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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) J1
管理番号 1264274 
判定請求番号 判定2012-600009
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2012-11-30 
種別 判定 
判定請求日 2012-03-29 
確定日 2012-10-09 
意匠に係る物品 電子体温計用収納ケース 
事件の表示 上記当事者間の登録第1415443号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面並びにその説明書に示す「電子体温計用の収納ケース」の意匠は、登録第1415443号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1 請求人の申立て及び理由
請求人は、結論同旨の判定を求めると申立て、その理由を判定請求書及び平成24年7月24日提出の口頭審理陳述要領書に記載のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。

第2 被請求人の答弁及び理由
被請求人は、「イ号意匠が、意匠登録第1415443号及びこれに類似する意匠の範囲に属しないとの判定を求める。」と申立て、判定請求書及び平成24年7月24日提出の口頭審理陳述要領書に記載のとおり主張し、添付物件として、イ号意匠の現物と本件登録意匠を具体化した製品であると推測される製品の現物を提出した。

第3 口頭審理
当審は、平成24年8月7日に本件判定請求について口頭審理を行った。(第1回口頭審理調書参照)

第4 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、2010年(平成22年)9月17日に意匠登録出願をし、2011年(平成23年)4月28日に意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1415443号の意匠(以下、「本件登録意匠」という。)であり、願書の記載によれば意匠に係る物品を「電子体温計用収納ケース」とし、その形態は願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.イ号意匠
イ号意匠は、判定請求書においてイ号図面並びにその説明書によって示されたとおりものであって、意匠に係る物品を「電子体温計用の収納ケース」とし、その形態を当該図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第2参照)

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比
両意匠を対比すると、意匠に係る物品は、何れも体温計を収納・保管するケースに係るものであるから、一致し、その形態については、主として以下の共通点と相違点がある。
なお、両意匠の対比は、本件登録意匠の図面の向きを基本とする。

【共通点】
基本的構成態様において、(A)全体は、縦幅1に対し、奥行きが約0.8で、横長が6弱の、厚みのある略流線形状の細長の筐体であり、左方を本体部、右方を蓋部とし、本体部の正面に開口窓部を形成し、本体部と蓋部に跨る平面にヒンジ部を設けた点。
各部の具体的態様において、(B)本体部について、体温計の挿入口である右端の開口部から左方に向けて、平底面(上下面)を緩やかな曲面状に窄めて、正面視細長い略放物線形の深底の角形容器状に形成したものであり、(B-1)開口部は、側面視縦長の隅丸長方形状とし、開口部小口の、平面側を除く三方の面の内面側から、右方に向けて薄いガイド片を印籠継ぎ様に突出させ、(B-2)開口窓部は、正面の上下中央やや右方寄りに、上下辺が左方に向けて僅かに窄まる略横長略長方形状のものとして、周囲に余地を大きくとって形成し、(B-3)本体部の左端中央(先端中央)に小孔を1個形成した点、(C)蓋部について、正面視略放物線形状をなすように、開口部から右方に向けて平底面(上下面)を曲面状に丸めて、右側面(後面)を含む三面を二次曲面状に滑らかに連続させた浅底の角形容器状に形成した点、(C-1)開口部は側面視を本体部と同じ縦長の隅丸長方形状とし、正面、背面及び底面の内面を、本体部のガイド片に対応させて断面L字状に切り欠き、(C-2)指掛け用の小突起を、底面の開口部寄りに設けた点、(D)ヒンジ部について、本体部と蓋部を跨ぎ、それらの外側に大きく略円柱形状のヒンジ軸(以下、「ヒンジ軸部」という。)及び略円弧板状の支持部(以下、「ヒンジ支持部」という。)を突設したものであり、(D-1)ヒンジ軸部は、本体部の略長方形開口部の一短辺においてこの短辺の長さよりやや短い長さの略円柱形状として本体から突出延伸させ、蓋部開口部の対応する一短辺に設けた切り欠き部に嵌めると共にその正背面(前後面)を蓋部の平面に正背(前後)一対に形成した略円形板状の係合片で挟んだものとした点、(D-2)ヒンジ支持部は、ヒンジ軸部の外周側面の本体側中央部から本体部平面にかけて、表面が略円弧曲面をなすように架設したものである点。

