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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1247922 |
審判番号 | 不服2011-15974 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-07-25 |
確定日 | 2011-12-13 |
意匠に係る物品 | 包装用瓶 |
事件の表示 | 意願2010-28370「包装用瓶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,2010年(平成22年)11月29日に出願されたものであり,その意匠は,願書及び願書に添付の図面の記載内容によれば,意匠に係る物品を「包装用瓶」として,その形態を願書及び願書に添付の図面に記載されたとおりとするものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である」としたものである(以下,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁総合情報館が1994年7月28日に受け入れた,1994年8月1日発行の『にっけいでざいん』の第138頁に所載された頁の上中央に記載された「包装用瓶」の模様や内容物を除いた当該意匠に該当する部分の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA06013755号)である(以下,「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)両意匠の共通点 両意匠を対比すると,いずれも包装用瓶に係るものであるから,意匠に係る物品が一致し,部分意匠としての用途及び機能,そして,位置,大きさと範囲は,口部を除く瓶本体部分であって,共通しているものであり,そして,両意匠の形態においても,瓶本体下側大半部分が,縦辺角部面取り部を設けた略三角錐台であって,その上部の口部直下の水平断面形状が正円である点,において主に共通する。 なお,両意匠を対比するに当たっては,引用意匠の向きを本願意匠に合わせるものとした。 (2)両意匠の相違点 一方,(a)本願意匠は,上部において,縦辺角部面取り部の形状線が消失し,上部においては略円錐台になるように徐々に形状を変化させているのに対し,引用意匠は,上部は円筒形であって,縦辺角部面取り部の帯状平坦面(以下,「角部縦帯状面」という。)と,胴部側面の略三角形状平坦面(以下,「胴部側面」という。)をそれぞれ上方まで残し,角部縦帯状面は上端部において円筒形首部へ屈曲させて肩部を形成し,これにより,胴部側面は上端辺を中央で屈折した略「へ」の字状(請求人は,請求書で「将棋のコマの上部形状」という。)としており,背面視で略縦長五角形をしている点,(b)胴部側面につき,本願意匠は,緩やかな凸弧面状であるのに対し,引用意匠は,平坦面である点,(c)角部縦帯状面につき,本願意匠は,幅が細く,上に向かって徐々に細くなっていくのに対し,引用意匠は,幅が太く,上に向かって余り細くならない点,において主に相違がある。 (3)類否判断 そこで両意匠の類否を検討するに,共通点の態様は,包装用瓶の分野においては,先行公知意匠に一般的に見られる態様であり,両意匠のみに新規な態様ということはできず,それらの点のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできない。 これに対して,相違点(a)については,相違点(b)とも相まって,本願意匠は,水平断面形状がおにぎり様三角形から急激な変化無く徐々に正円形につながってゆく態様としているのに対し,引用意匠は,角部縦帯状面と胴部側面の6面の平坦面が,首部付近まで明確に存在し,そこから肩部を形成して円筒形首部につなげる態様で,それは,水平断面形状が角部面取り正三角形(又は,略正六角形)から正円につながってゆく態様であって,結局,両者は立体形状を変化させてつなげてゆく造形方法が異なった形状であり,それは首部付近の目に付き易い部分であって,併せて包装用瓶の造形的かなめと言える部分の相違であるから,類否判断に与える影響は大きい。相違点(b)については,相違点(c)とも相まって,本願意匠は,水平断面形状が,おにぎり様の略三角形の角を面取りした形状と認識できる形状であるのに対し,引用意匠は,平坦面と角部縦帯状面とで変形六角形と認識できる形状であり,相違点(a)も含めて,本願意匠は全体に軟らかな印象を与えるのに対し,引用意匠は全体に固い印象を与え,類否判断に与える影響が多少はあると言える。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさと範囲が共通するものであるが,その形態において,相違点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。 4.結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものではないから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2011-11-30 |
出願番号 | 意願2010-28370(D2010-28370) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石坂 陽子、小林 裕和 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
下村 圭子 橘 崇生 |
登録日 | 2011-12-22 |
登録番号 | 意匠登録第1432454号(D1432454) |
代理人 | 永芳 太郎 |
代理人 | 水野 尚 |