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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1228220 |
審判番号 | 不服2010-4568 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-02 |
確定日 | 2010-11-26 |
意匠に係る物品 | 電子計算機用データ表示機 |
事件の表示 | 意願2009- 7203「電子計算機用データ表示機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする2009年(平成21年) 3月30日の意匠登録出願であって,その意匠は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電子計算機用データ表示機」とし,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,実線で表した部分は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である,としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠,すなわち,平成20年(2008年) 9月 8日に,特許庁発行の意匠公報記載,意匠登録第1339236号(意匠に係る物品,液晶モニター)における支持台部の意匠であって,その形態は,同公報の図版に表されたとおりのものである(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用意匠」という。)。(別紙第2参照。) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「電子計算機用データ表示機」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「液晶モニター」であって,表記は異なるが,各種の記載等を総合すれば,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 (2)本願意匠と引用意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲 本願意匠と引用意匠は,用途・機能及び位置・大きさ・範囲について,略横長矩形盤状の液晶表示器本体の下辺中央部に取り付けられた「支持台」の「支持脚部」を除く,接地面に接触する「支持台盤部」に関するものであるから,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,一致する。 (3)本願意匠と引用意匠の形態 本願意匠と引用意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (共通点) (A)両意匠は,全体が,外周縁端部に側周面が形成された楕円盤状体であり,その略中央部に支持脚部の「接合部」を設け,底面には,楕円盤状体の外周縁からやや内側に凹んだ態様で,薄い「楕円形状台部」が設けられたものである点。 (相違点) (ア)本願意匠は,楕円盤状体の上面部が緩やかな球面状に膨出しているのに対して,引用意匠は,当該部が平板状である点, (イ)本願意匠は,支持脚部との接合部が平面視円形状で,支持脚部が嵌合する「貫通孔部」が形成されているのに対して,引用意匠は,当該接合部は,平面視楕円形状で,支持脚部との接合部に貫通孔部はなく,具体的な接合態様は不明である点, (ウ)本願意匠は,底面の具体的態様について,貫通孔部の円形状のリブ状部と楕円形状台部の楕円状のリブ状部のみが接地面と水平に接するように構成され,その余の部分は,空洞になっているのに対して,引用意匠は,その楕円状台部全体が平板状である点。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 (1)形態の共通点及び相違点の評価 共通点(A)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり,また,この種物品分野の意匠においてありふれた態様であって,両意匠にのみ特徴的な構成態様ではないから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。 これに対して,相違点(ア)は,目に付き易い部位に係るものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいというべきであり,また,相違点(イ)及び同(ウ)は,部分意匠として見た場合,見る者に別異の印象を強く与えるものであって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,そして,相違点全体が相まった視覚的効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。 (2)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,一致し,部分意匠としての用途・機能及び位置・大きさ・範囲も一致するが,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きくないのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-11-10 |
出願番号 | 意願2009-7203(D2009-7203) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 成田 陽一 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
市村 節子 太田 茂雄 |
登録日 | 2010-12-24 |
登録番号 | 意匠登録第1406157号(D1406157) |
代理人 | 羽切 正治 |