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審決分類 |
審判 査定不服 意9条先願 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1234813 |
審判番号 | 不服2010-7369 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-04-07 |
確定日 | 2011-02-18 |
意匠に係る物品 | 携帯無線電話機 |
事件の表示 | 意願2008- 28308「携帯無線電話機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は,2008年(平成20年)11月 4日に意匠登録出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「携帯用無線電話機」とし,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) これに対して,原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第9条第1項の規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,意匠登録第1357677号の意匠(出願番号 意願2008-025855,出願日 2008年(平成20年)10月 8日)であり,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「カメラ付携帯電話機」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照) そこで本願意匠と引用意匠を対比すると,両意匠は,いわゆるスライド式の携帯電話機であって,意匠に係る物品が一致し, 形態においても,主な共通点として, 基本的構成態様について,縦長で厚みの薄い略矩形板状で,操作部,カメラ部等を設けた背面側筐体に,正面視ほぼ同形同大で,縦長で厚みの薄い略矩形板状で,表示画面等を設けた正面側筐体を重ね合わせて,全体としても厚みのやや薄い略矩形板状の一つの筐体としたものであって,正面側筐体と背面側筐体を重ね合わせた状態で,その外面となる正面と背面は,平行になっており,正面側筐体を,背面側筐体に対して,該背面側筐体の丈の約2分の1の分だけ,上方に摺動させることによって,正面側筐体に覆われていた背面側筐体の正面下部が表れることにより,該部に設けられたカーソル・キー,テンキー等の操作部が操作可能となっているものである点, 各部の具体的構成態様について, 正面側筐体は,正面視角丸矩形状で,その正面の中央に縦長矩形状の表示画面を設けたものである点, 背面側筐体は,背面上部にカメラ部を設けている点, 操作部が,横長矩形状の決定キーの周りに「ロ」字状のカーソル・キーを設け,その両側に略正方形状のファンクション・キーを縦に2つそれぞれ配列し,テンキーは,縦に3列に配列したキーを,それぞれ横に5分割した構成態様としたものである点, がある。 一方,両意匠には,主な相違点として, 筐体の構成態様について,本願意匠は,正面側筐体と背面側筐体の摺動面の態様が正面視「凹曲面」であり,本体側筐体を上方に摺動させると該筐体は,摺動面に沿って,正面側にせり出し,背面側筐体の正面下部に表れる操作部も凹曲面状をなしているのに対して,引用意匠は,正面側筐体と背面側筐体の摺動面は,略平面であり,本体側筐体を上方に摺動させると該筐体は,ほぼ垂直にせり上がるものであって,表れる操作部も略平面状をなしている点, 正面側筐体の正面部の具体的態様について,本願意匠は,正面の四辺を極細幅な縁部を形成し,表示画面下側の余地部が横線で仕切られて扁平な略横長矩形状の大きなタッチセンサー部が形成されており,正面側筐体の表示画面側にはクリア・キーがないものであるのに対して,引用意匠は,正面の四辺にわたる細幅な縁部が形成されているが,その上辺・下辺においては,筐体の縁より内側に入っており,正面側筐体の表示画面下側の余地部の略中央に小さな略縦長矩形状のタッチセンサー部とその左側にクリア・キーを設けているものである点, 正面側筐体の上面の具体的態様について,引用意匠は,横長細幅状の多孔状部があるが,本願意匠は,該部にそのようなものがない点, 背面側筐体側面部のサイド・キーについて,本願意匠は,正面視右側下部の1つ設けているのに対して,引用意匠は,正面視右側に5つ設けている点 背面側筐体の背面部の具体的形状について,本願意匠は,背面上部が背面視略横長矩形状に背面側に突出し,該突出部と背面下部の境界が背面視凹曲面となっているのに対して,引用意匠は,背面筐体の背面部は,カメラ部周辺が小さく薄い横長矩形板状にわずかに突出しているのを除き,ほぼ平坦面である点, がある。 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 共通点は,両意匠の形態全体にわたるものであるが,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないもの,あるいは,細部に係るものであって共通点として微弱なものであるから,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また,表示画面及びカメラ部の具体的構成態様としてあげた共通点も同様であって,操作部の具体的態様に係る共通点が一定程度両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度あるが,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 他方,相違点は,形態全体にわたるものであるとともに,両意匠の特徴をよく表すところであって,両意匠の形態の基調を決定付けているものである。とりわけ,相違点に係る本願意匠の態様のうち,正面側筐体と背面側筐体の摺動面の態様が正面視凹曲面であり,本体側筐体を上方に摺動させると該筐体は,摺動面に沿って,正面側にせり出す点,及び,背面側筐体の背面部の背面上部が背面側に突出し,該突出部と背面下部の境界が背面視凹曲面となっている点,また,正面側筐体の正面下部に大きなタッチセンサー部が設けられてクリア・キーがなく,サイド・キーが1つしかない点は,本願意匠にのみ特徴的なものであって,前記の相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きいという他なく,相違点全体としては,共通点全体の両意匠の類否判断に及ぼす影響を凌駕して,両意匠を見る者に別異の感を与えるに十分なものとなっている。 したがって,意匠に係る物品は,一致するが,形態において,相違点全体の両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれを凌駕しており,両意匠は,意匠全体として類似するとはいえない。 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠をもって意匠法第9条第1項の最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとすることはできないものであり,同条同項の規定により本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2011-02-08 |
出願番号 | 意願2008-28308(D2008-28308) |
審決分類 |
D
1
8・
4-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤原 宗久良 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
太田 茂雄 市村 節子 |
登録日 | 2011-04-01 |
登録番号 | 意匠登録第1412383号(D1412383) |
代理人 | 羽切 正治 |
代理人 | 羽切 正治 |