• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G3
管理番号 1264246 
審判番号 不服2012-3206
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-20 
確定日 2012-10-01 
意匠に係る物品 ボート用船体 
事件の表示 意願2011- 3644「ボート用船体」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願は,2011年(平成23年)2月22日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ボート用船体」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特許庁意匠課が2008年(平成20年)3月28日に受け入れ,その掲載日(公知日)を2008年(平成20年)3月24日と確認した,ヤマハ発動機株式会社がインターネットに掲載した,表題を『詳細本文?広報発表資料/ヤマハ発動機株式会社』とするページ(掲載ページのアドレス http://www.Yamaha-motor.co.jp/news/2008/02/27/exult45.html)所載の「モーターボート用船体」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ19077902号)であって,その形態は,同サイト掲載ページの図版に表されたとおりのものである(以下,「引用意匠」という。)。(別紙第2参照)

両意匠を対比すると,両意匠は意匠に係る物品が一致しており,その形態においても,船体中程にキャビンがあり,キャビン上にフライブリッジがある所謂コンバーチブルと呼ばれる全体構成と,船尾から船首側に向かって高くなるシアー(舷側)ラインを有する点,船体前方の所謂鼻先が長い点,等が共通する。
しかしながら,船側部の態様について,本願意匠は,シアーラインとガンネル(船縁)ラインとが,船首から船尾に向かって,上下に分岐状に形成されており,シアーラインは,ごく緩やかな略円弧状を形成したのち船尾で急降下し,ガンネルラインは緩やかな略円弧状を形成しているのに対して,引用意匠は,側面視においてシアーラインとガンネルラインの分岐は見られず,シアーラインは,ごく緩やかな略S字曲線を描くものである点,キャビンとフライブリッジの形態について,本願意匠は,側面視で,船首側は,フライブリッジの鼻先がキャビンより前方に張り出していて,フライブリッジとキャビンの境界付近に小さな略半円弧状凹部が形成されており,船尾側は,キャビン後方が略放物線状に切り欠かれ,フライブリッジ後方は大きく略放物線状に切り欠かれ,この切り欠き内部にフライブリッジの中間に設けた横方向の手摺によって分断された下方部も細い略放物線状の切り欠きを形成していて,側面視の切り欠きが円弧状あるいは略放物線状といった曲線を基調とするものであるのに対して,引用意匠は,側面視で,船首側は,フライブリッジがほぼキャビンに連続する面をなし,船尾側がキャビンより後方に張り出していて,フライブリッジとキャビンの境界付近に略三角形状の凹部が形成されており,船尾側は,キャビン後方が,垂直よりやや前傾の直線状であり,フライブリッジ側面は船首側が細くなる大きな略不等辺四角形状を形成していて,側面視の切り欠きが直線を基調とするものである点,キャビン側面の窓周囲の区画線について,本願意匠は,船首側の略放物線状部から次第に略平行線状帯状部となって後端に到る区画線としたのに対して,引用意匠は,船首側が太く船尾側が細い略流線形状の区画線とした点等が主に相違している。
両意匠において共通するとした点と相違するとした点を,この種物品が観察される態様を考慮した上で,評価し,両意匠の類否を検討すると,共通するとした点が,両意匠の形態を極めて概括的に捉えたものに過ぎず,これらが類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,上記の,両意匠の具体的構成態様について相違するとした点が相乗した効果は,両意匠の類否判断を決定付けているものであるから,両意匠の生み出す美感はそれぞれ異なり,両意匠は,意匠全体として類似するということはできない。

したがって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,同法同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審においてさらに審理した結果,本願意匠について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-09-18 
出願番号 意願2011-3644(D2011-3644) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 生亀 照恵 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 早川 治子
瓜本 忠夫
登録日 2012-10-19 
登録番号 意匠登録第1455582号(D1455582) 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