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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) F4
管理番号 1253450 
判定請求番号 判定2011-600038
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2012-04-27 
種別 判定 
判定請求日 2011-08-29 
確定日 2012-03-12 
意匠に係る物品 包装用箱 
事件の表示 上記当事者間の登録第1398272号の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 イ号物件の写真及びその説明書に示す「包装用箱」の意匠は,登録第1398272号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1 請求の趣旨及び理由
本件判定請求人(以下,「請求人」という。)は,イ号物件説明書所載の説明及び同添付の写真に掲載の「包装用容器」の意匠(以下,「イ号意匠」という。)は,本件判定請求に係る登録第1398272号意匠(以下,「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属する,との判定を求め,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第11号証を提出し,要旨,以下のとおり主張した。

1.判定請求の必要性
請求人は,本件登録意匠の意匠権者である。
本件判定被請求人(以下,「被請求人」という。)は,イ号意匠を実施しているが,イ号意匠は,本件登録意匠に類似しているため,請求人は,被請求人によるイ号意匠の実施行為が本件登録意匠に係る意匠権を侵害するものと確信するが,このことを客観的に立証すべく,高度な専門技術的知識を有する特許庁にその判断を求めることを趣旨として判定請求する次第である。

2.本件登録意匠とイ号意匠との類否
本件登録意匠とイ号意匠とは,甲第3号証に示すように,いずれも意匠に係る物品が「包装用箱」であって,且つ,電球を収納するための専用の包装用箱である点で一致しており,その構成態様においては下記共通点と相違点がある。

(1)構成態様の共通点
本件登録意匠とイ号意匠とは,その基本的構成態様として,(ア)包装箱本体は,正面,背面,左右側面の4面からなる周面壁と底面及び天面の開閉蓋からなり,(イ)正面壁と右側面壁とが接する長辺を中心線として,両壁に電球図形と該電球図形から上方に広がる明調子領域とが略線対称に2分して表されてなり,(ウ)電球図形及び明調子領域を除く正面壁及び右側面壁の余地部が,明調子領域と異なる色調領域に色分けして表されてなり,(エ)前記色分けは,電球図形から斜め上向きに伸びる境界線によって区分けされてなり,(オ)前記明調子領域は,正面壁及び右側面壁から拡大連続して天面の開閉蓋側にも表されてなる。
さらに,具体的構成態様においても,(カ)正面壁及び右側面壁に表された電球図形の形状をほとんど共通にすると共に,(キ)配置位置についても共通にする他,(ク)明調子領域と明調子領域と異なる色調領域とを区分けする境界線が,電球図形の本体部から正面壁の左辺上方及び右側面壁の右辺上方まで,明調子領域から異なる色調領域に掛けて連続階調として表されてなる点,でも共通するものである。

(2)構成態様の相違点
これに対し,両意匠は下記具体的構成態様において相違するものである。
(a)包装箱本体の大きさにつき,本件登録意匠は,正面視,包装箱本体の縦横比が大略9:5からなる縦長な直方体形状に形成されてなるのに対し,イ号意匠は,正面視,包装箱本体の縦横比が大略11:6からなる縦長な直方体形状に形成されてなる点,(b)電球図形の形状につき,本件登録意匠は,正面壁及び右側面壁に表された電球図形の本体部が,上方から下方に向けて窄まる略台形形状を呈してなるのに対し,イ号意匠は,正面壁及び右側面壁に表された電球図形の本体部に,複数の放熱フィンが表されて上方から下方に向けて窄まる略台形形状を呈してなる点,(c)天面の開閉蓋の明調子領域につき,本件登録意匠は,天面の開閉蓋に表された明調子領域が,平面視左上隅の略三角形状部分を除く範囲とされ,中央に細幅な横長長方形状を呈する明調子領域と異なる色調領域が配されてなるのに対し,イ号意匠は,天面の開閉蓋に表された明調子領域が,開閉蓋の全範囲とされ,中央に細幅な縦長長方形状を呈する明調子領域と異なる色調領域と文字列等が配されてなる点,(d)周面壁の文字列等の有無につき,本件登録意匠は,正面壁及び右側面壁に表れた電球図形以外には,正面,背面,左右側面の4面からなる周面壁に文字列や図形等が配されていないが,イ号意匠は,正面壁の左上隅及び明調子領域と異なる色調領域,右側面壁の右上隅及び明調子領域と異なる色調領域,背面壁及び左側面壁に文字列や図形等が配されてなる点,で相違する。

