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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1261399 
審判番号 不服2012-920
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-17 
確定日 2012-07-23 
意匠に係る物品 電球 
事件の表示 意願2011- 652「電球」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成23(2011)年1月14日の意匠登録出願であって,その意匠は,願書及び願書添付の図面によれば,意匠に係る物品が「電球」であり,その形態は,願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「実線で表された部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠」という。)としたものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁発行の意匠公報掲載の意匠登録第1397198号「発光ダイオード電球」の意匠(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
両意匠を対比すると,いずれも電球型の照明器具用光源に係るものであるから,意匠に係る物品が共通する。
両意匠は,口金部を有する電球のランプ部分とその支持部である基部によって構成される電球の口金部分を除いた部分に関するものであるから,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,共通する。
両意匠の形態については,主として,以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)全体を略半球状とするランプカバー部(以下,「ランプカバー部」という。)と略逆円錐台形状の基部(以下,「基部」という。)からなる構成とした点,(B)ランプ部は,透光性部材からなり,基部との間に細幅な溝部を形成し,縮径したランプ部の下方が視認できるように設けた点,(C)基部の外周面をわずかに反らせた形状とし,底部付近に同形同大で複数の孔部を等間隔に配した点,(D)基部の上方に切り換え線を有する点において主に共通する。
(2)差異点
(ア)ランプカバー部の高さと基部の高さの比について,本願意匠は,約2.2:1であるのに対して,引用意匠は,約1.35:1で,本願意匠の方がランプ部の割合が大きい点,(イ)基部の底部の形状について,本願意匠は,口金部の上方に凸円弧状のカーブを設け,底部からカーブに沿って,底面視略縦長楕円形状の孔部を16個配しているのに対して,引用意匠は,口金部の上方に斜状の面を設け,その面に底面視略隅丸逆台形状の孔部を10個配している点,(ウ)ランプカバー部の下方の形状について,本願意匠は,緩やかな円弧状部と斜状部を設けてから細幅な溝部を形成しているのに対して,引用意匠は,略きのこ形状に略半球状部分の下辺を直線状とし,細幅な溝部を形成している点,(エ)基部の周側面について,本願意匠は,上方及び下方に二重の切り換え線が設けられているのに対して,引用意匠は,上方に一本の切り換え線が設けられている点に主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点の態様のうち,全体を略半球状とするランプカバー部と略逆円錐台形状の基部からなる構成とした点,ランプカバー部が,透光性部材からなり,基部との間に溝部を形成し,縮径したランプカバー部の下方が視認できるように設けた態様は,概括的に見た場合の共通点に過ぎない上に,この種の物品の分野においては,他にも普通に認められ,それらを有する点のみをもって両意匠の類否判断を決定付ける共通点ということはできない。また,基部の外周面をわずかに反らせた形状とし,底部付近に同形同大で複数の孔部を等間隔に配したという具体的構成態様に係る共通性は,両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度あるというべきではあるが,これらの共通点は,両意匠のみの特徴ではないから,この共通性が,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。さらに,基部の上方に切り換え線を有する点については,目立つものとはいえず,この共通点が両意匠の類否判断に影響を及ぼすものとはいうことができない。
これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,看者の注意を強く惹くものであるから,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
すなわち,差異点(ア)及び同(イ)に係る態様は,ランプカバー部と基部の形状に係る大きな差異で,その差異は,看者の注意を強く惹くところであり,両意匠の形態全体の骨格的な態様に係り,両意匠の印象を大きく異ならせるものといえる。次に,差異点(ウ)に係る態様は,ランプカバー部の下方についての狭い部分での差異ではあるが,ランプカバー部の形状に係る差異であって,需要者にとって注意を惹く部分であって,視覚的に目立つものといえ,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものである。さらに,差異点(エ)に係る態様については,それのみでは両意匠の類否判断に与える影響は小さいが,差異点(ア)ないし(ウ)に係る態様と関連して,両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるに十分なものである。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲が共通するものであるが,形態が類似しないものであるから,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせ,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-07-10 
出願番号 意願2011-652(D2011-652) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 正田 毅 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 瓜本 忠夫
遠藤 行久
登録日 2012-08-24 
登録番号 意匠登録第1451767号(D1451767) 
代理人 牛木 護 

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