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審決分類 審判 判定   属する(申立成立) K0
管理番号 1231547 
判定請求番号 判定2010-600069
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2011-03-25 
種別 判定 
判定請求日 2010-12-03 
確定日 2011-02-03 
意匠に係る物品 廃棄物焼却炉用ロストル 
事件の表示 上記当事者間の登録第1338589号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「廃棄物焼却炉用ロストル」の意匠は、登録第1338589号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は,イ号図面に示す「廃棄物焼却炉用ロストル」の意匠(以下,「イ号意匠」という。)は,登録第1338589号意匠(以下,「本件登録意匠」という。)およびこれに類似する意匠の範囲に属する,との判定を求める,と申し立て,その理由として,要旨以下のとおり主張し,甲第1号証の1ないし甲第1号証の4および乙第1号証の1,乙第1号証の2,乙第2号証の1,乙第2号証の2を提出した。

1.本件登録意匠の説明
本件登録意匠の意匠に係る物品は,ストーカ式廃棄物焼却炉の炉床の火格子列に使用される「廃棄物焼却炉用ロストル」である。

(1)本件登録意匠の意匠登録を受けた部分(以下,「本件意匠登録部分」という。)の基本的な構成
本件意匠登録部分は,ロストルのブロック本体の前後方向の略中央位置よりやや前方部分であり,ブロック本体およびブロック本体の前端部から下方に垂設された前壁と,ブロック本体の前端側天面に形成された複数のノズル口と,ブロック本体の後端部で底部側に形成されて,ノズル口に連通される導入通路と,ブロック本体の底面に前後方向に突設された縦リブおよび縦リブ間に形成された案内通路と,これら案内通路の後端側で仕切り板により区画された導入通路とを具備している。

(2)本件登録意匠の具体的な構成
ア.ブロック本体および前壁
ブロック本体の天面は,後部から前方に,後方のロストル(前壁)が摺動される平坦な摺動面の後端部分と,この摺動面後端から僅かに前部下方に傾斜された傾斜面と,平坦面に形成されて焼却物を支持する燃焼面と,前部下方に傾斜された面取り部とが順に形成され,前記燃焼面に,4本のスリット状のノズル口が幅方向に所定間隔をあけて前後方向に形成されている。前壁は,ブロック本体の燃焼面の後半部と面取り部の下方に垂設され,前壁の前後方向の厚みが,ブロック本体の摺動面の厚みの略3倍程度に形成されている。前壁の底面にアリ溝形の係合溝が幅方向にわたって形成され,この係合溝を介してシューブロックが前壁の底部に一体に取り付けられている。
イ.ノズル口
燃焼面で前後方向に長いスリット状に形成されて,幅方向に一定間隔ごとに4個が形成されている。
ウ.縦リブおよび案内通路
ブロック本体の底面の左右側面で,前壁,後壁間とにわたって突設された外縦リブと,これら外縦リブ間に互いに平行に突設された3本の内縦リブとを具備し,これら縦リブ間にそれぞれ燃焼空気を案内する4本の案内通路が前後方向に形成されている。
エ.仕切り板および導入通路
ブロック本体の底面で5本の縦リブ間に形成された4本の案内通路の端部側に,幅方向の仕切り板を取り付けることにより,底部から前部上方に傾斜する導入通路が区画形成され,4本の導入通路の奥面にノズル口がそれぞれ開口されている。仕切り板は,溝部により内縦リブを跨いで配置されて案内通路と導入通路とを区画する本体部と,この本体部の上部でL字形に折り曲げられて,中間の2本の案内通路の天面にそれぞれ取付ボルトを介して取り付けられた取付部とで,側面視L字形に形成されている。

2.イ号意匠の説明
イ号意匠の意匠に係る物品は,ストーカ式廃棄物焼却炉の炉床の火格子列に使用される「廃棄物焼却炉用ロストル」であり,本件意匠登録部分とイ号意匠の対応部分の形態は,以下の相違点を除いて一致する。

3.本件意匠登録部分とイ号意匠対応部分との相違点
本件登録意匠では,前壁の底面に係合溝が幅方向にわたって形成された点,および前壁の底部に係合溝を介してシューブロックが取り付けられた点を具備するのに対して,イ号意匠では,前壁は一体に構成されており,係合溝およびシューブロックが設けられておらず,前壁の底部が直接の前位置のロストルの摺動面に摺接される点で相違する.

