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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) F4
管理番号 1229924 
判定請求番号 判定2010-600056
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2011-02-25 
種別 判定 
判定請求日 2010-09-22 
確定日 2011-01-14 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 上記当事者間の登録第1287490号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「包装用容器」の意匠は、登録第1287490号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1 請求の趣旨及び理由
本件判定請求人(以下、「請求人」という。)は、イ号写真、イ号図面及びイ号図面(部分意匠)に示す「包装用容器」の意匠(以下、「イ号意匠」という。(別紙第2参照))は、登録第1287490号意匠(以下、「本件登録意匠」という。(別紙第1参照))及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求め、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出し、以下のとおり主張した。

(1)本件登録意匠の要部
請求人は、商品を収納した状態で陳列された際に、需要者が商品の全体形状を把握し易く、かつ、台紙に記載された商品名や商品情報、商標等が瞬時に把握できるようにブック型の容器形状とすることをコンセプトとして本願意匠をデザイン創作した。
すなわち、容器本体の前面を、平面視、外側に湾曲した弧状凸面からなる帯状面状部と、内側に湾曲した弧状凹面からなる幅広面状部とで形成し、両面状部の連結部を山形に突出させて容器本体の前面に立体感を持たせることで、商品や商品情報等が浮かび上がって見えるようにし、しかも、連結部を両面状部が明確に区分されてなる突条ラインに形成してなることで、幅広面状部には商品の収納部と商品情報等の伝達機能を発揮するスペースを備えさせてなると共に、帯状面状部には商号や商標等を付すことが可能な背表紙的機能を併備させてなる容器形状を実現した。この種包装用容器としては、従来にはまったく見られない斬新な形態で、市場において需要者から特徴ある商品形態として認識されているものである。

(2)本件登録意匠とイ号意匠との類否
両意匠は、基本的構成態様及び具体的構成態様を共通にしてなるだけでなく、その性質、用途、使用態様及び部分意匠としての位置、大きさ、範囲を容器本体の前面部分とする点で共通しており、幅広面状部に商品の収納部と商品情報等の伝達機能を発揮するスペースを備え、帯状面状部に商号や商標等を付すことが可能な背表紙的機能を併備させ、容器本体の前面に立体感を持たせて商品や商品情報等が浮かび上がって見える使用態様の共通性にも鑑みれば、特にこの種物品の形態として公知意匠にない新規かつ斬新な形態において共通してなる以上、需要者に対して包装した商品が恰もシリーズ商品であると誤認させるほど、両意匠の共通点である基本的構成態様は類否判断を左右する大きな要素となるものである。
これに対し、相違点は、この種包装用容器の物品分野においては、収納する商品の形状や寸法、台紙の大きさ等に合わせて適宜変更される程度の相違に過ぎず、両意匠の類否判断を左右する相違ではなく、共通点を凌駕するものではない。

第2 被請求人の答弁の趣旨及び理由
被請求人は、イ号意匠に示す包装用容器は、意匠登録第1287490号の登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さない、との判定を求めると答弁し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出し、以下のとおり主張した。
ただし、被請求人は、判定請求書に添付された図面について誤りがあると主張し、新たにイ号意匠図面(訂正)(乙第9号証)とイ号意匠図面(部分意匠)(訂正)(乙第10号証)を提出している。

(1)本件部分意匠の要部について
本件登録意匠の出願日前に公知になった意匠には、乙第1号証ないし乙第6号証で示した公知意匠がある。この公知意匠の存在を参酌すると、本件部分意匠の要部は、次の要件をすべて包含したものといえる。
すなわち、意匠に係る物品が包装容器であり、透明な合成樹脂からなる蓋部分やカバー部分としての用途及び機能を有し、その形態は、〈1〉正面視、縦横比が略2:1としてなる縦長長方形状で、〈2〉右面部が右縁部分から内側に湾曲した面をもって中央に向かって10?20度の緩い角度で立ちあがり、〈3〉左面部が左縁部分から外側に湾曲した面をもって中央に向かって50度程度の急角度で立ちあがり、〈4〉右面部と左面部の中央部分での交点が突条ラインとなっており、〈5〉右縁部分と突条ラインを結ぶ角度は、緩い角度であり、左縁部分と突条ラインを結ぶ角度は、急な角度であり、従って、正面視、右面部は、正面部と認識され、左面部は、側面部と認識されることを要し、〈6〉左面部と右面部の正面視における面積比は、略1:3.5であり、〈7〉左面部と直交する方向からみた左面部と右面部の面積比は、略1:0.8であり、〈8〉右面部と直交する方向からみた左面部と右面部の面積比は、略1:7であり、〈9〉下に収納部を有する物品全体の上蓋部分であること、である。

