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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1255089 
審判番号 不服2011-18250
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-24 
確定日 2012-04-06 
意匠に係る物品 圧力検出器 
事件の表示 意願2010- 16150「圧力検出器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2010年(平成22年)7月1日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「圧力検出器」であり,その形態が願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第2 原審の拒絶の理由
原審の拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,特許庁意匠課が2010年(平成22年)5月14日に受け入れ,その掲載確認日(公知日)を2010年(平成22年)5月10日と確認したところの,W.W. Grainger,Inc.がインターネットに掲載した,表題を『Low Pressure Switch, Open 75 PSI』とするページ(掲載ページのアドレス http://www.grainger.com/Grainger/items/4LWX9?Pid=search)に掲載された「圧力スイッチ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ22004691号)であって,その形態は,同サイト掲載ページの写真版に現されたとおりのものである(別紙第2参照)。

第3 本願意匠と引用意匠の対比
1.意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「圧力検出器」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「圧力スイッチ」であって,両意匠の意匠に係る物品は,冷凍機や冷暖房機等において,流体の圧力を検出し,圧力変化に応じたオンオフ信号や圧力信号を出力するものであって,共通する物品と認められる。

2.本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下,「本願部分」という。)と,本願部分に相当する引用意匠の部分(以下,「引用部分」という。)の用途及び機能と位置,大きさ,範囲
本願部分と引用部分は,いずれも,流体を導入するためのフレア継手部と当該継手部上面に設けられた中間継手部,そして当該中間継手部と接合された,本体部のキャップ部であって,両部分の用途及び機能は一致し,物品全体の形態に対する,位置,大きさ,範囲も,ほぼ一致する。

3.本願部分と引用部分の形態
本願部分と引用部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
(1)共通点
(A)フレア継手部は,全体が正六角柱状であって,その底面中央に円筒状の穴部を設けた点
(B)本体部のキャップ部は,円形の皿を伏せたような,突出した形態としている点

(2)相違点
(a)本願部分は,フレア継手部上面に,円形の浅い皿を伏せたような,突出した中間継手部を設け,さらに,当該中間継手部の径は,本体部のキャップ部の径に対して,2.5分の1程度であるのに対して,引用部分は,フレア継手部上面の具体的形態,及び,本体部のキャップ部との接合部の具体的形態は不明である点
(b)フレア継手部底面の穴部につき,本願部分は,内壁にネジが切られているのに対して,引用部分の具体的形態は不明である点

第4 本願意匠と引用意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,両意匠の類否を意匠全体として総合的に検討し,判断する。

1.共通点の評価
(A)及び(B)の点については,この種物品においては,引用意匠の他にも,本願出願前に,例えば,参考意匠1(公開特許公報掲載の特開平9-120762 【図1】の流体圧応答電気スイッチの意匠(別紙第3参照))にも見られるありふれた形態であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものである。

2.相違点の評価
これに対して,(a)のフレア継手部上面の中間継手部の形態につき,本願意匠は,円形の浅い皿を伏せたような形態として,当該中間継手部の径を,本体部のキャップ部の径に対して,2.5分の1程度とし,結果,当該中間継手部と本体部のキャップ部との接合部を側方視すると,あたかも,小さな径の浅い皿の底面部と大きな径の皿の底面部とを接合したかのような形態を呈し,このような形態のものは,本願出願前には見られない,本願部分にのみ見られる特徴的な形態と認められる。
そして,当該接合部は,フレア継手部と本体部との間に位置するものではあるが,両物品が,一般に手に取って全体観察することが可能な程度の大きさのものであることを勘案すれば,看者が詳細に観察することが可能な部分であって,更に,フレア継手部から,圧力検出部を有し,オンオフ信号や圧力信号を出力する本体部へと,流体を導入する重要な機能を果たす部分であることから,看者の注意を強く惹き,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす部分と認められる。
(b)の点については,フレア継手部底面の穴部の内壁という,目に付きにくい部分であることから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱な部分と認められる。

3.小括
そうすると,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,また,両部分の用途及び機能が一致し,物品全体の形態に対する位置,大きさ,範囲も,ほぼ一致するが、両部分の形態については,両部分の共通する形態が生じる共通感が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,微弱なものであるのに対し、フレア継手部上面の中間継手部と本体部のキャップ部との接合部は,看者の注意を強く惹き,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす部分であるにもかかわらず,引用部分の当該接合部の具体的形態が不明であり,また,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱な部分ではあるが,引用部分のフレア継手部底面の穴部の内壁の具体的形態も不明であることを勘案すれば,両意匠は,意匠全体として類似するものということはできない。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によっては,拒絶すべきものとすることができない。
また,本願意匠について,他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-03-27 
出願番号 意願2010-16150(D2010-16150) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 恭子江塚 尚弘 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 遠藤 行久
斉藤 孝恵
登録日 2012-04-20 
登録番号 意匠登録第1441924号(D1441924) 
代理人 瀧野 文雄 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 今井 貴子 
代理人 川崎 隆夫 

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