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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1241295 
審判番号 不服2010-26165
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-19 
確定日 2011-08-05 
意匠に係る物品 プリンター用用紙ケース 
事件の表示 意願2009- 14349「プリンター用用紙ケース」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2009年(平成21年)6月24日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「プリンター用用紙ケース」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである。(別紙第1参照)

すなわち,本願意匠は,用紙が収容された状態でプリンターに装着して使用されるものであって,その形態は,全体が横長略矩形状で四隅が隅丸の薄板を,右側面の細幅な側板を中心にして,底板よりも上板が長めになるように,正面視略「コ」字状に折り曲げたものであり,上板の底板より長めにした突出部は,用紙送りのための用紙押さえ部であり,底板の前端辺上に対応する上板の平面視上辺部左寄りに略「正方形」状で上辺側の角部2箇所を隅丸状とした切り欠き部を形成し,下側の底面部の下辺部右隅に暗調子の,用紙種別を識別するためのセンサー感知部を設けたものである。


第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。


本願意匠は,プリンター用用紙ケースに係るものであるが,この種物品において,略長方形の薄板を積層された用紙の一側面のみを覆う側板を設けて,上面を覆う上板とその上板より短い底面を覆う底板となるように折り曲げて形成し,識別マークを底板の隅部に設けたものが,本願の出願前に公然知られているところであり(公知意匠1),また,上板の一側辺に小さな矩形状の切り欠きを設けたものが,本願の出願前に公然知られているところである(公知意匠2)。
そうすると,本願意匠は,公知意匠1の底板端部側の両隅部をごく普通の矩形状に変更し,上板一側辺に公知意匠2に見られる矩形状の切り欠きを設けて表した程度にすぎないので,当業者であれば容易に創作をすることができた意匠と認められる。

【公知意匠1】
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2004-210433
【図6】ないし【図8】に表されたパッケージ材8の意匠
(別紙第2参照)
【公知意匠2】
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1320437号の意匠
(別紙第3参照)


第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。

本願のような物品は,模倣品が多発する分野の物品である。従って本願の出願目的は,取得した意匠権により模倣品に対抗することにある。
物品分野により,意匠創作の意図,形状の機能上の制約,物品の歴史,成熟度,権利取得の目的等,これらの事情は大きく異なり,創作容易性の判断についても,物品分野の事情を考慮の上,判断が成されるべきであると思料する。

本願意匠と公知意匠1及び2には,以下の相違点が認められる。
本願意匠と公知意匠1の相違点
a)上板の形状について,本願意匠の上板は略矩形状であり,上板の一側辺上方に小さな矩形状切り欠きが設けられているのに対し,公知意匠1は,上板の左右側辺の上方を僅かに傾斜させて上辺を細幅とし,矩形状切り欠きは無い。
b)底板の形状について,本願意匠は矩形状とし,細長長方形状の識別マークを底板の隅部に設けているのに対し,公知意匠1は,底板上辺の左右を段差状に切り欠いた形状とし,識別マークを底板の隅部に設けている。
本願意匠と公知意匠2の相違点
本願意匠と公知意匠2には,一側辺上方に小さな矩形状切り欠きを設けている点で一致するが,
c)公知意匠2は該切り欠きが長手方向の覆部により一部隠れているが本願意匠には覆部は無く,その点も含め,他は全て相違する。

そもそも本願意匠と公知意匠1には,上板,底板の双方に相違点が認められ,仮に拒絶理由通知に記載されたように,「公知意匠1の底板端部側の両隅部をごく普通の矩形状に変更し,上板一側辺に公知意匠2に見られる矩形状の切欠きを設けて表し」ても,本願意匠の形状とはならない。
加えて,公知意匠2は,意匠に係る物品は共通ではあるが,形状が箱体であり,上面を覆う上板とその上板より短い底面を覆う底板となるように折り曲げて形成されている本願意匠とは基本形状が全く相違する。基本形状が全く相違する公知意匠の切り欠きが存在しても,それを本願意匠へ置換することは,容易な創作とは認められない。
機能上制約のあるこの種物品において,創作性の判断を基本形状の異なる意匠にまで広げて判断することによって,創作の保護及び意匠権の活用を阻害するものと思料される。創作容易性の判断は,この種物品の機能的制約など,製品事情を考慮した上で行われるべきものである。


第4 当審の判断
本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,意匠の創作容易性について検討し,判断する。

本願意匠は,用紙が収容された状態でプリンターに装着して使用されるプリンター用用紙ケースに係り,その形態は,
(1)全体が横長略矩形状で四隅が隅丸の薄板を,右側面の細幅な側板を中心にして,底板よりも上板が長めになるように,正面視略「コ」字状に折り曲げたものであり,上板の底板より長めにした突出部は,用紙送りのための用紙押さえ部であり,
(2)底板の前端辺上に対応する上板の平面視上辺部左寄りに略「正方形」状で上辺側の角部2箇所を隅丸状とした切り欠き部を形成し,
(3)底板の底面視下辺部右隅に,用紙種別を識別するための暗調子のセンサー感知部を設けた,
ものである。

公知意匠1は,プリンター用紙パッケージに係り,全体が横長な略矩形状の薄板を,用紙短手方向の端部の用紙搬送方向の部分を開口部とし,その反対側の端部を側板として折り返して,側面視略「コ」字状としたものであって,底板は,上板より長さが短く,底板の前端辺の両隅部は,縦長矩形状の切り欠き部が形成されているものである。
また,公知意匠2は,プリンター用用紙ケースに係り,全体が,横長な箱体上板部,横長な箱体底板部,2つの蓋部,及び,2つの側板から構成される薄い箱体であり,箱体上板部の平面視左側上方に正方形状の切り欠き部が形成されており,箱体底板の底面視下辺部の中央からやや右寄りの部分に暗調子のセンサー感知部が形成されているものである。

検討するに,(1)の態様については,公知意匠1は,底板の前端辺の両隅部に,本願意匠にはない,矩形状の切り欠き部を形成したものであり,また,(2)の態様についても,公知意匠2に表された切り欠き部は,箱体平面部の左側上方の正方形状の切り欠き部であって,本願意匠の折り曲げられた薄板の『略「正方形」状で上辺側の角部2箇所を隅丸状とした切り欠き部』ではないし,この切り欠き部と,箱体底板部及び蓋部とのそれぞれの関係についても本願意匠には見られない点があるものであって,公知意匠1,同2の存在を前提としたとしても,公知意匠1の形状は,そのままでは本願意匠の創作のベースとしたということはできず,公知意匠2の切り欠き部も,そのままでは本願意匠の構成要素であるということはできないのであるから,(3)の態様について,センサー感知部を底板の底面視下辺部右隅に形成することが容易想到であるとして,公知意匠1及び同2の態様を単純に組み合わせれば,本願意匠の構成態様を容易に導き出すことができたものと到底いうことはできない。

したがって,本願意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたということはできない。


第5.むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときに該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-07-26 
出願番号 意願2009-14349(D2009-14349) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 小林 裕和江塚 尚弘 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
太田 茂雄
登録日 2011-08-19 
登録番号 意匠登録第1423252号(D1423252) 
代理人 日高 一樹 
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