(2)本件登録意匠の基本的構成態様と具体的構成態様の解釈
公知意匠を参酌すれば、請求人が述べている本件登録意匠の基本的構成態様と具体的構成態様について、以下のように限定的に解釈すべきである。
〈1〉本件登録意匠の基本的構成態様
容器本体の正面視形状は、縦細長長方形状で、容器本体の前面は、左側が縦長長方形状を呈する幅細帯状側面部、右側が縦長長方形状を呈する幅広正面部として形成され(右面部は、正面部として認識されるが、左面部は、側面部として認識される。)、幅細帯状側面部の横幅が、幅広正面部の横幅に比して十分に小さく、平面視、幅細帯状側面部と幅広正面部とが頂部の高い略逆への字状を呈している。
〈2〉本件登録意匠の具体的構成態様
容器本体は、正面視、縦横比を大略9.3:4.5とした縦細長長方形状に形成され、幅細帯状側面部と幅広正面部との横幅比が大略1.6:3.7に形成され、幅細帯状側面部は、左側端縁から前面側に大略50度で立ち上がる鋭角に形成され、幅広正面部は、右側端縁から前面側に大略18度で立ち上がる鋭角に形成され、幅細帯状側面部と幅広正面部との連結部は、直角に近い大略110度からなる鈍角に形成され、左面部と右面部の正面視における面積比は、略1:3.5であり、左面部と直交する方向からみた左面部と右面部の面積比は、略1:0.8であり、右面部と直交する方向からみた左面部と右面部の面積比は、略1:7であり、正面視、右面の幅広正面部は、正面部と認識され、左面の幅細帯状側面部は、側面部と認識される。

(3)イ号意匠について
〈1〉イ号意匠の基本的構成態様
容器本体の正面視形状は、正4角形に近いやや縦長長方形状で、容器本体の前面は、左側が縦長長方形状を呈する左側正面部、右側が縦長長方形状を呈する右側幅広正面部に形成され(後述するように、左面部と右面部は、ともに正面部として認識される。)、左側正面部の横幅が、右側幅広正面部の横幅に比してやや小さく形成され、平面視、左側正面部と右側幅広正面部とが頂部の低い略逆への字状を呈している。
〈2〉イ号意匠の具体的構成態様
容器本体は、正面視、縦横比を大略9.3:6.1としたやや縦長長方形状に形成され、左側正面部と右側幅広正面部との横幅比が大略1.7:2.8に形成され、左側正面部は、左側端縁と突条ラインを結ぶ角度が大略21度で立ち上がる鋭角に形成され、右側幅広正面部は、右側端縁と突条ラインを結ぶ角度が大略12度で立ち上がる鋭角に形成され、左側正面部と右側幅広正面部との連結部は、大略147度からなる鈍角に形成され、左側正面部と右側幅広正面部の正面視における面積比は、略1:2であり、左側正面部と直交する方向からみた左側正面部と右側幅広正面部の面積比は、略1:2であり、右側幅広正面部と直交する方向からみた左側正面部と右側幅広正面部の面積比は、略1:2.2であり、正面視、右面の右側幅広正面部と、左面の左側正面部は、ともに正面部と認識される。