4.本件意匠登録部分とイ号意匠対応部分との類否考察
本件登録意匠部分の特徴と要部は,乙第2号証の1および乙第2号証の2に示す先行周辺意匠と比較すると,(1)ブロック本体の燃焼面にスリット状の4本のノズル口を形成した形態,(2)縦リブ間に形成された案内通路をそれぞれ仕切り板で区画して導入通路を形成し,この導入通路をノズル口に連通させた形態,(3)前壁の底部に係合溝を形成して,シューブロックを取り付けた形態にあると判断される。
そして,本件意匠登録部分とイ号意匠対応部分とを比較すると,本件意匠登録部分の特徴である(1)のノズル口および(2)の導入通路の形態が互いに共通しているが,イ号意匠の対応部分は(3)シューブロックの形態を有しておらずシューブロックの有無の点で相違している。
ところで,本件意匠登録部分における外観上の重要度を検討すると,(1)のノズル口は,ブロック本体の平面に明瞭に表れており,また(2)の導入通路も特異な凹凸形状が表出されて印象の強い外観を呈している。しかしながら,(3)のシューブロックは,前壁の底部が1本の分割線で区画されるだけで,需要者は係合溝を外観視することができず,全体として需要者に与える印象が弱く,意匠としての重要度が低いものと判断できる。
したがって,本件意匠登録部分とイ号意匠対応部分は,両意匠に共通する本件登録意匠の特徴部分(1)で示したノズル口の形態および(2)で示した導入通路の形態が需要者に強く印象づけられて,両意匠の差異点であるシューブロックの形態を十分に凌駕しており,イ号意匠は本件登録意匠の類似範囲に属する意匠である。

第2.被請求人の答弁及び理由
請求人は,本件登録意匠の実施にあたり,性能を向上させる目的で本件登録意匠に設計変更を加えてイ号意匠を創作し,これを実施しようとして判定請求をしたものであり,答弁を求めるべき被請求人は存在しない。

第3.当審の判断
1.本件登録意匠について
本件登録意匠は,平成19年9月26日に出願され,意匠に係る物品を,「廃棄物焼却炉用ロストル」とし,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって,意匠登録を受けようとする部分を実線で表し,その他の部分を破線で表したものであって,平成20年7月25日に登録意匠第1338589号として意匠権の設定の登録がされたものであり,その形態は,願書に添付された図面のとおりのものである(別紙第1参照)。
なお,本件登録意匠は,厳密には破線部分を含む意匠であるが,意匠登録を受けようとする部分を実線で表して意匠登録出願し,これが登録になったのであるから,実質的には実線部分について意匠登録されたものであり,対比する際には実線部分について対比することから,本件意匠登録部分と言い換える必要はないので,以下,本件登録意匠のうち意匠登録を受けた部分を,単に本件登録意匠という。

(1)本件登録意匠の基本的構成態様について
本件登録意匠の意匠登録出願時の願書に添付された図面における正面図の右方を前部とすると,本件登録意匠は,前後方向の長さと幅が略2:1であって,前方と後方に垂直な壁面が形成されたブロック本体とこれに連続して後端部に形成されたブラケット部からなるロストルのうち,ブロック本体の前後方向の中央位置よりやや前方部分であり,ブロック本体およびブロック本体の前端部から下方に略L字状に形成された垂直面からなる前壁と,ブロック本体の前端側天面に形成されたノズル口と,ブロック本体の底面側に形成され,ノズル口に連通される導入通路と,ブロック本体の底面に前後方向に突設された縦リブおよび縦リブ間に形成された案内通路と,これら案内通路は前端側で仕切り板により区画され,導入通路へ繋がる基本的構成態様からなるものである。

