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審決分類 審判 査定不服  意48条1項3号非創作者無承継登録意匠 取り消して登録 F4
管理番号 1234817 
審判番号 不服2010-21972
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-30 
確定日 2011-03-09 
意匠に係る物品 包装用缶 
事件の表示 意願2009- 6250「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成21年3月19日の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「包装用缶」とし、その形態を願書及び願書添付の図面に記載されたとおりとするものであり、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたものである(以下、本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原査定において、意匠法第3条の2の規定に該当するとして、拒絶の理由に引用された意匠は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、本願出願前の平成20年9月16日の意匠登録出願であって、本願出願後の平成21年8月10日に意匠公報に掲載された意匠登録第1367120号の意匠の一部であり、意匠に係る物品を「包装用缶」とし、その形態を願書及び願書添付の図面に記載されたとおりとするものである(別紙第2参照)。
なお、原査定における拒絶理由通知の記載によれば、引用された意匠は、包装用缶の本願意匠に相当する部分であることは明らかなところである(以下、本願意匠に相当する部分の意匠を「引用意匠」という。)。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠は、いずれも包装用缶に係るものであるから、意匠に係る物品が一致する。
(2)用途及び機能、そして、全体意匠に対する位置、大きさ、範囲
本願意匠は、直径対高さを略4:7とする有底円筒形状の包装用缶の上部略14分の3、下部略14分の2を除いた胴部周壁面の模様部と、これに連接する周壁面の細幅平坦面部に係り、これに相当する部分が、引用意匠にも形成されているから、両意匠は、用途及び機能、そして、全体意匠に対する位置、大きさ、範囲についても一致している。
(3)形態
一方、形態において、主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(ア)共通点
両意匠は、(A)胴部周壁面について、直径に対する高さを略4:5とする割合で本体胴部の周壁面に模様部を凹凸状に設け、その上下には平坦面部を有する態様とした点、(B)凹凸模様部について、三角形の各頂点から重心に向けて窪んだ略三角錐状の凹部を上下左右方向に整然と配列し、その組み合わせにより、麻の葉模様が整然と並んだ態様にあらわれている点、そして、胴部周壁面の模様部上部から下部までに略三角錐状の凹部8つを上下交互に配した点、において共通する。
(イ)差異点
(a)略三角錐状の凹部について、本願意匠は、正三角形により形成しているのに対し、引用意匠は、横幅の狭い二等辺三角形により形成している点、そのため、(b)左右方向における略三角錐状の凹部の数について、本願意匠は、32個の略三角錐状の凹部を上下交互に配しているのに対し、引用意匠は、40個を上下交互に配している点、また、(c)麻の葉模様について、本願意匠は、上下左右に均衡の取れた麻の葉模様を構成しているのに対し、引用意匠は、縦に細長いものとなっている点、(d)模様部上下端部の態様について、本願意匠は、模様部上端部については、下向きの三角形、下端部については上向きの三角形部を、他と同様に、各頂部から重心へ向けて窪ませた略三角錐状の凹部とするのではなく、底辺の中央から頂部までを直線状の凸状稜線とし、凹ませてはいないことから、上下の水平線状稜線の内側は凹んでおらず、本願意匠の上下端部の麻の葉模様は崩れているのに対し、引用意匠は、他と同じ略三角錐状の凹部とし、上下の水平線状稜線の内側を凹ませ、上下端部に完成された麻の葉模様があらわれている点、さらに詳細に見ると、(e)凹凸を構成する稜線について、本願意匠は、全て鋭い直線状で、凹部も凸部も均質に形成され、麻の葉模様の中心部もほぼ一点に集約されているのに対し、引用意匠は、二等辺三角形の各辺は、2本の平行直線で構成する面取り状の稜線とし、麻の葉模様の中心部には小平坦面を有し、二等辺三角形の重心部へ向かう凹状稜線は、弱い一本線状で、凹部の中心部では稜線が消失しており、強弱のある態様となっている点、において差異がある。

4.類否判断
そこで検討するに、共通点の態様は、この種包装用缶の分野において、胴部周壁面に三角形を用いた立体形状を整然と配置することは従来から見られる態様であり、両意匠に独自の構成ということはできず、三角形の頂点から重心へ向けて窪んだ略三角錐状の凹部の配列によって麻の葉模様状とした点については、引用意匠の出願前には無かったものの、麻の葉模様は周知模様であることから、その配列は、独自の構成ということもできず、これらの共通点のみをもって両意匠の類否判断を左右するものとすることはできない。
これに対し、下記考察のとおり、差異点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果は、看者の注意を強く惹くものであるから、両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
とりわけ、(d)における、周壁面の模様部上下端部の態様の差異は、本願意匠が麻の葉模様が崩れ、上下の水平線状稜線も目立たない、変化のある態様であるのに対し、引用意匠は、全て同じ略三角錐状の凹部によって構成され、麻の葉模様に崩れはなく、明確にあらわれる上下の水平線状稜線に囲まれた、単調な印象を与えるもので、両意匠の類否判断に大きな影響を与える顕著な差異ということができる。さらに、(a)の、略三角錐状の凹部を正三角形によるものとするか、幅細の二等辺三角形とするかの差異は、(c)のとおり、本願意匠には、上下左右に均衡の取れた麻の葉模様があらわれ、意匠全体としてみた場合、看者に安定感を与えるものとしているのに対し、引用意匠は、縦に細長い麻の葉模様が並び、意匠全体として見た場合、不均衡で、左右方向の力に弱い印象を与えている。さらに、(e)の、凹凸を構成する稜線の態様の差異は、(a)の、正三角形による均衡のとれた麻の葉模様の態様も合わせ、本願意匠が持つ全体の均質感、安定感を際立たせるものとなっているのに対し、引用意匠においては、強弱のある稜線が、(a)の、細長い麻の葉模様による不均衡な印象を高めており、これら、(a)、(c)、(e)における差異は、両意匠から受ける印象を異とするのに、一定の影響を与えるものといえる。また、(b)の差異点については、それのみでは両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、上記差異点に係る態様と相俟って、意匠の類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品、用途及び機能、そして、全体意匠に対する位置、大きさ、範囲が一致するものであるが、その形態において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから、類似しないものである。

5.むすび
したがって、本願意匠は、意匠法第3条の2の規定に該当するものではないから、原審の拒絶理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-02-25 
出願番号 意願2009-6250(D2009-6250) 
審決分類 D 1 8・ 16- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木村 恭子 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 北代 真一
樋田 敏恵
登録日 2011-04-08 
登録番号 意匠登録第1413193号(D1413193) 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
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