(3)本件登録意匠とイ号意匠との類否判断
A)共通点の評価
本体登録意匠とイ号意匠とは,その基本的な構成態様は,需要者に対して,照明器具から上方へ放たれる光の3次元的な広がり感,照明器具の立体感が看守できるパッケージデザインであるといった共通した印象を強烈に与えるものであって,両意匠の形態についての骨格的要素(意匠の要部)において共通し,しかも該共通点はこの種物品分野においては他に見られず,両意匠の特徴を表すものと認められるから,明らかに両意匠は類似するものである。
さらに,両意匠は,その具体的な構成態様においても共通するため,より一層両意匠は共通した印象が強く生じるものである。
両意匠は,意匠の要部である基本的構成態様において共通する他,その具体的構成態様においても共通し,特に,正面壁と右側面壁とに表された電球図形から斜め上方に向けて光が放たれているように明調子領域が表されてなる構成が際立ち,需要者に対して包装した商品が恰もシリーズ商品であると誤認させるほどに共通した印象を与えるものであり,両意匠の共通点である基本的構成態様は類否判断を左右する大きな要素となるものであり,両意匠の類似性を肯定するに十分で,両意匠は明らかに類似するものである。

B)相違点の評価
これに対し,相違点(a)の包装箱本体の大きさについては,この種包装用箱の物品分野においては,収納する商品の形状や寸法等に合わせて適宜変更される程度の相違に過ぎず,両意匠の類否判断を左右する相違ではない。
また,相違点(b)の電球図形の形状については,包装箱本体の全体に対して占める割合が小さく,電球図形のわずかな形状相違が需要者の注意を喚起するものではないため,両意匠の類否判断を左右するほど格別特徴ある相違ではない。
さらに,相違点(c)の明調子領域の差については,包装箱本体の天面の開閉蓋に表された相違としてはわずかであるため,需要者の注意を喚起するものではなく,また,(d)の文字列等の有無については,包装箱に収納された商品情報を伝達する機能を有するに過ぎず,ごく一般的な表示方法に他ならないものであるため,際立ったデザイン性を有する相違ではなく,いずれも両意匠の類否判断を左右するほど格別特徴ある相違ではない。

C)むすび
以上のとおり,両意匠において共通する基本的構成態様並びに具体的な構成態様における共通点は,需要者に共通の審美感を与えてなると共にその意匠的効果を共通にするものであるため,両意匠の類否判断に極めて大きな影響を与えるのに対し,前記相違点はいずれも類否判断に与える影響が微弱であり,共通点を凌駕するものではないため,格別需要者に別異の意匠としての印象を与える程のものではない。
さすれば,イ号意匠は本件登録意匠に類似するものであるため,イ号意匠は本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するものであることは明白である。

第2 被請求人の答弁
当審は,被請求人に判定請求書を送り,期間を指定して答弁書の提出を求めたが,被請求人からの応答はなかった。

第3 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠(意匠登録第1398272号の意匠)は,2010年(平成22年)3月2日付けで意匠登録出願されたものに係り,2010年(平成22年)9月10日に意匠権の設定の登録がなされたものであり,その願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,その形態は願書の記載及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである(別紙第1参照)。

2.イ号意匠
イ号意匠は,被請求人が「XLEDIA」なる名称にて各種形態からなるLED電球用の包装用箱を使用しているものである(甲第2号証の1)が,イ号意匠は,「型番:X17-CJ」に使用されている包装用箱(甲第2号証の2)であって,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,その形態を同写真に現されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比
両意匠を対比すると,いずれも販売時に特定の電球を収納するための専用の包装用箱であり,意匠に係る物品は一致すると認められ,形態については,主として以下の共通点と相違点が認められる。

(1)共通点
基本的構成態様として,(ア)全体が縦長直方体であって,(イ)正面,背面,左右側面の4面からなる周面壁と天面の開閉蓋及び底面の折り込み部からなり,(ウ)正面壁と右側面壁とが接する長辺を中心線として,両壁に電球図形と該電球図形から上方に広がる明調子領域とを略線対称に2分して表し,この電球図形は,包装箱本体縦方向の中央やや下方に表れており,(エ)電球図形及び明調子領域を除く正面壁及び右側面壁の余地部を暗調子領域に色分けし,(オ)前記色分けは,電球図形から斜め上向きに伸び,一定の調子の変化幅を有する境界線(以下,「調子境界線」という。)によって区分けし,前記明調子領域は,正面壁及び右側面壁から拡大連続して天面の開閉蓋側にも表れており,具体的構成態様として,(カ)正面壁から右側面壁にかけて表れている電球図形は,上方から下方に掛けて,約1/2円形状を呈するカバー部と上方から下方に向けて窄まる略台形形状を呈する本体部と螺子が刻設された口金部とからなり,(キ)前記調子境界線は,電球図形の本体部から正面壁の左辺上方及び右側面壁の右辺上方まで,明調子領域から暗調子領域にかけて連続階調で表している点において主に共通する。

