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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1243113 
審判番号 不服2011-2482
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-02 
確定日 2011-08-30 
意匠に係る物品 半導体素子 
事件の表示 意願2010- 4431「半導体素子」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成22年2月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「半導体素子」であり,その形態は,願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が2009年7月31日に受け入れた
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2009年 7月27日
掲載者 新電元工業株式会社
表題 世界最簿!低背型ブリッジダイオード 新パッケージJAシリーズ
掲載ページのアドレス http://www.shindengen.co.jp/top_topics/20090602.html
に掲載された「ブリッジダイオード」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ21018798号)
であって,その形態は,同インターネット上の写真版に現されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
両意匠を対比すると,いずれも「半導体素子」に係るものであるから,意匠に係る物品が一致し,その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
全体形状が薄い略横長直方体状の樹脂封止された筐体部(以下,「筐体部」という。)とその下方に4本の細長い略板状の端子が配されたものであって,筐体部の正面略中央から背面に貫通した円形状の貫通孔(以下,「貫通孔」という。)を設け,その左右両側に円形状の僅かな凹状部を設け,筐体部の正面側下端の部位が略横長帯状に前方側に突出して「あご状部」(以下,「あご状部」という。)を形成し,筐体部の上端部中央に平面視略横長矩形状で極浅い凹状部を形成した点,端子部は,先端部略台形状で細長い略サーベル状で,筐体部寄りの上方側左右に小さな突起部を設け,全体を略十文字状に形成した点において共通する。
(2)差異点
(ア)筐体部のあご状部について,本願意匠は,上辺の中央部に略凹円弧状に凹状部が形成されているのに対して,引用意匠は,該凹状部が形成されておらずあご状部の上辺が直線状である点,(イ)筐体部の縦横比について,本願意匠は,約1:2.4であるのに対して,引用意匠は,約1:2.1である点,(ウ)筐体部の高さに対するあご状部の高さの比が,本願意匠は,約1:0.225であるのに対して,引用意匠は,約1:0.26である点,(エ)端子部について,本願意匠は,各端子が等間隔に配され,全体が左右対称状であるのに対して,引用意匠は,左から1番目と2番目の端子が離れ,2番目と3番目及び3番目と右端の4番目の間がやや狭めの等間隔であり,全体が左右非対称である点,(オ)引用意匠の筐体部には,表面に文字が印刷され,あご状部に「+」,「?」,「-」の記号が凹状に設けられているのに対して,本願意匠には,文字や記号が設けられていない点に差異が認められる。
(3)類否判断
そこで検討するに,共通点の態様のうち,薄い略横長直方体状の筐体部とその下方に4本の細長い略板状の端子が配された態様は,この種の物品の分野においては,他にも普通に認められ,それらを有する点のみをもって両意匠の類否判断を決定付ける共通点ということはできない。また,筐体部の正面略中央から背面に貫通した円形状の貫通孔を設け,その左右両側に円形状の僅かな凹状部を設け,筐体部の正面側下端の部位が略横長帯状に前方側に突出してあご状部を形成したという具体的構成態様に係る共通性は,両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度あるというべきではあるが,これらの共通点は,両意匠のみの特徴ではないから,この共通性が,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
これに対して,両意匠全体を観察すると,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,看者の注意を強く惹くものであるから,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
すなわち,差異点(ア)及び同(イ)に係る態様は,筐体部の形状に係る大きな違いで,とりわけ,本願意匠にあるあご状部の上辺中央の凹状部は,貫通孔へのねじの装着という使用の態様に大きな違いを生じさせるものであって,かつ,両意匠の形態全体の中で正面側の目に付き易い部位に係り,それらの差異は,看者の注意を強く惹き,両意匠の印象を大きく異ならせるものであって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいといえる。次に,差異点(ウ)乃至同(オ)に係る態様については,それらのみではいずれも両意匠の類否判断に与える影響は小さいが,差異点(ア)及び同(イ)に係る態様と相俟って,両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きくするものであるから,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるに十分なものである。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似するということはできない。

4.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-08-17 
出願番号 意願2010-4431(D2010-4431) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 正田 毅 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 瓜本 忠夫
橘 崇生
登録日 2011-09-09 
登録番号 意匠登録第1424637号(D1424637) 

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