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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1261400 |
審判番号 | 不服2012-3404 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-02-22 |
確定日 | 2012-07-27 |
意匠に係る物品 | 電気コネクタ |
事件の表示 | 意願2010- 20747「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成22(2010)年8月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「電気コネクタ」であり,その形態は,願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁が平成21(2009)年4月6日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1355190号「電気コネクタ」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)両意匠の対比 両意匠を対比すると,いずれも基板に実装される,上方から別のプラグコネクタの端子を嵌合させるためのレセプタクルコネクタに係る「電気コネクタ」であるから,意匠に係る物品が一致し,その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。 1)共通点 (A)全体を扁平な横長直方体状の箱状とするハウジング部(以下,「ハウジング部」という。)の平面視上下に対称形でほぼ等間隔に多数の導電用の端子(以下,「導電端子」という。)等を配した端子部(以下,「端子部」という。)を設けたものであって,中央に横長直方体状の突出部を島状に設け,その周囲にロ字状の嵌合部(以下,「嵌合部」という。)を設けた構成とした点,(B)ハウジング部は,平面視した外枠四隅を隅丸状とし,平面視左右上下を対称状とし,外枠の内側に略倒凹字状の堤状部(以下,「堤状部」という。)を設け,外枠の外側に段差を設けて平面視略隅丸L字状部と略逆L字状部を上下に設けている点,(C)導電端子は,湾曲した態様のものであって,平面視上下の肩部と底面視長方形溝部から視認できるものである点,(D)側面視した外枠部を略逆凸字状とし,その上辺部に小型円弧状の凹部を2個設けた点において主に共通する。 2)差異点 (ア)ハウジング部の内側の具体的態様について,本願意匠は,導電端子の他に,端子部の左右上下の4箇所に嵌合検知端子を設け,その先端部が外から視認できるのに対して,引用意匠は,すべて同形同大であって,そのような端子を設けていない点,(イ)左右の堤状部の形状について,本願意匠は,平面視の上下隅部が角張っており,平面の中央部に一段下がった段差部を設けているのに対して,引用意匠は,平面視の上下隅部が隅丸状で,平面に段差部を設けず平坦面としている点,(ウ)ハウジング部の平面視の縦横比について,本願意匠は,約1:1.9であるのに対して,引用意匠は,約1:3で,本願意匠より横長である点,(エ)導電端子の本数について,本願意匠は,上下に5本ずつ計10本(嵌合検知端子を含めると計14本)設けているのに対して,引用意匠は,上下に12本ずつ計24本設けている点,(オ)底面の具体的態様について,本願意匠は,左右端部寄りに区切り部があり,長方形溝部が導電端子用の長いものと嵌合検知端子用の短いものがあり,上下が離れて配されているのに対して,引用意匠は,左右端部寄りに区切り部はなく,中央に端部まで延びる横長の帯状部があり,帯状部に接して同形同大の長方形溝部が配されている点に主な差異が認められる。 (2)類否判断 そこで検討するに,共通点の態様のうち,共通点(A)及び同(B)の全体の構成に係る態様及びハウジング部左右の態様は,この種の物品の分野においては,他にも見られるものであり,両意匠を概括的に捉えたものに過ぎず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいというほかない。次に,共通点(C)の端子部の態様も,他にも普通に見られるありふれた態様であって,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この共通点が両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。さらに,共通点(D)の外枠部の共通点についても,他にも見受けられる態様であって,それが注意を惹く部分とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠を見る者の目に付き易いものであるから,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。 すなわち,差異点(ア)に係る態様は,端子部の具体的態様における差異であるが,この種の物品分野において,この部位に嵌合検知端子を設けた点は,特徴的なものであって,見る者が着目するものであるから,嵌合検知端子の存在が,本願意匠を特徴付け,見る者に引用意匠とは別異の印象を与えるものである。次に,差異点(イ)に係る態様は,左右の堤状部に係る具体的な形状における差異であって,見る者の目に付き易い部分に係る差異であり,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。また,差異点(ウ)に係る態様は,ハウジング部の縦横比に係る差異であり,いずれも普通に見られる態様ではあるが,差異点(イ)の左右の堤状部の具体的な形状の差異と相俟って,両意匠が別異であるとの印象を与えるものである。そして,差異点(エ)に係る態様は,導電端子の本数についての差異であって,本数の差自体は,この種物品分野においてよく見られる態様の範囲内のものであるが,平面視上下に配された端子部全体の態様として,この種物品分野の意匠において両意匠を見る者が,機能が表れる部位として着目する部位であるから,見る者に与える印象を異ならせるものといえる。さらに,差異点(オ)に係る態様は,底面という目立たない部分における差異であって,それのみでは両意匠の類否判断に与える影響が大きいとはいえないが,差異点(ウ)に係る態様と関連して,両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,上記共通点を凌ぐものであって,生起する美感を異にしていると認められる。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 4.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-07-12 |
出願番号 | 意願2010-20747(D2010-20747) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原田 雅美 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
瓜本 忠夫 遠藤 行久 |
登録日 | 2012-08-24 |
登録番号 | 意匠登録第1451766号(D1451766) |
代理人 | 日高 一樹 |