• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7
管理番号 1238209 
審判番号 不服2010-24164
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-27 
確定日 2011-06-21 
意匠に係る物品 いす 
事件の表示 意願2009- 18950「いす」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願は、平成21年(2009年)8月19日の意匠登録出願(意匠に係る物品「いす」)であり、その意匠は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。
これに対して、原審は、拒絶の理由について、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、日本国特許庁が平成19年(2007年)7月30日に発行した意匠公報に記載された意匠登録第1306999号(意匠に係る物品「いす」)の意匠(別紙第2参照)に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条同項の規定により意匠登録をすることができない旨したものである。
そこで、原審が拒絶の理由において本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)との類否について検討してみると、意匠に係る物品は、ともに「いす」であって、同一である。
しかしながら、いすの形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形態」という。)についてみると、主な相違点として、(ア)肘掛け部の形態の相違、(イ)背もたれ部につき、(イ-1)正面側の背もたれ板と背面側の背もたれ枠との結合状態における背もたれ板と背もたれ枠との密着度合の相違、(イ-2)背もたれ板の背面側の形態の相違及び(ウ)座部の人の臀部が当たるクッション体の下で、脚部を受ける操作ベース部の形態の相違が認められる。
そして、一般に、肘掛け部は、人が腰を下ろす座部の左右両側で視覚的に目立つ上、人が腰掛けて左右両側から支えるところであり、かつ、人の前腕を当てて、安定した座り心地等を確保するものであるから、十分に看者の注意を惹くところであり、また、相違点(イ-1)(イ-2)及び(ウ)に関連する背もたれ部の背面側や座部クッション体の下の操作ベース部にしても、いずれもいすの背面側か、座部の下で見え難いところとも言えるが、背もたれ部の背面側に関しては、人が着座する際に、背面側から背もたれ部に手を掛けていすを後に引いたり、座部とともに背もたれ部を回転させたりできるものであり、かつ、安定した座り心地等を確保するため、看者は人の腰部や背中部にあてがう背もたれ部の支持構造にも関心を持つこと等を考慮すれば、いすの背面側にも看者の注意が注がれるものと言え、操作ベース部に関しても、操作ベース部がクッション体よりやや下がった位置で、いすが事務スペースに配置された斜視状態から見て、限られた範囲であっても操作ベース部の一部は視認することができ、かつ、直接手で触れて行う操作に係る部分であることを考慮すれば、必ずしも看者の注意を惹かないとは言い切れない。
そうした場合、上記の相違点(ア)の肘掛け部の形態について、本願意匠は、肘掛け部が座部クッション体の下の操作ベース部に取り付けられて、操作ベース部から横方向へ延びる横桿部から上方へと屈曲する縦桿部を垂直状に立ち上げ、その縦桿部上部の前面側の肘当て板の下に操作ボタンを設けたものであるのに対して、引用意匠は、肘掛け部が操作ベース部に取り付けられるものではなく、座部クッション体の底面側の後方寄りに取り付けられて、縦桿部も前傾し、その上部に操作ボタンを設けないものであり、この相違は、明確に視認でき、看者の注意を惹くものであるから、意匠全体として両意匠の類否判断を決定付ける程のものでないまでも、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
加えて、相違点(イ)背もたれ部につき、(イ-1)の背もたれ板と背もたれ枠との密着度合については、引用意匠は、背もたれ板と背もたれ枠との間に一定の隙間を空けて分離感を強くしているのに対して、本願意匠は、背もたれ部の下半部で、背もたれ板をやや湾曲面状に前方へ膨出させて背もたれ枠との間にやや大きな隙間を空けることによって分離感を残すも、上半部で、背もたれ枠に背もたれ板が直に取り付けられて、背もたれ板と背もたれ枠との間に隙間がないため、分離感が弱められてくるものであり、背もたれ板と背もたれ枠との結合状態に一定程度異なる印象を与え、相違点(イ-2)の背もたれ板の背面側形態についても、背面視、背もたれ枠内において、本願意匠は、孔が施されない滑らかな面を形成するものであるのに対して、引用意匠は、略縦長長方形状の小孔を多数縦列させ、横方向へもその小孔の位置を交互に半分ずつずらして、薄板板上に小孔が細かく千鳥状に打ち抜かれたものであり、一枚板状に施される素材加工から生じる相違としても、本願意匠は、滑らかな面としてやや柔らかさを残し、一方の引用意匠は、穿孔されてややメタリックな印象を与え、他の相違点と相俟って、両意匠の差異感を強調することとなる。
また、相違点(ウ)の操作ベース部の形態も、座部の下で見え難いとしても、直接手で触れて行う座部の高さ調整等の主要な機能的な構造を備えたものであり、他の相違点と相俟って、両意匠の差異感をより強調する。
そうして、これらの相違点を総合すると、それぞれの相違点は、いすの複数箇所に渡り、看者の注意を惹くところであるか、あるいは、ある程度注意が注がれるところであって、正面方向からだけでなく、左右両側面、背面方向からの斜視状態の広い範囲から視認されてくるものであるから、相違点(ア)ないし(ウ)の相俟って生ずる視覚的効果は、互いに相乗して、両意匠の類似の範囲を超えて、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものである。
したがって、意匠に係る物品が同一としても、形態において、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものであり、両意匠は類似しない。
以上のとおりであり、両意匠は類似しないものであるから、原審の拒絶の理由によって本願について拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-06-07 
出願番号 意願2009-18950(D2009-18950) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 加藤 真珠松尾 鷹久 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 早川 治子
杉山 太一
登録日 2011-07-01 
登録番号 意匠登録第1419749号(D1419749) 
代理人 南部 さと子 
代理人 永芳 太郎 
代理人 水野 尚 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