(2)本件登録意匠の具体的構成態様について
ア.ブロック本体および前壁について
ブロック本体の天面は略平坦な摺動面からなるが,摺動面の前端にわずかな細幅の平坦面が連続し(一点鎖線前方の摺動面部),そこから細幅の傾斜面が形成され,傾斜面の略2倍程度の幅の平坦面(以下,「燃焼面」という。)へと連続し,ブロック本体の前方角部には面取りされた傾斜面が形成され,そこから下方に垂直面が前壁として形成されている。そして,前壁は,右側面視横長長方形状であり,前後方向の厚さは,ブロック本体の摺動面の厚さの略3倍程度であり,内側は前方に傾斜して形成され燃焼面のノズル口へ連続し,前壁は縦リブと一体的に形成されているが,前壁と外縦リブの間にはわずかな段差が形成され,前壁および天面と外縦リブの傾斜部とで略直角台形状の平坦面が側部に形成されている。前壁の底部に縦リブの傾斜部の端部位置に,シューブロックを取り付けられるようアリ溝形状の係合溝が幅方向にわたって形成されている。
イ.ノズル口について
燃焼面には,4本のスリット状のノズル口が,平坦面の前後方向にわずかな幅を残して略等間隔に形成されている。
ウ.縦リブおよび案内通路について
ブロック本体の底面の左右側面で,前壁,後壁間とにわたって突設された外縦リブと,これら外縦リブ間に互いに平行に突設された3本の内縦リブとを具備し,これら縦リブ間にそれぞれ燃焼空気を案内する4本の案内通路が前後方向に形成されている。
エ.仕切り板および導入通路について
ブロック本体の底面で5本の縦リブ間に形成された4本の案内通路の端部側に,幅方向の仕切り板を取り付けることにより,底部から前部上方に傾斜する導入通路が区画形成され,4本の導入通路の奥面にノズル口がそれぞれ開口されている。仕切り板は,溝部により内縦リブを跨いで配置されて案内通路と導入通路とを区画する本体部と,この本体部の上部でL字形に折り曲げられて,中間の2本の案内通路の天面にそれぞれ取付ボルトを介して取り付けられた取付部とで,側面視L字形に形成されている。

2.イ号意匠について
イ号意匠は,判定請求書に添付の,乙第1号証の1の図面により示されたものであり(別紙第2),意匠に係る物品が「廃棄物焼却炉用ロストル」と認められ,その形態を,別紙第2に示すとおりとするものである。本件登録意匠とこれに相当するイ号意匠の部分の形態は,以下の相違点を除いて一致する。

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比
本件登録意匠とイ号意匠を対比すると,両意匠は,ストーカ式廃棄物焼却炉の炉床の火格子列に使用される「廃棄物焼却炉用ロストル」であるから意匠に係る物品が共通し,本件登録意匠とこれに相当するイ号意匠の部分の形態については主として以下の共通点及び差異点がある。
まず,一致する点は,略L字状に形成された垂直面からなる前壁と,ブロック本体の前端側天面に形成されたノズル口と,ブロック本体の底面側に形成された導入通路と,ブロック本体の底面に前後方向に突設された縦リブおよび縦リブ間に形成された案内通路と,これら案内通路は前端側で仕切り板により区画され,導入通路へ繋がる基本的構成態様が一致し,および,ブロック本体の傾斜面,前壁の厚さや内部構造,ノズル口の形状や数,縦リブからなる案内通路および仕切板により区画された導入通路などの具体的構成態様のほとんどが一致する。
一方,相違点として,(1)本件登録意匠は,前壁の底面にアリ溝形状の係合溝が幅方向にわたって形成されているのに対して,イ号意匠は,前壁が一体的に形成されており,係合溝が設けられておらず,使用状態では前壁の底部が直接前位置のロストルの摺動面に接する点,(2)本件登録意匠は,燃焼面後方の傾斜面が長く,また,燃焼面が短く,ノズル口が平坦面の前後方向にわずかな幅を残して略等間隔に形成されているのに対して,イ号意匠は,燃焼面後方の傾斜面が短く,また,燃焼面が長く,ノズル口が燃焼面の略2分の1の長さで前方寄りに形成されている点,(3)本件登録意匠の底面の仕切板の高さが外縦リブと同一であるのに対して,イ号意匠は,仕切板が外縦リブよりわずかに高く,その端部が側面から観察できる点がある。