(4)類否判断
〈1〉本件登録意匠では、容器本体の縦横比が大略9.3:4.5と細長いという印象を与えるのに対し、イ号意匠は、大略9.3:6.1と正方形に近い長方形であるため、細長いという印象を与えない。
〈2〉本件登録意匠では、左面部が大略50度で立ち上がり、右面部が大略18度で立ち上がっており、突条ラインの角度が直角に近い大略110度であるから、左面部が容器本体の側面部と認識され、右面部が正面部と認識されるのに対し、イ号意匠は、左面部が大略21度で立ち上がり、右面部が大略12度で立ち上がっており、突条ラインの角度が平面に近い大略147度であるから、左面部と右面部がともに正面部の一部と認識される。
〈3〉本件登録意匠では、左面部と右面部の正面視における面積比は、略1:3.5であり、左面部と直交する方向からみた左面部と右面部の面積比は、略1:0.8であり、右面部と直交する方向からみた左面部と右面部の面積比は、略1:7であるから、特に、右面部と直交する方向からみた左面部がきわめてせまく認識されるのに対し、イ号意匠は、左側正面部と右側幅広正面部の正面視における面積比は、略1:2であり、左側正面部と直交する方向からみた左側正面部と右側幅広正面部の面積比は、略1:2であり、右側幅広正面部と直交する方向からみた左側正面部と右側幅広正面部の面積比は、略1:2.2であるから、右側幅広正面部と直交する方向からみた左側正面部は、十分広く認識される。
したがって、本件登録意匠とイ号意匠は、ともに、左面部が外側に湾曲した弧状凸面として形成され、右面部が内側に湾曲した弧状凹面として形成され、左面部と右面部との連結部が両面状部を区分する突条ラインとして形成されている点で共通しているとしても、相違点が共通点を凌駕し、イ号意匠は、本件登録意匠の登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さないことは明白である。

第3 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、部分意匠として登録を受けようとし、平成18年6月8日に出願され、平成18年10月20日に意匠権が設定登録されたもので、意匠に係る物品は「包装用容器」であり、その形態は、願書の記載及び願書添付の図面の記載のとおりのものであり、願書の【意匠の説明】欄の記載には「実線であらわした部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。斜視図及び端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。本物品は全体が透明である。」とある(別紙第1参照)。

2.イ号意匠
イ号意匠は、請求人が提出した「イ号写真」、「イ号図面」及び「イ号図面(部分意匠)」に示す「包装用容器」の意匠である。請求人は、「イ号意匠説明書」において、イ号意匠を説明している。
しかしながら被請求人は、請求人が提出した「イ号図面」及び「イ号図面(部分意匠)」に記載された「斜視図」に誤りがあるとし、これを訂正した「斜視図」を提出している(別紙第3参照)。
以上を勘案すると、「イ号写真」による全写真、「イ号図面」及び「イ号図面(部分意匠)」の斜視図を除いた各図面については当事者間に争いはないので、争いのない写真と図面に基づいてイ号意匠を認定することとし、本件登録意匠との類否を判断する。

3.両意匠の対比
両意匠は、意匠に係る物品が「包装用容器」で一致し、その部分は、両意匠とも、背面側容器体と正面側容器体からなり、台紙と共に商品を収納して使用される包装用容器の、正面側容器体の前面の表面部分に係るもので、吊下孔部とマウス収納部を除いた部分であるから、両意匠の用途及び機能、位置、大きさ、範囲は一致しており、形態においては、以下の一致点と相違点がある。
(1)一致点
(A)基本的構成態様について、正面視の全体形状が縦長長方形状であり、上縁部から下縁部まで一定の高さで正面側(前面側)に山形に突出させたもので、山形頂部をなす突条ラインは正面視左辺寄りに設けられ、平面視形状は略への字状をなし、突条ラインの左側は、正面視、細長帯状の縦長長方形状(以下、「帯状面状部」という。)で、外側に湾曲した弧状凸面として形成され、突条ラインの右側は、正面視、幅広面状の縦長長方形状(以下、「幅広面状部」という。)で、内側に湾曲した弧状凹面として形成されているので、突条ラインは弧状凸面と弧状凹面の境界でもあり、全体を透明とした態様である。
(B)具体的構成態様について、帯状面状部の左側端縁からの立ち上がりはやや急角度であり、幅広面状部の右側端縁からの立ち上がりはごく緩い角度であって、幅広面状部は富士山の裾のような緩斜面状に形成されており、突条ラインをなす帯状面状部と幅広面状部との連結部が鈍角に形成された態様である。

(2)相違点
(a)正面視の縦長長方形状の縦横比が、本件登録意匠は約2:1とした細長であるのに対し、イ号意匠は約3:2であり本件登録意匠よりも細長くない点、
(b)正面視における帯状面状部と幅広面状部の横幅比や面積比が、本件登録意匠は約1:3.5であるのに対し、イ号意匠は約1:1.9である点、
(c)正面横幅に対する突条ライン部の突出高さの比が、本件登録意匠は約3.6:1で高く突出しているのに対し、イ号意匠は約6.8:1で低い点、において相違する。

