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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D6 |
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管理番号 | 1259673 |
審判番号 | 不服2012-801 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-01-16 |
確定日 | 2012-06-20 |
意匠に係る物品 | 衣料用ハンガー |
事件の表示 | 意願2010- 2050「衣料用ハンガー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成22(2010)年1月29日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「衣料用ハンガー」であり,その形態は,願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁発行の意匠公報掲載の意匠登録第1004531号「衣料用ハンガー」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 両意匠を対比すると,いずれも「衣料用ハンガー」に係るものであるから,意匠に係る物品が一致し,その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。 (1)共通点 (A)両意匠は共に,概ね断面形状が円形の棒状の部材により形成されたもので,全体は,略円弧状のフック(以下,「フック」という。)と略隅丸弓形状の本体部(以下,「本体部」という。)から構成され,フックと本体部を小型略円筒形状の接続部(以下,「接続部」という。)で繋ぎ,フックの下に輪状に囲まれた部位を設け,その輪状部の下方中央に段差掛け部を設け,本体部の底辺の直線状部の左右にクリップを配した点,(B)段差掛け部は右側面視略「く」の字状に折れて前側に突出している点,(C)本体部の膨出して弓状にした左右の肩部(以下,「肩部」という。)の略中央付近に肩紐などを掛ける凹状部(以下,「凹状部」という。)を設けた点,(D)クリップは前後面上端に円形状部を設けた点,において共通する。 (2)差異点 (a)肩部について,引用意匠は,凹状部の左右に滑り止め用の凸部をフック寄りに3つ,底辺寄りに4つ,計7つずつ左右合わせて14配し,凹状部が円弧状で,開口部の両側に先端が丸い棒状突起部を設けているのに対し,本願意匠は,凹状部の左右に滑り止め用の凸部を有さず,凹状部が角張っており,開口部は下側からのみ棒状突起部を設けている点,(b)フックの下の輪状に囲まれた部位について,本願意匠は,正面視略台形状であるのに対して,引用意匠は,略木の葉形状である点,(c)段差掛け部について,本願意匠は,一本の細い薄板状で正面視上端が丸いのに対して,引用意匠は,断面が円形状の棒状の部材で正面視略逆「U」字状に形成されている点,(d)本体部の底辺の直線状部について,本願意匠は,他よりやや太い棒状としているのに対して,引用意匠は,他の部位と同じ太さである点,(e)本体部の左右端寄りの部位について,引用意匠は,縦棒状の支持部があるのに対して,本願意匠は,そのような支持部がない点,(f)フック及び接続部について,本願意匠は,フックの円弧状部の下方が緩やかなカーブとなって接続部に接続し,フックの下の輪状に囲まれた部位が接続部側面に繋がり,接続部の下端が僅かな突出部としているのに対して,引用意匠は,フックの円弧状部の下方にわずかな垂直部があり,その下方に接続部が繋がり,接続部下端の下方に輪状に囲まれた部位が接続されている点,(g)クリップについて,本願意匠は,上端が丸く,前後面の上端に円形状部を,その下に縦長長方形状部を有し,下端に小型横長長方形状部を有しているのに対して,引用意匠は,上端が角張っていて,前後面の略中央に四角状部を有している点に差異が認められる。 (3)類否判断 そこで検討するに,共通点の態様のうち,共通点(A)の態様は,この種の物品の分野においては,他にも見られるものであり,両意匠を概括的に捉えたものに過ぎず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいというほかない。共通点(B)の態様も,普通に見受けられる態様であって,両意匠のみの特徴ではないから,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす共通点ということはできない。共通点(C)及び同(D)の態様は,いずれも他にも見受けられる態様であって,それらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。そして,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,看者の注意を強く惹くものであるから,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。 すなわち,差異点(a)及び同(b)に係る態様は,肩部の形状と輪状に囲まれた部位に係る,本体部における差異で,その差異は,両意匠の部分的な態様差ではあるが,全体として両意匠の印象を異ならせるものといえる。次に,差異点(c)に係る態様は,段差掛け部における具体的な形状における差異であって,意匠の中央にあって視覚的に注意を惹くものといえ,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものである。さらに,差異点(d)ないし同(g)に係る態様については,それぞれの部位に係る差異が部分的なもので,それらのみでは両意匠の類否判断に与える影響は大きいとはいえないが,差異点(a)ないし同(c)に係る態様と相俟って,両意匠が別異であるとの印象を与えるものである。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似するということはできない。 4.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-06-04 |
出願番号 | 意願2010-2050(D2010-2050) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 植山 陽子、川崎 芳孝 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 下村 圭子 |
登録日 | 2012-07-06 |
登録番号 | 意匠登録第1448157号(D1448157) |
代理人 | 入江 一郎 |