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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B7 |
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管理番号 | 1238207 |
審判番号 | 不服2010-25858 |
総通号数 | 139 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-11-16 |
確定日 | 2011-06-21 |
意匠に係る物品 | ヘアードライヤー |
事件の表示 | 意願2009- 28985「ヘアードライヤー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,本意匠を意願2009-28984号とする関連意匠の意匠登録出願として,平成21年12月14日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「ヘアードライヤー」であり,その形態は,願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁発行の意匠公報掲載の意匠登録第1360489号「ヘアードライヤー」の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 両意匠を対比すると,いずれも「ヘアードライヤー」に係るものであるから,意匠に係る物品が一致し,その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。 (1)共通点 全体形状が略短円筒形状の本体部(以下,「本体部」という。)と略棒状のグリップ部(以下,「グリップ部」という。)を,ヒンジ部を介して接合した略倒「L」字状をなすものであって,本体部の吸気孔部寄りの下面には,ヒンジ部の本体部側を構成する基台部(以下,「基台部」という。)が,本体部から延設状に突設されているものである点,送風孔部及び吸気孔部には,ネット状部を形成した点,本体部前半部の具体的構成態様は,先細状とした送風孔部及び,後退して形成した送風孔部上方の孔部(以下,「送風孔上方孔部」という。)を形成し,その送風孔上方孔部には,小型略円形状の孔部(以下「円形状孔部」という。)を中央に1つ設けており,左側面視で略まゆ形状の縁部で送風孔上方孔部と送風孔部の周囲を取り囲んだ態様とした点,正面視本体部下部及びグリップ部の前面にスイッチを設けた点において共通する。 (2)差異点 (a)本体部を右側面視した形状について,本願意匠は,下側が円弧状に膨らみ丸みを帯びた形であるのに対して,引用意匠は,略隅丸菱形状で左右がやや突出している点,(b)略まゆ形状の縁部の具体的態様について,これを正面視したラインが,本願意匠は,緩やかな倒逆S字状であるのに対して,引用意匠は,送風孔部の部分が垂直状でその上部が略倒逆J字状で,その繋がり部分はやや角張っている点,(c)本体部(本願意匠のノズル部を除く。)を平面視したライン及び縦横比について,本願意匠は,膨出部分が小さい左90°の倒略「ハ」字状であり,比は,約1:2.1で横が短めであるのに対して,引用意匠は,膨出部分が大きい左90°の倒略「()」型状を基調としたものであり,比は,約1:2.8で横が長めである点,(d)本体部及びグリップ部における区割り線の態様について,引用意匠は,本体部からグリップ部にかけて後方寄りに傾斜した直線状の区割り線が形成されているのに対して,本願意匠は,そのような区割り線がない点,(e)送風孔部について,本願意匠は本体部の送風孔部が左側面視円形状で,正面視送風孔部の縁部が略まゆ形状の縁部からやや突出しており,内側に不透明な枠部を有し,開口部が上方に切り欠き部を有する左側面視略半月形状の透明な筒状のノズル部を有しているのに対して,引用意匠は,送風孔部が上方に切り欠き部を有する左側面視略半月形状で,正面視送風孔部の縁部と略まゆ形状の縁部が一致しており,ノズル部を有していない点に差異が認められる。 (3)類否判断 そこで検討するに,共通点の態様のうち,略短円筒形状の本体部と略棒状のグリップ部を,ヒンジ部を介して接合した略倒「L」字状をなすものであって,本体部の吸気孔寄りの下面には,ヒンジ部の本体部側を構成する基台部が,本体部から延設状に突設されている態様及び吸気孔部の態様は,この種の物品の分野においては,他にも普通に認められ,それらを有する点のみをもって両意匠の類否判断を決定付ける共通点ということはできない。また,送風孔部の具体的構成態様に係る共通性は,両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度あるというべきではあるが,これらの共通点は,両意匠のみの特徴ではないから,この共通性が,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対して,両意匠全体を観察すると,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,看者の注意を強く惹くものであるから,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。 すなわち,差異点(a)乃至同(c)に係る態様は,本体部の形状に係る大きな差異で,その差異は,看者の注意を強く惹くところであり,両意匠の形態全体の骨格的な態様に係り,両意匠の印象を大きく異ならせるものといえる。次に,差異点(d)に係る態様は,このような区割り線を有するということは,この種のへアードライヤーの分野において,通常の実施の態様として材質の相違や色分け模様を意味し,視覚的に目立つものといえ,その相違は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものである。さらに,差異点(e)に係る態様については,ノズル部の有無は付加的なものであるから考慮しないとしても,その他の点は,それのみでは両意匠の類否判断に与える影響は小さいが,差異点(a)乃至同(c)に係る態様と関連して,両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるに十分なものである。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似するということはできない。 4.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2011-06-03 |
出願番号 | 意願2009-28985(D2009-28985) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 瓜本 忠夫 |
登録日 | 2011-07-01 |
登録番号 | 意匠登録第1420054号(D1420054) |