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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B4
管理番号 1239774 
審判番号 不服2010-22933
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-12 
確定日 2011-05-30 
意匠に係る物品 ボストンバッグ 
事件の表示 意願2009- 25556「ボストンバッグ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、平成21年10月30日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品が「ボストンバッグ」であり、その形態は、願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして、拒絶の理由として引用された意匠(以下、「引用意匠」という。)は、特許庁意匠課が2007年8月24日に受け入れた(公知日、2007年8月20日)、株式会社ワールドのインターネット上のカタログ「BOYCOTT|ボイコット」(掲載ページのアドレス http://bctt.jp/main.html)に掲載された「鞄」の凸模様を除く鞄本体の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ19039203号)であって、その形態は、同インターネット上に現されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると、いずれもバッグに係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、その形態については、主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)横長の略倒円筒形状のバッグの本体部(以下、「バッグ本体」という。)の上方寄りに手提げ用のベルトが表側と裏側に1本ずつ逆U字状に取り付けられ、ベルトはバッグ本体の底部寄りに沿って表側と裏側が一体に取り付けられている点、(B)バッグ本体の左右には、それぞれ細幅の小型収納部を設け、その上面にスライドファスナーを平面視縦方向に、小型収納部に沿って上半部中央に円弧状に設けた点、(C)バッグ本体の上面中央に横方向に長いスライドファスナーを設け、正面側のベルトの間にポケット用の短いスライドファスナーを横方向に設けた点において共通する。
(2)差異点
(a)本願意匠は、折り畳み可能であって小型収納部に収納可能なバッグであるのに対して、引用意匠は、折り畳みや収納の状態が表されておらず、単なる外ポケットとしての収納部が設けてある点、(b)バッグ本体の左右側面部とベルトの表面部について、本願意匠は、無模様であるのに対して、引用意匠は、小型収納部の縁に円形状とその内側に星形状に、ベルト部分の左右に2列に、シルバーメタリックの略半球状の鋲を多数配している点、(c)バッグ本体の直径と横の長さの比について、本願意匠は、約1:1.95であるのに対して、引用意匠は、約1:2.1である点、(d)バッグ本体上部の左右端部について、本願意匠は、肩掛けベルトを取り付けるための接続具を設けているのに対して、引用意匠は、接続具を設けていない点、(e)正面側のポケット用の短いスライドファスナーについて、本願意匠は、両側の手提げ用ベルトとの間に余地部を設けているのに対して、引用意匠は、余地部がなく、両側のベルト間近までスライドファスナーを設けている点、(f)バッグ本体上部の長いスライドファスナーについて、本願意匠はスライダーが1片であるのに対して、引用意匠は2片である点に差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに、共通点の態様のうち、横長の略倒円筒形状のバッグ本体の上方寄りに手提げ用のベルトが設けられた態様は、この種のバッグの分野においては、他にも普通に認められ、それらを有する点のみをもって両意匠の類否判断を左右する共通点ということはできない。
そうして、両意匠全体を観察すると、下記考察のとおり、差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、看者の注意を強く惹くものであるから、両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
すなわち、差異点(a)に係る態様は、バッグの使用態様に係る大きな違いで、折り畳む機能を実現させるため、材質や構成が自ずと異なるもので、その相違は、需要者の関心を惹くところであり、両意匠の形態全体の骨格的な態様に係り、両意匠の印象を大きく決定付けるものといえる。次に、(b)に係る態様は、この種のバッグの分野において、通常は凸模様まで含めて端部の面やベルトについても一体にデザインされるもので、本体を完成させてから、凸模様を付けるものではなく、凸模様を付けたベルトや収納部を縫製し、完成させるものであって、そのデザインは最初からなされているものというべきもので、スライドファスナーの数や位置の共通性のみをもって、外形状が類似するという原審の判断は当を得ないものである。凸模様の有無によって、両意匠の印象は大きく異なり、それは、看者の注意を強く惹くもので、両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものである。差異点(c)?(f)に係る態様については、それのみではいずれも両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、差異点(a)及び(b)に係る態様と相俟って、両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が共通するものであるが、その形態において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。

5.むすび
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず、原審の拒絶理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-05-10 
出願番号 意願2009-25556(D2009-25556) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 富永 亘 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 遠藤 行久
橘 崇生
登録日 2011-07-08 
登録番号 意匠登録第1420374号(D1420374) 
代理人 加藤 恒久 

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