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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7
管理番号 1226471 
審判番号 不服2010-7899
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-14 
確定日 2010-10-15 
意匠に係る物品 自動車用シート 
事件の表示 意願2009- 4252「自動車用シート」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願は、平成21年(2009年)2月27日の意匠登録出願(意匠に係る物品「自動車用シート」)であり、その意匠は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
これに対して、原審は、拒絶の理由について、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下、「引用意匠」という。)に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条の規定により意匠登録をすることができないものであるとしたものである。

電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2008年9月22日
受入日 特許庁意匠課受入2008年9月26日
掲載者 本田技研工業株式会社
表題 Honda|CR-V|タイプ&価格|ZX イン
テリア
掲載ページのアドレス http://www.honda.co.jp/CR-V/type/zx-interior/index.html
に掲載された「自動車用シート」のうち、前列手前側の自動車用シ
ートの意匠。(別紙第2参照)
そこで、原審が拒絶の理由において本願意匠が類似するとした引用意匠との類否判断について検討すると、意匠に係る物品が同一で、形態について、両意匠を対比し、両意匠に共通する(1)背もたれ部の上部にヘッドレストを配した態様、(2)背もたれ部と座部の左右のサイドサポート部を盛り上げた態様及び(3)背もたれ部と座部の線条溝部による分割態様は、(1)(2)の態様が、いずれも自動車用シートの構成態様を概括的に捉えたものに過ぎず、この種自動車用シートにおいて需要者は車室内空間における快適性や安全性に強い関心を示すものであることを考慮すれば、より具体的な態様に需要者の注意が惹くものであって、また、(3)の背もたれ部と座部の分割態様も、本願意匠出願前にこの種の自動車用シートの分野においてありふれた態様で、需要者の格別の注意を惹くものではなく、一方、具体的な態様において、差異点として、特に、(A)背もたれ部のサイドサポート部について、(A-1)全体を、本願意匠は、それぞれ左右のサイドサポート部の前端が、内外の両側面とでやや鋭角な稜線を形成し、その稜線が、側面視、やや斜め略倒「へ」の字状にして、前方への最大突出部分である屈曲部の位置を、ヘッドレストを含まない背もたれ部の高さの約1/3とし、その屈曲部が前方へ大きく突出したのに対して、引用意匠は、内外の両側面とでできる前端を丸面状とし、その前端が、側面視、やや斜め略「し」の字状にして、前方への最大突出部分の屈曲部の位置を、背もたれ部の下端寄りとし、その屈曲部が上方から滑らかに続く大きな円弧状に突出した点、(A-2)左右のサイドサポート部の各外側側面の前半部を、本願意匠は、上部を肩部へとやや鋭利な放物線状の先端が後方へ斜め上向き方向に食い込むように緩やかな凹曲面状に抉り、その凹曲面状から下方へ、側面視、稜線に沿ってやや幅広帯状とし、かつ、平面視、上部の凹曲面状から屈曲部にかけて、徐々に側面が外方向に開き正面側を向くようにしながら、凸曲面状に切り替わる捩れ面を形成し、さらに、屈曲部の凸曲面状から下端へはほぼそのまま凸曲面状に続けたのに対して、引用意匠は、前後半部とを同一面状とし、かつ、上下方向に捩れ面の無い略平坦面とした点、(A-3)左右のサイドサポート部の各内側側面を、本願意匠は、互いの内側側面との延長線上にできる角度が、上部でやや鈍角に開き、中程から下部にかけてやや鋭角に閉じて、それぞれの内側側面が緩やかな捩れ面を形成したのに対して、引用意匠は、互いの内側側面とでできる角度が、上下方向へ同じ開きを持って、それぞれ捩れ面の無いものとした点の差異は、いずれもシートに人が腰掛けて左右両側で人を抱え込もうとする部分にあって、視覚的に目立ち、そこでは本願意匠は、稜線と屈曲部の態様によって、全体的にかなり鋭利な印象を与えるものとなり、また、内外両側面の態様によって、変化に富んだ面構成を成したものであって、一方の引用意匠が、屈曲部の突出態様によって、丸味が強調され、左右のサイドサポート部の内外両側面が、捩れ面の無い、変化の少ない単調な面構成を成すものであるから、両意匠の差異点(A-1)ないし(A-3)の合わせ持った具体的な態様は異なるものと言わざるを得ず、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく、これらの共通点及び差異点を総合すれば、既に差異点が共通点を凌駕して、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものである。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一としても、形態において、差異点が共通点を凌駕し、異なる美感を起こさせるものであるから、意匠全体として両意匠は類似しない。
以上のとおりであり、両意匠は類似しないものであるから、本願意匠は引用意匠に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条の規定により意匠登録をすることができないものであるとした原審の拒絶の理由によって、本願について拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-10-04 
出願番号 意願2009-4252(D2009-4252) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 真珠松尾 鷹久 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 市村 節子
杉山 太一
登録日 2010-11-05 
登録番号 意匠登録第1402843号(D1402843) 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 

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