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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1262900 
審判番号 不服2012-4700
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-12 
確定日 2012-08-29 
意匠に係る物品 ガイドワイヤ 
事件の表示 意願2011- 6377「ガイドワイヤ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成23(2011)年3月22日の意匠登録出願であって,その意匠は,意匠に係る物品が「ガイドワイヤ」であり,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「実線で示された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠」という。)としたものである(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁意匠課が2009年9月4日に受け入れた,掲載確認日(公知日)2009年8月31日,朝日インテック株式会社のインターネット上の製品カタログ,http://asahi.irbridge.com/ja/custom1/custPage/0/custDownloadFile1/ASAH(掲載ページのアドレスhttp://asahi.irbridge.com/ja/custom1/custPage/0/custDownloadFile1/ASAHI%20SION.pdf)に掲載された「カテーテル用ガイドワイヤー」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ21025738号)(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用意匠」という。)であって,その形態は,インターネット上の同頁に掲載された写真及び図版にあらわされたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
(1)両意匠の対比
両意匠を対比すると,いずれも医療用のカテーテルに用いられる,「ガイドワイヤ」であるから,意匠に係る物品が共通する。
両意匠は,ガイドワイヤの先端付近の部分に関するものであるから,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,共通する。
その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。
なお,両意匠を対比するため,引用意匠を本願意匠の図中の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。
1)共通点
(A)全体をコイル状のスプリング体(以下,「コイル体」という。)とし,その先端に頭頂部が丸い先端部(以下,「先端部」という。)を設けたものである点,(B)コイル体は,線状体が螺旋形状を形成して連続し,同径の管状体を構成している点,(C)先端部は,頭頂部を略半球状とし,コイル体寄りの部位がコイル体とほぼ同径まで拡がって形成されている点。
2)差異点
(ア)コイル体について,本願意匠は,先端部の近くが略逆「へ」の字状に約40°の角度に屈曲しているのに対して,引用意匠は,全体が直線状である点,(イ)コイル体の具体的態様について,本願意匠は,線状体が太く,螺旋形状が側面視して斜めに形成されているのに対して,引用意匠は,線状体が細く,螺旋形状がほぼ垂直方向に形成されている点,(ウ)先端部の側面視形状について,本願意匠は,頭頂部が縮径した釣鐘形状であるのに対して,引用意匠は,半球状である点。
(2)類否判断
そこで検討するに,共通点の態様のうち,共通点(A)及び同(B)の全体の構成に係る態様及びコイル体の態様は,この種の物品の分野においては,他にも見られるものであり,両意匠を概括的に捉えたものに過ぎず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいというほかない。次に,共通点(C)の先端部の態様も,他にも普通に見られるありふれた態様であって,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この共通点が両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様は,両意匠の需要者が重大な関心をもって見るものであるから,これらの差異点が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものというべきである。
すなわち,差異点(ア)に係る態様は,コイル体の全体形状における差異であって,この種の物品分野において,屈曲しているものも,直線状のものも,いずれも本願出願前より見受けられる態様であるが,本願意匠のように全体がほぼ直線状のまま略「へ」字状に屈曲した態様は,特徴的なものであって,需要者が注目するものであるから,本願意匠を特徴付けるものであって,需要者に引用意匠とは別異の印象を与えるものである。次に,差異点(イ)に係る態様は,コイル体の具体的な形状における差異であって,需要者の目に付き易い部分に係る差異であり,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。また,差異点(ウ)に係る態様は,先端部の具体的形状に係る差異であり,いずれも普通に見られる態様ではあるが,差異点(ア)及び同(イ)のコイル体の具体的な形状の差異と相俟って,両意匠が別異であるとの印象を与えるものである。そうして,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,上記共通点を凌駕するものであって,生起する美感を異にしていると認められる。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲が共通するものであるが,形態の差異点全体が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれをはるかに凌駕するものであるから,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせ,両意匠は類似するものではないと認められる。

4.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-08-17 
出願番号 意願2011-6377(D2011-6377) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 遠藤 行久
瓜本 忠夫
登録日 2012-09-21 
登録番号 意匠登録第1453479号(D1453479) 
代理人 吉本 聡 

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