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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1264247 |
審判番号 | 不服2012-3303 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-02-21 |
確定日 | 2012-09-25 |
意匠に係る物品 | 包装袋 |
事件の表示 | 意願2010-3672「包装袋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,2010(平成22)年2月18日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装袋」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前である2004年9月6日に独立行政法人工業所有権総合情報館が受け入れた,PACKAGING DIGESTから発行された雑誌「PACKAGING DIGEST 8号」の第2頁に所載の「包装用袋(特許庁意匠課公知資料番号第HB16010710号)」の模様を除いた形状の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同雑誌に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 本願意匠と引用意匠を対比すると, (1)両意匠の共通点 意匠に係る物品は,「包装袋」と「包装用袋」であって,共通する。 そして,両意匠の形態においては,全体形状を略縦長長方形で左右対称形の袋体とし,全体の上から3分の1ないし4分の1を上端に向かって漸次縮幅させ,その下側は縦長長方形状としたものであって,具体的には,上部において,上に向かうにつれて袋の幅が狭くなるようにテーパ状に形成した肩部があり,その肩部は大きな曲線でやや凸状に形成しており,そして,肩部上端中央部に注ぎ口と成る未シール部分があって,その周りには,開封する際につまむタブを設けてあって,当該タブを略横長長方形とした点が主として共通する。 (2)両意匠の相違点 他方,両意匠の形態においては,基本的構成態様において,本願意匠は,二つ折りしたフィルムの折り部(輪)を下縁として左右両側をシールして袋にした,いわゆる二方袋を基礎としたものであるのに対し,引用意匠は,左右両側をフィルムの折り部(輪)とし下縁をシールして袋にした,いわゆる合掌袋(背張り)またはチューブを基礎としたものである点で相違している。 加えて,具体的構成態様においては,(A)肩部の勾配について,本願意匠は,横長さ:縦長さが,約5:6の縦長であるのに対し,引用意匠は,約7:5の横長である点,(B)注ぎ口の幅について,本願意匠は,(未シール部分の)全体幅の約7分の3であって広口であるのに対し,引用意匠は,約9分の1であって細口である点,(C)タブの形状につき,本願意匠は,タブ上辺が中央で山折れになっていて,左向き縦長台形と右向き縦長台形を下底でつないだような形状で,その縦横比は約2:9であるのに対して,引用意匠は,上向き台形状で,その縦横比は(下底の長さで)約1:2である点,等で相違する。 (3)両意匠の類否判断 本願意匠と引用意匠の共通点及び相違点を検討すると,共通点は両意匠の態様,とりわけ上部における態様を概括したに過ぎないものであるからこの共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできないのに対して,両意匠は,基本的構成態様に係る袋体の構成自体が異なり,その点は,以下の具体的構成態様に係る相違点と相まって類否判断に大きな影響を与えると考えられる。 具体的構成態様に係る相違点である(A)肩部の勾配,及び(B)注ぎ口の幅は,これら包装袋に収められる内容物(商品)の粘度及び流動性によって定められるものであるから,何を販売するために用いる袋なのかによって,求められる肩部の勾配及び注ぎ口の幅が異なってくることから,需要者に最も注目される部分であって,この部分の相違は,類否判断に大きな影響を与える。 また,袋の開封時には,使用者(エンド・ユーザー,消費者)が,見て,手指で触れて開封するものであることから,着目し,また使用感を左右するものであるから,(C)タブの形状は,需要者にとって注目される部分であり,その形状と大きさの相違は類否判断に影響を与えると認められる。 したがって,両意匠の意匠に係る物品は共通しているが,その形状については,両意匠の共通点及び相違点を総合的に判断すると,相違点全体は,共通点が生じさせている共通感をしのいで,見る者に両意匠が別異であるとの印象を与えており,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-09-13 |
出願番号 | 意願2010-3672(D2010-3672) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕和 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
下村 圭子 橘 崇生 |
登録日 | 2012-10-12 |
登録番号 | 意匠登録第1455116号(D1455116) |
代理人 | 小野 暁子 |
代理人 | 伊藤 克博 |