【相違点】
各部の具体的態様において、(ア)本体部と蓋部の長さの比について、本件登録意匠は略4.7:1としたのに対し、イ号意匠は略5.5:1とした点、(イ)本体部について、(イ-1)本件登録意匠は、左方(先方)の平底面(上下面)の窄まりの程度が強く、また、正面と背面も、左方に行くに従い徐々に内向きに傾斜させたのに対し、イ号意匠は平底面(上下面)の窄まりの程度が弱く、正背面は傾斜させず互いに略平行とした点、(イ-2)背面につき、本件登録意匠は、本体部の中央やや先寄りを、本体部の略3/5の長さで、本体形状に合わせて幅が狭くなる形状に凹陥し、その凹陥面全域に薄板を嵌め込み、薄板の左側と右側を傾斜面としているのに対し、イ号意匠は凹陥面を設けず、本体部の中央やや先寄りに、本体部の略1/3の長さの横長矩形状の銘板を背面と面一状に嵌め込んだ点、(イ-3)開口窓部につき、本件登録意匠は、本体部の略1/5の長さものとして、上下の二辺を略直線とし、左右の二辺を緩やかに湾曲した曲線で構成したのに対し、イ号意匠は、本体部の略1/6の長さのものとして、全体形状を正面視における意匠全体の形状と略相似形に形成した点、(ウ)蓋部について、(ウ-1)本件登録意匠は、正面視右辺側をやや尖らせた略放物線形状とし、正面と背面の右方を互いに内向きに傾斜させているのに対し、イ号意匠は、正面視右辺側をやや緩やかに湾曲させた略放物線形状とし、正面と背面の右方は傾斜させず互いに平行なままとしている点、(ウ-2)底面の指掛かり用小突起につき、本件登録意匠は、蓋の奥行きの約1/3の長さで底面の開口部近傍から矩形状に僅かに突出させたのに対し、イ号意匠は、蓋の約1/2の長さで開口部小口と面一に鳥の嘴状に突出させた点、(エ)ヒンジ部について、(エ-1)ヒンジ軸部の円形板状の係合片について、本件登録意匠は、係合片を蓋にめり込むように設けたのに対して、イ号意匠は、蓋から浮き上がるように設けた点。(エ-2)ヒンジ支持部について、本件登録意匠は、狭幅の板状片を正面視略1/4楕円弧状に湾曲させて架設したのに対し、イ号意匠は、ヒンジ軸部の奥行きの略半分程度のやや広幅としてヒンジ軸部と略等しい径を持つ略3/4円弧状に設け、このヒンジ支持部を正背面視すると、ヒンジ軸部の係合片と一体となってアラビア数字の8の字を横に倒したような形状に表れる点。