4.両意匠の類否判断
意匠の類否を判断するにあたっては、意匠を全体として観察することを要するが、この場合、意匠に係る物品の性質、用途、使用態様、更には公知意匠にはない新規な創作部分の存否を参酌して、意匠に係る物品の取引者・需用者の注意を最も惹きやすい部分を把握し、両意匠がこの部分において構成態様を共通にするか否かを中心にして観察して、両意匠が全体として美感を共通にするか否かを判断すべきものであるから、まず、本件登録意匠における新規な創作部分、すなわち本件登録意匠の特徴について検討する。
(1)本件登録意匠の特徴
本件登録意匠のような、背面側容器体と正面側容器体からなり、台紙と共に商品を収納して使用される包装用容器の分野においては、商品収納部分については、商品形状に合わせて、正面側に、あるいは正面側と共に背面側に突出形成した態様は、ごく一般的に見られる普通の態様であるが、商品収納部分が形成されない非収納部分については、台紙に記載された商品名や商品情報、商標等が視認できるように平坦状に形成されてなるのが一般的な態様である(甲第4号証及び甲第5号証)が、正面側容器体の商品収納部ではない前面部分を平坦状としていない態様もあるところ(例えば、特開2001-287771や特開2005-153987参照。)、上縁部から下縁部まで山形状に突出させた態様も、その山形状を平面視略略逆への字状の山形状とした態様も存せず、新規な創作部分というほかなく、本件登録意匠の特徴というべきである。そしてこの態様では、正面側容器体の商品収納部ではない前面部分を山形状に立体感を持たせるとともに、その頂部部分を突条ラインとしているので、帯状面状部と幅広面状部が明確に区分されることとなり、それぞれ弧状凸面と弧状凹面という面の違いも相まって、商品収納部の背景部として埋没することなく独自の視覚効果を発揮している。
すなわち、帯状面状部は突条ラインまで急角度で立ち上がるので面積は小さくても視覚を惹き付ける効果があり、幅広面状部は面積は大きくても弧状凹面なので突条ラインから後退していく印象を与えるが、需要者の注意を惹かねばならない商品収納部を目立たせる効果がうかがわれる態様となっており、本件登録意匠は、帯状面状部も幅広面状部も共に需要者の注意を惹く態様にまとめているといえ、「需要者が商品の全体形状を把握し易く、かつ、台紙に記載された商品名や商品情報、商標等が瞬時に把握できるようにブック型の容器形状とすることをコンセプトとした」と主張する請求人の創作意図がよく表れている。
(2)類否判断
以上を前提に、両意匠の一致点と相違点を総合し、意匠全体として検討すると、一致点は、基本的構成態様をなすものであり、その態様自体が、この種意匠分野では今までにない本件登録意匠の独自の特徴であるのだから、イ号意匠は本件登録意匠の特徴をそのまま表しているとの印象を見る者に与え、看者に共通の美感を起こさせるから、類否判断に支配的な影響を及ぼすものといえる。
これに対して相違点(a)ないし(c)は、いずれも構成比率に係るものであるが、この程度の比率の相違では、基本的構成態様で示した正面視の縦長長方形状や平面視形状の略逆への字状等が変更されるものではなく、また、この包装用容器の分野にあっては、基本的構成態様を変えないで構成比率を改変することは常時行われる改変で、意匠的効果の変更とはみなされず、看者の注意を惹かないので、類否判断を左右するものではない。
なお、被請求人は、本件登録意匠とイ号意匠との相違点として、帯状面状部及び幅広面状部と直交する方向からみた時の、帯状面状部や幅広面状部の面積比の相違を相違点として列挙しているが、それら面積比の相違は審決が摘示した両意匠の形態の相違点に由来し、特定の方向から視認した場合に一時的に視認され得る面積比の相違でしかなく、美感に影響を及ぼすものでもなく、類否判断で検討すべき事項ではない。
以上のとおり、両意匠の一致点は圧倒的で、類否判断を支配しているのに対し、相違点は微弱というほかなく、看者に共通の美感を起こさせているというべきである。

5.むすび
したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2011-01-06 
出願番号 意願2006-14821(D2006-14821) 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (F4)
最終処分 成立 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 樋田 敏恵
橘 崇生
登録日 2006-10-20 
登録番号 意匠登録第1287490号(D1287490) 
代理人 野村 慎一 
代理人 古澤 俊明 
代理人 藤本 昇 
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