(2)相違点
具体的構成態様として,(a)包装用箱の縦と横の比率につき,本件登録意匠が約9:5であるのに対して,イ号意匠が約11:6である点,(b)電球図形中の電球本体部の態様につき,イ号意匠には,多数の放熱フィンが表れているのに対し,本件登録意匠には,放熱フィンが表れていない点,(c)明調子領域につき,イ号意匠は,明調子領域下部,電球カバー部の周辺に連続階調を経て暗調子部としているのに対し,本件登録意匠には,その様な明度差が無い点,(d)開閉蓋の態様につき,本件登録意匠は,開閉蓋の明調子領域を平面視左上隅の略三角形状部分をのぞく範囲とし,中央に細幅な横長長方形状の暗調子領域を配しているのに対し,イ号意匠は,開閉蓋の明調子領域を開閉蓋全範囲とし,中央に細幅な縦長長方形状の明調子領域と異なる色調の領域と文字列等を配している点,(e)周面壁下縁部につき,イ号意匠は,細帯状の色分けを施しているのに対し,本件登録意匠には,その様な色分けが無い点,(f)周面壁の文字列等の態様につき,本件登録意匠は,正面壁及び右側面壁に表れた電球図形以外には,文字列や図形等を配していないが,イ号意匠は,正面壁の左上隅及び略左下半分領域,及び,右側面壁の右上隅及び右下半分領域,加えて,背面壁及び左側面壁に文字列や図形等が配されている点,に主な相違がある。

4.類否判断
そこで,イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するか否かについて,すなわち,両意匠の類似性について,本件登録意匠の出願前に存する公知意匠等を参酌し,新規な態様や需要者の注意を最も引きやすい部分を考慮した上で,共通点と相違点が意匠全体として両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,検討する。

まず,共通点が類否判断に及ぼす影響について比較して検討する。
共通点(ア)及び(イ)については,この種包装用箱の基本的な構成態様であり,この分野において本件登録意匠の出願前に多数見受けられ,本件登録意匠の特徴とはいえず,両意匠のみに共通する新規の構成態様とはいえないので,類否判断に与える影響が大きいとはいえないが,共通点(ウ)ないし(オ)については,本件登録意匠の出願前には見られない本件登録意匠のみに特徴的な構成態様といえるものであるから,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものであり,共通点(カ)は,内包される物の具体的な態様を表しているものであるから,この共通点をもって,類否判断に与える影響はさほど大きいものとはいえず,共通点(キ)は,本件登録意匠の出願前には見られない本件登録意匠のみに特徴的な構成態様といえるものであり,その新規の構成態様からなる共通性であるから,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
そうすると,(ウ)ないし(オ)及び(キ)の共通点に係る態様は,公知意匠を参酌すれば,両意匠のみに共通する特徴的な態様といえ,両意匠の類否判断を決定付けるものと認められる。

一方,前記相違点について,(a)の点については,ごくわずかな差であり,また,内容物によって縦横比を変えるのが常とう手段であるこの物品分野においては,類否判断に影響を与えるほどの差とは認められない。(b)の点については,内容物を箱表面に模様として表すのが常とう手段であるこの種物品において,内容物のフィンの有無による差異がこの部分の態様の差異として表れているのみとの認識になるため,類否判断に大きな影響を与えるとは言い難く,なおかつ,共通点(カ)内の差異といえ,類否判断に与える影響は,小さい。(c)の点については,イ号意匠の方が電球カバー部形状が明確に表れる,という差が認められるが,この差は,共通点(ウ)の強い共通感の中でのわずかな差といえ,その局所のみを比較するならばともかく,全体観察による両意匠の類否判断には,それほど大きな影響を与えるとはいえない。(d)の点については,両意匠の類否判断が,平面視のみにおける比較であるならば,ある程度の影響を及ぼすと考えられるが,正面側から俯瞰した場合は,奥側の差異と認められることも考慮すると,全体観察における類否判断では,それほどの影響を与えるとはいえない。(e)の点については,正面壁の下縁や,周面壁の下縁に細帯状の色分けを施すことは,この種物品分野において,古くから行われている手法であり,細帯を設けることも設けないこともごく普通に行われている態様といえるものであるから,この有無が両意匠の類否判断に影響を与えることは,ほとんど無い。次に,(d)の点の,開閉蓋中央に細幅な縦長長方形状の明調子領域と異なる色調の領域と文字列等を配している点と合わせて,(f)の点につき,この種包装用箱には,箱に収納された商品情報を伝達するための文字列等を表すのは,一般的な表示方法であり,差異は認められるものの,それほど際立った相違の存在が認められるものでもなく,この点をもって共通点(ウ)ないし(オ)の共通感を覆すほどのものとはいえない。
そうして,上記の相違点が相まって相乗的な効果が生じることを考慮してもなお,前記両意匠の共通点が奏する全体の基調を覆すには至らないものである。

以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,その形態について,両意匠の共通点は,両意匠の全体の基調を形成し,両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものであるのに対し,相違点は,いずれも類否判断に及ぼす影響が軽微ないし微弱なものであり,共通点を凌ぐことができず,結局,両意匠は全体として類似するものといわざるを得ない。

5.結び
以上のとおりであるから,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。

よって,結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2012-03-01 
出願番号 意願2010-4903(D2010-4903) 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 石坂 陽子 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 瓜本 忠夫
橘 崇生
登録日 2010-09-10 
登録番号 意匠登録第1398272号(D1398272) 
代理人 藤本 昇 
代理人 野村 慎一 
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