4.本件登録意匠とイ号意匠の類否判断
そこで,上記の一致点と相違点について総合的に検討するに,一致点のうち,基本的な構成態様の一致点は,両意匠の形態の全体にかかわりその骨格を構成するところであって,両意匠の特徴をよく表し,形態全体の基調を形成しており,具体的な構成態様の一致点は,全体の具体的な構成に係るものであって,基本的な構成態様と相俟って,両意匠の特徴をよく表しており,これらの一致する態様が両意匠全体のほとんどを占めており,形態全体の基調を決定づける視覚的効果が顕著であるので,これらの一致点は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものであるということができる。
一方,相違点について,(1)の前壁底面におけるアリ溝形状の係合溝の有無は,前壁底面部のみにおけるわずかな相違であり,類否判断に及ぼす影響は軽微であるといえる。なお,本件登録意匠の係合溝が実線により記載されていることからすると係合溝によって,他の部材(シューブロック)が係合されることによって摺動面に接するロストルとして完成されることは容易に想定できるが,イ号意匠の前壁における外縦リブ前端部の位置にアリ溝状の係合溝の仮想線を考えた場合,少なくともその位置までは本件登録意匠とほぼ同様の態様であり,この部分が,イ号意匠における本件登録意匠に相当する部分であると考えることも可能であり,このように考えれば,両意匠が類似するということは明らかであるし,一方,この種のロストルにおいては,先行意匠である乙号証の各証拠にみられるように,シューブロックがないことの方が一般的であることからすると,シューブロックがない状態の創作を行い,その後,耐摩耗性などの観点からシューブロックを係合できるように改良するという経緯を経るのが普通であると考えられることから,本件登録意匠の創作に当たって,前壁が一体的に形成された形状を念頭に創作されたことが十分推定できるし,接触部を別部材とするか一体的に形成するかは意匠的効果よりもコスト面や機能面などの設計的事項を主眼としたものであり,これらの状況を総合的に検討し,かつ,前壁底面以外のブロック本体や前壁,ノズル口,案内通路および導入通路の各態様の特徴が顕著であることを踏まえれば,上記のように類否判断に及ぼす影響は軽微であると判断しても不合理ではない。(2)および(3)の相違点については,いずれもその部分を注視しなければ認識できない程度の相違であるので,類否判断に与える影響はほとんどないということができる。
従って,両意匠についての一致点は,前記のとおり,両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいのに対して,相違点については,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものではなく,相違点が相俟って奏する視覚的効果もわずかなものであり,意匠全体としてみた場合には,相違点が一致点を凌駕するものであるということはなく,両意匠は類似するということができる。

5.結び
以上のとおりであって,イ号意匠は,本件登録意匠に類似するものである。
よって,結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2011-01-24 
出願番号 意願2007-25941(D2007-25941) 
審決分類 D 1 2・ 113- YA (K0)
最終処分 成立 
前審関与審査官 玉虫 伸聡小林 裕和太田 茂雄 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 橘 崇生
樋田 敏恵
登録日 2008-07-25 
登録番号 意匠登録第1338589号(D1338589) 
代理人 森本 義弘 
代理人 原田 洋平 
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