と元の本意匠の類似性について以下考察する。

共通点の態様のうち、(A)及び(C)における態様は、この種物品分野において本願出願前からよく見られる態様であり、両意匠に特有のものではない。ただし、(B)及び(D)については、本願意匠と元の本意匠の共通点として一定の評価をすることができる。
差異点についてみると、(a)の、両者の位置、大きさ、範囲の差異が形態の差異としても表れ、その差異は、両意匠の持つ美感に関わるもので、両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
すなわち、差異点(b)において、元の本意匠は、左側面側のコーナー部を、平坦に正面側の平板状部に繋がる態様としており、その態様は、従来からみられるような、回り込みの無い態様でも、回り込み部を突出したグリップ部とする態様でもないもので、元の本意匠の特徴を成すが、そのような特徴を持つ元の本意匠と、上面部と底面部のみでコーナー部を表すが、平板状部から繋がるそのような特徴部分を有さない本願意匠とでは、視覚を通じて起こさせる美感において大きな差異があるものと言わざるを得ない。
(c)の、正面平板状部の右側部の態様の差異について、両意匠の創作は、正面部について本体を相当程度覆う横に長い平板状とした点までは共通するが、その右側部について、元の本意匠は、直ちに短辺縁部を創作しているが、本願意匠は、右側部について、レンズカバー部が延長形成されることを予定し、あえて創作を正面部のみに止めているのであるから、看者はその点に注意を惹かれるのであり、両意匠は、まったく別異の美感を有するものと言わざるを得ない。また、差異点(d)についても同様で、両意匠は、見かけ上、平面視、底面視形状略倒「J」字状の態様としているものの、その内容はまったく異なるものであり、右側部に短辺縁部を有し、コーナー部を平坦に正面平板状部に繋ぎ、レンズカバー部全体を平面視、底面視形状略倒「J」字状の態様とした元の本意匠と、右側部についてレンズカバー部が延長形成されることを予定し、あえて創作を正面部のみに止め、左側面側コーナー部についても、全体をシンプルな美感にまとめるのか、凸部を構成し、全体をシャープな美感とするのか、あるいは柔らかなものとするのか、そのような創作を有していないという意匠として、本願意匠全体の美感を看者は評価するのであり、レンズカバーとして完成された美感を有する元の本意匠と本願意匠は、その美感が異なるものと言わざるを得ない。
よって、両意匠には、意匠登録を受けようとする部分において、一部に共通する点はあるとしても、看者が意匠全体から受ける美的印象は異なり、それは両者の美感を別異のものとするものであることから、両意匠を類似するものとすることはできない。

以上のとおり、本願意匠と元の本意匠は、意匠に係る物品、機能及び用途は一致しているが、レンズカバー部における位置、大きさ、及び範囲、それらに伴う形態において差異があり、その差異は、両者の美感を別異のものとするものであるから、両意匠は、互いに類似しないものである。
別掲
審理終結日 2010-08-09 
結審通知日 2010-08-10 
審決日 2010-09-27 
出願番号 意願2008-31400(D2008-31400) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (J3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 伊藤 宏幸 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 樋田 敏恵
北代 真一
登録日 2010-11-12 
登録番号 意匠登録第1403395号(D1403395) 
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