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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 B1
管理番号 1259672 
審判番号 不服2012-1856
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-31 
確定日 2012-07-02 
意匠に係る物品 バスト用カップ 
事件の表示 意願2010- 11294「バスト用カップ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,本意匠を意願2010-011293号とする関連意匠の意匠登録出願として,2010年(平成22年)5月10日に意匠登録出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書添付の図面によれば,意匠に係る物品を「バスト用カップ」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 本意匠
本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2010年(平成22年)5月10日の意匠登録出願(意願2010-011293号)で,2011年(平成23年)1月21日に,意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1407875号の意匠で,その意匠権者は,本願の意匠登録出願人と同一人であり,2011年(平成23年)2月21日に,日本国特許庁が発行した意匠公報に掲載されたものであって,願書の記載及び願書添付の図面によれば,意匠に係る物品を「バスト用カップ」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,「本意匠実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照)

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないので,意匠法第10条第1項の規定に該当しない,というものである。
なお,その理由を,拒絶の査定において概略以下のとおりとした。
本願意匠及び本意匠のように,パッドの上下の二箇所に肉厚部を設け,下部の肉厚部を上部より大きく形成したものは,例えば,2006年(平成18年)7月27日に特許庁が発行した公開特許公報の特開2006-193861号所載のパッドの意匠(別紙第3参照)に見られるように,本願出願前より見られるものであるから,本願意匠及び本意匠にのみの格別な特徴とは言えず,その共通点が類否判断に与える影響が大きいとは認められない。一方,両意匠は,肉厚部の厚みや形状において差異が顕著であり,その差異点は全体の印象を別異なものとするものと認められる。

第4 本願意匠と本意匠との対比
1.意匠に係る物品について
両意匠の意匠に係る物品は,ともに「バスト用カップ」であって,意匠に係る物品は,一致する。

2.「本願実線部分」と「本意匠実線部分」の用途及び機能と位置,大きさ,範囲について
両部分は,いずれも,着用時に乳房の形状を補正することを目的とした部分であって,用途及び機能は,一致し,また,両部分は,バスト用カップの内側凹面湾曲部の周囲を若干残して,略円形状に一点鎖線により囲われた部分であって,物品全体の形態に対する,位置,大きさ,範囲は,ほぼ一致する。

3.「本願実線部分」と「本意匠実線部分」の形態について
両部分の形態は,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
(1)共通点
基本的構成態様として,
(A)バスト用カップの内側凹面湾曲部の下方に面積及び厚みの大きな横長変形楕円形状の肉厚部(以下,「肉厚部1」という。)を形成し,そのやや左斜め上方に,面積及び厚みがやや小さな横長楕円形状の肉厚部(以下,「肉厚部2」という。)を,若干の隙間を介して,形成した点。
具体的構成態様として,
(B)正面視すると,肉厚部1の横長変形楕円形状,及び肉厚部2の横長楕円形状につき,それぞれやや右斜め上方に傾斜している点。

(2)相違点
具体的構成態様として,
(a)正面視すると,肉厚部1の輪郭形状につき,「本願実線部分」の上辺部は,ほぼ直線状であって,全体の輪郭形状がはっきり表れているのに対して,「本意匠実線部分」の上辺部は,緩やかな略凸弧状であって,全体の輪郭部がなだらかに形成され,輪郭形状がはっきりと表れていない点,
(b)正面視すると,肉厚部2の輪郭形状につき,「本願実線部分」は,やや円に近い楕円形状であって,全体の輪郭形状がはっきり表れているのに対して,「本意匠実線部分」は,やや扁平な楕円形状であって,全体の輪郭部がなだらかに形成され,輪郭形状がはっきりと表れていない点,
(c)A-A端面図によれば,「本願実線部分」の肉厚部1,及び肉厚部2の厚みは,「本意匠実線部分」の肉厚部1,及び肉厚部2の厚みより,やや厚い点。

第5 本願意匠と本意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,両意匠の類否を意匠全体として総合的に検討し,判断する。

1.形態の共通点の評価
基本的構成態様に係る共通点(A)は,両意匠の形態全体にわたる骨格的な態様に係り,両意匠の基調を形成して,共通の印象を強く与えるものであって,両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすところとなっている。
なお,原査定で参考とした,公開特許公報の特開2006-193861号所載のパッドの意匠(別紙第3参照)は,全体を略楕円形状とし,中央よりやや上部に水平な直線状の折り曲げ部を設け,当該折り曲げ部の上下に,ほとんど隙間を設けることなく,上下に肉厚部を設けたものであって,当該上下の肉厚部の形状は,「本願実線部分」と「本意匠実線部分」に共通する肉厚部1,及び肉厚部2とは,全く形状が異なるものであることから,前記判断を左右するものではない。
また,具体的構成態様に係る共通点(B)は,両部分の全体形態が単純な構成要素から形成される中にあっては,両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすものであり,この具体的構成態様に係る共通点は,前記基本的構成態様に係る共通点(A)と一体となって,見る者に与える共通の印象を一層強くするものとなっている。

2.形態の相違点の評価
これに対して,具体的構成態様に係る相違点(a)の,正面視したときの肉厚部1の輪郭形状の相違は,上辺部の態様が多少異なる点,及び輪郭形状がはっきりと表れているか否かの点については,両部分の肉厚部1が,横長変形楕円形状という共通する印象の中にあっては,それは,部分的な細部の相違というほかなく,(b)の,肉厚部2の輪郭形状の相違は,多少縦軸,横軸の比率が多少異なるものの,いずれも横長楕円形状であって,むしろ共通する態様といえ,また,輪郭形状がはっきりと表されているか否かについても,両部分の肉厚部2が,横長楕円形状という共通する印象の中にあっては,部分的な細部の相違であり,(c)の,肉厚部の厚みの相違も,この種の物品において,様々な体型の女性に合わせて創作される意匠のバリエーションの範囲内のものであり,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,いずれも微弱にとどまるものであって,前記共通点が看者に与える強い共通感を覆すほどのものではない。

3.小括
そうすると,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,また,両部分についての,用途及び機能は一致し,物品全体の形態に対する位置,大きさ,範囲もほぼ一致し,そして,形態についても,両部分の共通点が,看者に強い共通感を与えて,両意匠の類否判断を決定付けているのに対し,両部分の相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱で,それらの相違点が相乗して生じる視覚効果を考慮しても,その効果は,前記共通感を覆すほどのものではないから,両意匠は,意匠全体として類似する。

第6 むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する,本意匠に類似する意匠に該当し,原査定の拒絶の理由によっては,拒絶すべきものとすることができない。
また,本願意匠について,他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-06-20 
出願番号 意願2010-11294(D2010-11294) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (B1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 斉藤 孝恵
遠藤 行久
登録日 2012-07-13 
登録番号 意匠登録第1448785号(D1448785) 
代理人 佐藤 英二 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 黒川 朋也 
代理人 野間 悠 
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