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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1241296 
審判番号 不服2010-26164
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-19 
確定日 2011-08-05 
意匠に係る物品 プリンター用用紙ケース 
事件の表示 意願2009- 14348「プリンター用用紙ケース」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2009年(平成21年)6月24日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「プリンター用用紙ケース」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,特許庁普及支援課が2009年 5月14日に受け入れた,米国特許商標公報 2009年 4月21日09W16号に記載されたプリンター用用紙ケース(登録番号US D590874S)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH21307045号)であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである。
なお,原審の拒絶理由通知書に特段の記載はないが,引用された意匠は,米国の意匠登録(特許)制度における破線実務によって意匠登録(特許)されたものであるため,破線で表された部分を含めて物品の形態全体が表されているものとしたものと認められる(以下,実線で表された部分及び破線で表された部分の意匠全体を「引用意匠」という。)。(別紙第2参照)


第3 当審の判断
本願意匠と引用意匠は,意匠に係る物品がともに「プリンター用用紙ケース」で一致し,形態について,全体が平面視矩形状の薄い箱体であって,長手方向の左側,右側及び上辺の右側約3分の2の部分の3箇所に,折り返されて箱体を形成している蓋部がそれぞれ設けられている点,左側の蓋部は,展開時倒略台形状で,用紙未使用時は,箱体平面側に折り返された状態で,先端の舌辺が箱体平面部に縦長に形成された切り込み部に差し込まれて用紙を押さえており,用紙使用時は,該蓋部を箱体底面側に折り返し,先端の舌片が箱体底面部の縦長で倒略円弧状の切り込み部に差し込まれて固定され,用紙送り出しの開口部を形成するものであり,開口部となった箱体平面部の左側部は,用紙送り出しの際に用紙押さえ部となるものである点,右側の縦長略矩形状の蓋部は,常時用紙を押さえている点,上辺右側約3分の2の部分の蓋部は,展開時略扁平な「L」字状で,常時箱体平面側に折り返され,先端の舌辺が箱体平面部の略中央部上縁の横長な切り込み部に差し込まれて,用紙を押さえるが,平面視箱体の上辺左側は,開口しているものである点,箱体平面部の上辺左側には,正方形状の切り欠き部が形成されている点が,主として共通している一方で,主な相違点として,箱体底面部について,本願意匠は,該部の左側下方に横長略矩形状の大きな切り欠き部が,左側上方に横長で細幅な切り欠き部が,同幅で対になるように,形成されているのに対して,引用意匠には,それがない点,本願意匠には,箱体底面部の右下隅に略横長矩形状のセンサー感知部が設けられているのに対して,引用意匠にはそれがない点,箱体平面部について,引用意匠は,該部の右辺中央に略凹弧状の切り欠き部が形成されているのに対して,本願意匠には,それがない点がある。
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断すると,先端に舌片を形成した蓋部を,該舌片を差し込む切り込み部を形成した箱体本体に折り返すことによって,プリンター用用紙ケースの箱体を構成することは,よく行われていることであり,かつ,前記共通点としてあげた,それらの具体的な構成態様も,両意匠のみの特徴とはいえないものであるから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできないものであるのに対して,前記の相違点に係る本願意匠の態様,箱体底面部の左側下方の横長略矩形状の大きな切り欠き部,及び,左側上方の横長で細幅な切り欠き部が,同幅で対になるように形成されている点は,箱体の目に付きやすい部位に係るこれまでに見られない新しい態様であると同時に,この種物品において単に用紙を保護するだけでなく,新たな物品の機能や使用の態様を提供するものとして需要者が着目するところであって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいものであり,また,これにセンサー感知部の有無による相違を加えた相違点全体が関連して生じさせている視覚的効果は,両意匠の類否判断を決定付けているという他ない。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2011-07-26 
出願番号 意願2009-14348(D2009-14348) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕和江塚 尚弘 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
太田 茂雄
登録日 2011-08-19 
登録番号 意匠登録第1423251号(D1423251) 
代理人 日高 一樹 

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