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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1262904 
審判番号 不服2012-5700
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-28 
確定日 2012-09-07 
意匠に係る物品 手術用メス 
事件の表示 意願2011- 9892「手術用メス」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成23(2011)年4月28日の意匠登録出願であって,その意匠は,意匠に係る物品が「手術用メス」であり,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「部分意匠として登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表している。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠」という。)としたものである(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁が平成16(2004)年8月16日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1214559号「手術用メス」の意匠(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
(1)両意匠の対比
両意匠を対比すると,いずれも「手術用メス」であって,眼球などの切開に用いられるものであるから,意匠に係る物品が一致する。
両意匠は,手術用メスの刃の先端部分に係る,主として表面と裏面の面取り形状に関するものであるから,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,共通する。
その形態については,主として以下の共通点及び差異点がある。
1)共通点
(A)平・底面視略三角形状の刃の表面と裏面に略平行四辺形状の刃面(以下,「刃面」という。)を,表・裏面のそれぞれにおいて上下対称形状に形成した点,(B)該刃の断面視形状は,基端部から先端部に向かって徐々に薄く形成されている点。
2)差異点
(ア)刃面の幅について,本願意匠は,表面側が略平行四辺形状で同幅で,裏面側の上下がやや幅広く形成されているのに対して,引用意匠は,裏面側が平行四辺形状で同幅で,表面側の上下がやや幅広く略変形台形状に形成されている点,(イ)表面側の刃面の稜線及び面構成の具体的構成態様について,本願意匠は,上下の刃面間の中央部分に直線状の稜線があるのみであるのに対して,引用意匠は,上下の刃面間の中央部分に直線状の稜線が短く形成され,その上下の刃面の各面のそれぞれに,刃の中央部分の稜線を一辺とした細長三角形状の傾斜面を上下対称形状に形成したものであって,上下の刃面がそれぞれ2つの異なる傾斜面によって形成されているものである点,(ウ)刃面の長さについて,本願意匠は,表面側の刃面より裏面側の刃面の方が長いのに対して,引用意匠は,表・裏面の刃面の長さがほぼ同じ長さである点。
(2)類否判断
そこで検討するに,共通点(A)及び同(B)は,この種の物品の分野においては,他にも見られる,ありふれた態様であり,かつ,両意匠の全体形状を概括的に捉えたものに過ぎず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様は,両意匠の需要者が重大な関心をもって見るものであるから,これらの差異点が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものというべきである。
すなわち,差異点(ア)は,刃面の幅の具体的態様における差異であるが,表面側と裏面側の幅の違いは,それぞれ明瞭に違いを認識できるものであり,また,この種の物品分野において,需要者がこの部位に着目する部分でもあり,その幅の相違は,両意匠の形状の違いを印象付け,需要者に本願意匠の刃面と引用意匠の刃面に対して,別異の印象を与えるものである。次に,差異点(イ)は,表面側の刃面の稜線及び面構成の具体的構成態様における差異であって,それが異なる傾斜面の有無や形状の差異となって現れ,需要者の目に付き易い部分に係る明瞭な差異であり,本願意匠は,傾斜面の少ないシンプルなものであるが,引用意匠は,複雑な構成をとっており,両意匠における差異は,無視することのできないもので,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。また,差異点(ウ)に係る態様は,需要者の注目する刃面において,その長さの違いは,需要者に与える印象を異ならせるものといえ,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。そうして,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,上記共通点を凌駕するものであって,生起する美感を異にしていると認められる。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲が共通するものであるが,形態の差異点全体が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれをはるかに凌駕するものであるから,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせ,両意匠は類似するものではないと認められる。

4.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-08-27 
出願番号 意願2011-9892(D2011-9892) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 瓜本 忠夫
遠藤 行久
登録日 2012-09-28 
登録番号 意匠登録第1453935号(D1453935) 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 
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