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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 K6
管理番号 1226469 
審判番号 不服2010-4351
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-01 
確定日 2010-10-05 
意匠に係る物品 磁気活水器 
事件の表示 意願2007- 18756「磁気活水器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成19年7月10日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「磁気活水器」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.原査定の拒絶の理由
原査定において,「磁気活水器の分野においては,蛇口の管材に沿った長手方向の長さを様々な長さとすることは,本願出願前より極普通に行われているところです(意匠1,意匠2,意匠3)。また,正面視略C字状の磁気活水器の全体を曲面で構成し,蛇口への取付のための切り欠き部を略扇状に形成したものは,本願出願前に公然知られています(意匠4)。そうすると,本願意匠は,本願出願前よる公然知られたものと認められる磁気活水器の意匠(意匠4)の長手方向の長さを単に変更したに過ぎないので,容易に創作できたものと認められます。」とし,意匠1として,特許庁発行の意匠公報記載の意匠登録第0994444号の類似意匠登録第1号の意匠(別紙第2参照),意匠2として,特許庁発行の意匠公報記載の意匠登録第1029288号の意匠(別紙第3参照),意匠3として,特許庁発行の公開特許公報記載の特開2003-340460の図5の磁気活水器の意匠(別紙第4参照),意匠4として,特許庁意匠課が2004年6月1日に受け入れた「ペピイ ニュース VOL.19」第80頁所載の磁気活水器の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC16021655号,別紙第5参照)を例示し,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとして,拒絶の理由を通知した。

3.請求人の主張
これに対し,請求人は,審判を請求して,要旨以下のとおり主張した。
本願意匠と意匠4とは,本願意匠における中心孔の形状が正面視略楕円形であるのに対して,意匠4における中心孔の形状が正面視略円形であるという相違点がある。また,意匠1における切り欠き部を含む中心孔の形状は正面視略椀形であり,意匠2及び意匠3における中心孔の形状は正面視略円形である。そうであるとすると,本願意匠と意匠4とに係る物品である磁気活水器には,その機能より蛇口付近に取り付けるための中心孔が必要であるが,その形状をどのようなものとするかについては,機能面からの制約を考慮しても,様々な形状を選択する余地があることは明らかであり,どのような形状を選択するかによりその視覚的印象は大きく異なるものである。従って,本願意匠において中心孔の形状を正面視略楕円形とすることは,当業者において容易に創作し得たものであるということはできない。
更に,本願意匠では正面視略楕円形の中心孔と略扇状の切り欠き部とが全体として鍵穴の形状を構成し,中心孔が楕円形であるか円形であるか,切り欠き部が扇型であるか長方形であるか楔形であるか,また,中心孔と切り欠き部との大きさの比により,その視覚的印象は大きく異なる。
また,本願意匠は,厚さ:高さの比が約1:3であるとともに,側周面が全て曲面から構成されているが,厚さ:高さの比にも無数の選択肢があり,側周面の形状とともに厚さ:高さの比を如何に選択するかにより,その美観も大きく左右される。しかるに,本願意匠においては,厚さ:高さの比を約1:3と薄くして,側周面を全て曲面から構成することにより,外出時に携帯することを容易にするとともに,その際,より手になじみ易い形状とし,かつ,側周面が全て曲面から構成されることにより醸し出される特有の愛らしさや親しみやすさの表出を企図したものである。
従って,本願意匠は,当業者が意匠1?4に基づいて容易に創作することができたものではないので,意匠法第3条第2項の規定に該当しない。

4.当審の判断
そこで請求人の主張を踏まえ,本願意匠が創作容易か否かについてさらに検討する。
本願意匠は,正面視が略C字状であり,両端面(平面視上下辺)が平坦面であり,蛇口を保持するための中心孔の形状は正面視略楕円形状であり,この中心孔に連続する切り欠き部が外方に拡開し,略扇状に開放部が形成されているものである。そして,正面視略楕円形状の中心孔と略扇状開放部とが滑らかに連続し,両者が合体して略鍵穴状の空間部を形成しているものである。また,厚さ:直径の比は略1:3である。これに対して,意匠4は,本願意匠に相当する正面視は略C字状であるが,全体が長い円柱状であり,各面が曲面により形成されており,中心孔は略円形であり,切り欠き部は不鮮明ではあるものの外方に拡開した略扇状であり,内部の空間部は,中心孔と切り欠き部とが滑らかに連続した状態ではなく,略円形と扇状形が単に接合した状態の空間部を形成している。そうすると,両意匠ともに切り欠き部が略扇状ではあるものの,全体形状および中心孔を含めた内部全体の空間部については具体的態様が異なるものであるというべきである。
したがって,正面視略C字状の磁気活水器の全体を曲面で構成し,蛇口への取付のための切り欠き部を略扇状に形成したものが,本願出願前に公然知られていたとしても,全体形状および中心孔を含めた内部全体の空間部については具体的態様が異なることから,一定の創作があったというべきである。さらに,切り欠き部のみに着目した場合には,扇状であるともいうことができるものの,切り欠き部は,水道管に装着するための切り欠き部であるから,本願意匠が属する分野においては,切り欠き部の形状には,一定の制約があり自由に創作できる部分ではないこともあり,中心孔を含めた内部の空間部全体を観察すべきであって,一部のみが公然と知られていることを理由に全体の創作が容易であることの根拠とすることは相当ではない。すなわち,本願意匠は,正面視略楕円形状の中心孔と略扇状開放部とが滑らかに連続し,両者が合体して略鍵穴状の空間部を形成している点に,創作行為が行われたということができるものであって,容易に創作ができたとはいえない。
加えて,本願意匠の端面(平面視上下辺)は平坦面であるが,意匠4の同部はやや不鮮明ではあるが曲面であることが看取される。そうすると,長手方向の長さを単に変更したとしても,本願意匠のように端面が平坦面状にはならない。したがって,本願意匠と意匠4とは,長手方向の長さが異なるのみならず,その具体的形状も異なるものであり,上記のとおり内部の空間部の形状が異なるのであるから,一定の創作が行われたというほかないものであり,本願意匠は,公然知られたものと認められる磁気活水器の意匠4の長手方向の長さを単に変更したに過ぎないということはできない。さらに,本願意匠の形状は,長さを変更するに当たって,商習慣上普通に行われる改変の範疇を超えた域に達しているといわざるをえない。
以上のとおりであって,本願の意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものということはできない。

5.むすび
したがって,本願の意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-09-17 
出願番号 意願2007-18756(D2007-18756) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (K6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 太田 茂雄 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 橘 崇生
樋田 敏恵
登録日 2010-11-12 
登録番号 意匠登録第1403251号(D1403251) 
代理人 佐藤 明子 
代理人 西村 竜平 
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