4.両意匠の類否判断
この種の電子体温計用収納ケースは、使用に際しては主に片手で持ち、もう一方の手で体温計を掴んで抜き差しするのが通常であって、開口窓部は、そこに表れる液晶表示部を通じて電源のON/OFF状態を確認できるようにしたものであるから、通常、看者は開口窓部が視認できる正面側の形状を主に観察し、体温計を挿入する際に注視される開口部や、蓋部の開閉に応じて回動を繰り返すことになるヒンジ部等の各部の具体的形状にも注意を払って観察するものと認められる。
両意匠の類否はこの点を踏まえ、共通点及び相違点を総合して意匠全体として検討し、判断する。
まず、基本的構成態様における(A)の共通点は、その一部に被請求人が主張するような、本件登録意匠の出願前よりごく普通に見られるありふれた態様が含れたものであるが、それらはこの種物品が成立するために必要とされる構成態様であり、意匠を観察する際に看者が把握する形態の骨格をなす構成態様であるから、両意匠の特徴として看者の視覚を捉えるところのものであり、両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす。各部の具体的な態様における(B)及び(C)の共通点も、本体部と蓋部それぞれの形態全体に関するものであり、正面視において略放物線形状をなす角形容器状に形成された点は、それぞれ看者の注意を強く惹くものとなっている。また、各部の具体的な態様におけるその他の共通点は、通常の使用状態において注視する部位であったり、ヒンジ部のような頻繁に回動を繰り返す部位における共通点であるから、局部的ではあってもそれぞれ看者の注意を惹くものであり、特に(D)の共通点の、ヒンジ部が本体部と蓋部に跨る平面において突出して形成されている点は、ケース全体を略流線形状を呈する形状としている中で、この部位のみが略流線形状とは異質な凸部を形成しているために、形態全体のアクセントとなって強く看者の注意を惹くものとなっており、これらの共通点は一体となって、意匠全体に及ぶ視覚的なまとまりを印象付け、共通する印象を強く醸し出すものとなっている。
したがって、これらの共通点(A)ないし(D-2)の態様を併せ持った点は両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
これに対し、相違点は、以下のとおりであって、類否判断に及ぼす影響は微弱である。
まず、(ア)の本体部と蓋部の長さの比の相違は、意匠全体として見ると、蓋部の長さにおいて、本件登録意匠の方がやや長いという程度のもので、視覚的にさほど目立つものではないから、この相違が類否判断に及ぼす影響は微弱である。本体部における(イ-1)の平底面の窄まりの相違と正背面の傾斜の有無の相違は、本体部の左方に注目するとそれぞれ一応の相違として看取できるものではあるが、何れも(B)の共通点として採り上げた、本体部の基本形状を正面視細長の略放物線形の角形容器状とした中での局部的な相違と認められるものであり、意匠全体として観察する場合においてはさほど目立つものではないから、この相違が類否判断に及ぼす影響は微弱である。(イ-2)の背面形状の相違については、通常の使用状態においては正面に比べて観察される頻度が少ない背面側の相違であり、本件登録意匠の凹陥部の形状は、その位置や大きさの点も含め収納された電子体温計の電源をON/OFFさせるための磁性体をどのように設けるかという、主に設計上の要請によって形作られたというべきもので、さほど深くは凹陥していないこともあって意匠上の格別の特徴を表出するには至らず、他方、イ号意匠の背面形状も、商品情報や使用上の注意等を表示する銘板を背面と面一状に嵌め込んだだけのありふれた態様のものであるから、ほとんど看者の注意を惹くものではなく、この相違が類否判断に及ぼす影響も微弱である。(イ-3)の開口窓部の相違については、元々の大きさがさして大きくなく、本体部に対する長さ及び四辺の形状の相違の何れもさほど目立つものではないから、意匠全体としてみた場合には、開口窓部の基本形状が上下辺が左方に向けて僅かに窄まる略横長長方形状で、正面の上下中央やや右方寄りに周囲に余地を大きくとって形成されているという、両意匠に共通の(B-2)の態様の中で見られる局部的な相違という他ないものであり、窓部には、その他に透明部材が嵌め込まれていないという共通点が認められることも加味すれば、この相違が類否判断に及ぼす影響は微弱である。蓋部における(ウ-1)の相違は、蓋部の右方(後方)における局部的な相違と認められるものに過ぎず、(C)の共通点として採り上げた、正面視略放物線形状をなすように、開口部側を除く平面、右側面、底面の三面を二次曲面状に滑らかに連続させたものとする、両意匠に共通する態様の範囲内のものであり、正背面の態様も、本件登録意匠の先端部の傾斜はごく僅かであり、全体としてみるとイ号意匠と同様の平坦な印象を与えているものであるから、この相違が類否判断に及ぼす影響は微弱である。(ウ-2)の指掛かり用小突起の相違については、イ号意匠の小突起は左側面が開口部の小口面と面一に形成したこともあって、鳥の嘴を連想させる形状となっているが、意匠全体として見た場合においては、底面の左端という局部的な相違と認められるものに過ぎず、これらの形状がもたらす機能的な相違を考慮しても類否判断に及ぼす影響は微弱なものに止まる。ヒンジ部における(エ-1)の係合片の蓋部に対する設置態様の相違については、係合片の正背面に部材の切り替え線として表された円形状が、本件登録意匠の方がやや大きく形成されたことによって、その周囲が弧状に抉られたまでのものであって、ヒンジ軸部の高さそのものに大差は認められないことから、ヒンジ軸部が蓋部の平面において倒円柱形をなすように突出して形成されている(D)の共通点がもたらす印象に影響を及ぼすほどのものではなく、この相違は看者の注意をほとんど惹かず、類否判断に及ぼす影響は微弱である。(エ-2)のヒンジ支持部の相違については、イ号意匠においては、ヒンジ支持部とヒンジ軸部の係合片とが、正背面視においてアラビア数字の8の字を横に倒したような形状を呈するものとなっているが、8の字が認識できるのは正背面に正対したときに限られ、当該部位を通常の観察方向となる斜め方向から観察する場合には認識することが困難であって、両意匠の相違としてさほど顕著なものとはいえず、むしろ、ヒンジ支持部がヒンジ軸部の係合片よりも奥まった位置に形成されていることによって、ヒンジ支持部を斜め方向から観察する場合において表面の湾曲の態様が目立つことになり、ヒンジ軸部の外周側面の本体側中央部から本体部平面にかけて表面が略円弧曲面をなすように架設されたものとする(D-2)の共通性を強調する結果となっていることを考慮すると、この相違をさほど高く評価することはできず、両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
以上のとおりであって、本件登録意匠とイ号意匠は、意匠に係る物品が一致し、形態についても、(ア)ないし(エ-2)の相違点は、いずれも類否判断に及ぼす影響が微弱であり、これら相違点を総合し相俟った視覚的効果を考慮しても、(A)ないし(D-2)の共通点がもたらす視覚的効果を凌駕して両意匠に別異の感を生じさせるに至っているとすることができないから、イ号意匠は、本件登録意匠に類似しているというほかない。

5.結び
したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論の通り判定する。
別掲
判定日 2012-09-28 
出願番号 意願2010-22408(D2010-22408) 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (J1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 平田 哲也山田 繁和 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 早川 治子
瓜本 忠夫
登録日 2011-04-28 
登録番号 意匠登録第1415443号(D1415443) 
代理人 小出 俊實 
代理人 吉田 親司 
代理人 田中 光雄 
代理人 山田 卓二 
代理人 蔵田 昌俊 
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