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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E1
管理番号 1247907 
審判番号 不服2011-10027
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-13 
確定日 2011-11-01 
意匠に係る物品 がらがら 
事件の表示 意願2010- 10732「がらがら」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2010年(平成22年)4月28日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「がらがら」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
これに対して,原審が,本願意匠は,その出願前に日本国内において,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行公知意匠または先行刊行物記載等意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当するものとして引用した意匠は,以下のとおりである。



電気通信回線の種類: インターネット
掲載確認日(公知日): 2009年 7月21日
受入日: 特許庁意匠課受入2009年 7月24日
掲載者: ローヤル株式会社
表題:
toyroyal//ベビートーイ(10ヶ月頃から)//
掲載ページのアドレス:
http://www.toyroyal.co.jp/catalloge/b-toy/10/babyl/index2.html
に掲載された,いもむしにぎにぎと表示された「がらがら」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ21016365号)
(別紙第2参照)


第3 本願意匠と引用意匠の対比
1.意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,本願意匠は,「がらがら」であり,引用意匠は,「がらがら」であり,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

2.本願意匠と引用意匠の形態
本願意匠と引用意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

(1)共通点
両意匠は,略小球体を縦に3個連結して胴体部とし,胴体部の上端に,胴体部略球体より径の大きい略球体を重ね,その上面に棒状部材で支持された略小球体をやや離して2つ略逆「ハ」字状に突設配置して頭部とし,さらに,胴体部下段略球体に,左右両側を貫通する頭部略球体の径よりも径の大きい略横長楕円環を設け,その略横長楕円環に,中心の穴部で円環を通す盤状の略円盤状歯固めを数枚挿通させた点,

(2)相違点
(A)胴体部について,本願意匠は,胴体部上段及び中段略小球体を略波状線で上下に分割し,その上半分を透光性を有する素材で形成し,さらに,略球体左右の側面に略小球状凸部を設けているのに対して,引用意匠は,胴体部上段及び中段略小球体が上下に分割されておらず,全体が不透明で,略小球状凸部も設けられていない点,

(B)頭部について,本願意匠は,頭部の2つの略小球体の正面に濃色の円を付し,略小球体全体を,目を模した態様とし,さらに,頭部略球体の正面に略半球状凸状を設け,鼻を模した態様とし,口を模した略円弧形状の左右両端口角部が頬を模した左右の略楕円にそれぞれ達しないのに対して,引用意匠は,頭部の2つの略小球体を上下に色分けし,触角を模した態様とし,目を模した部位を,頭部略小球体の正面やや上方左右に配した略小楕円としており,さらに,鼻を模した部位を,頭部略小球体の正面中央に配した略極小円状凸部とし,口を模した略円弧形状の左右両端口角部が頬を模した左右略楕円にそれぞれ達する点,

(C)略横長楕円環及び略円盤状歯固めについて,本願意匠は,略横長楕円環に大きさが一定の略円形を外周面と内周面とに交互にやや離して配し,正面側において,各略円形の頂点を接するように細線で繋いだ模様が施されており,2つの略円盤状歯固めのうちの1つを略桜花びら型状とし,もう一つを一部を切り欠いた略円形状としているのに対して,引用意匠は,外周面側に略横長楕円環に大きさの異なる大小の略円形が模様として施されており,3つの略円盤状歯固め全てを略桜花びら型状としている点。


第4 類否判断
以上の,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

両意匠の前記共通点に係る構成態様は,基本となる構成態様の形成に係るものであるが,概括的な構成態様を表出しただけであるので,これらが類否判断に及ぼす影響は限定的である。

これに対して,前記相違点(A)については,胴体部の態様は,がらがらの形状において,大きな比重を占めるものであるからよく目に付くところ,透光性を有す部位及び左右略小球状凸部の有無の相違は基本的な態様に係るものであるから,その相違は顕著なものといえ,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものというべきである。

また,前記相違点(B)についても,頭部は,顔を模する各構成要素の態様によってその印象が変わり,意匠の印象に影響を大きな与えるものであるうえに,胴体部の態様と相俟って,意匠全体の基調を成す部位であるから,見る者の注意をよく惹く部位であるところ,両意匠のヘッド部の具体的な態様は全く異なるものであるから,その相違は顕著であり,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものというべきである。

さらに,前記相違点(C)についても,略横長楕円環及び略円盤状歯固めは,がらがらの形状において,大きな比重を占めるものであるところ,その具体的な態様に相違が認められるのであるから,胴体部及び頭部の相違と相俟って,両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすものというべきである。

そうすると,共通点としてあげた構成態様が,両意匠の類否判断に及ぼす影響が限定的であるのに対して,相違点(A),(B)はいずれも類否判断に及ぼす影響が大きいものというべきであり,相違点(C)と相乗する意匠的効果も考慮すれば,頭部,胴部及び略横長楕円環によって構成される意匠全体の印象が異なってくることから,もはや相違点が共通点を圧しているというべきであって,本願意匠は引用意匠に類似するということはできないものである。


第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原審の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,さらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2011-10-19 
出願番号 意願2010-10732(D2010-10732) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (E1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 早川 治子 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
太田 茂雄
登録日 2011-12-09 
登録番号 意匠登録第1431492号(D1431492) 
代理人 中嶋 隆宣 
代理人 山崎 宏 
代理人 田中 光雄 
代理人 前田 厚司 

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