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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1265888 |
審判番号 | 不服2012-4723 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-03-13 |
確定日 | 2012-10-23 |
意匠に係る物品 | カメラ付き携帯電話機 |
事件の表示 | 意願2010- 23095「カメラ付き携帯電話機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成22(2010)年9月28日の意匠登録出願であって,その意匠は(以下,「本願意匠」という。),意匠に係る物品が「カメラ付き携帯電話機」であり,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁が平成21(2009)年6月1日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1360837号「カメラ付き携帯電話機」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)両意匠の対比 両意匠を対比すると,いずれもタッチパネル式の液晶表示部を有する「カメラ付き携帯電話機」であるから,意匠に係る物品が一致し,その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。 1)共通点 (A)全体を扁平な縦長直方体状の箱状とする筐体部(以下,「筐体部」という。)の正面側中央に縦長長方形状の液晶パネル部(以下,「液晶パネル部」という。)を設け,筐体部の周囲に帯状の枠部(以下,「帯状枠部」という。)を設けた携帯電話機であって,筐体部背面側にカメラ部(以下,「カメラ部」という。)を配したものである点,(B)筐体部は,正面視した外形状を縦長隅丸長方形状とし,正面視した縦横比を約2:1とし,正面側の外周を側面視僅かな斜面状部(以下,「斜面状部」という。)とし,帯状枠部の背面側を凸円弧状に膨出させた点,(C)側面の帯状枠部に操作キーを設け,底面にマイク部を設けた点,(D)背面側上方寄りの中央に円形状カメラ部を設けた点において主に共通する。 2)差異点 (ア)筐体部の具体的態様について,本願意匠は,帯状枠部の正面側の周側面に帯状枠部と水平な細幅面を設けてから斜面状部を設けているのに対して,引用意匠は,帯状枠部の正面側が緩やかな曲斜面状となり,その延長線上に斜面状部を設けている点,(イ)筐体部の平面視の縦横比について,本願意匠は,約1:3.8であるのに対して,引用意匠は,約1:4.8で,本願意匠よりやや横長である点,(ウ)正面側の透明部について,本願意匠は,正面側の筐体のパネル面全体が透明であるのに対して,引用意匠は,液晶パネル部のみが透明である点,(エ)背面側のカメラ部の周囲について,本願意匠は,横長長方形状窓部をカメラ部の下方に設け,両者を隅丸縦長長方形状の枠で囲み,左側に小型円形状フラッシュを設け,左下側に十字状スピーカーを配しているのに対して,引用意匠は,カメラ部の周囲を同心円状の枠で囲み,左側に縦長トラック形状を配している点,(オ)液晶パネル部の周囲について,本願意匠は,上部中央に小型横長トラック形状のレシーバーを設け,左側上部に小型円形状のカメラ部を配しているのに対して,引用意匠は,正面側パネルの上下端部寄りの中央に横細長トラック形状のスピーカー部を設け,右側上部に小型円形状のカメラ部を配している点,(カ)帯状枠部の周側面部について,本願意匠は,上面右側に略逆U字状のイヤホンジャックカバーを設け,上面左側に平面視小型倒D字状のアンテナ部,左側側面に縦長長方形状コネクターカバー,右側側面に縦長略トラック形状及び略8の字状の操作キーを配しているのに対して,引用意匠は,上面左側にイヤホンジャックと左上角部に隅丸長方形状部を設け,左側側面に縦長略トラック形状の操作キー,右側側面に略トラック形状の操作キー及び略トラック形状のコネクターカバーを配している点に主な差異が認められる。 (2)類否判断 そこで検討するに,共通点の態様のうち,共通点(A)及び同(B)の全体の構成に係る態様及び筐体部の態様は,この種の物品の分野においては,他にも見られるものであり,両意匠を概括的に捉えたものに過ぎず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいというほかない。次に,共通点(C)の操作キーやマイク部の態様も,他にも普通に見られるありふれた態様であって,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この共通点が両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。さらに,共通点(D)のカメラ部の位置の共通点についても,他にも見受けられる態様であって,それが注意を惹く部分とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠を見る者の目に付き易いものであるから,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。 すなわち,差異点(ア)に係る態様は,筐体部の具体的態様における差異であるが,この種の物品分野において,水平な細幅面を設けた点は,特徴的なものといえ,使用時に需要者が着目する部位であるから,本願意匠を特徴付け,見る者に引用意匠とは別異の印象を与えるものである。次に,差異点(イ)に係る態様は,筐体部の平面視の縦横比についての差異であって,いずれも,この種物品分野においてよく見られる態様の範囲内のものであるが,実際に手にとって使用する場合,その差異は幅の違いとして明確に認識できるものであるから,見る者に与える印象を異ならせるものといえる。また,差異点(ウ)に係る態様は,正面側の透明部における差異であって,需要者の目に付き易い部分に係る差異であり,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。そして,差異点(エ)に係る態様は,背面側のカメラ部の周囲の態様に係る差異であり,いずれも普通に見られる態様ではあるが,差異点(ア)及び同(イ)の筐体部の具体的な形状の差異と相俟って,両意匠が別異であるとの印象を与えるものである。さらに,差異点(オ)及び同(カ)のスピーカーや操作キーの具体的な形状や配置についての差異は,各部位の部分的な差異であって,それらのみではいずれも両意匠の類否判断に与える影響が大きいとはいえないが,差異点(ア)ないし(ウ)に係る態様と相俟って,両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,上記共通点を凌ぐものであって,生起する美感を異にしていると認められる。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 4.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-10-10 |
出願番号 | 意願2010-23095(D2010-23095) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 井上 和之 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
遠藤 行久 川崎 芳孝 |
登録日 | 2012-11-09 |
登録番号 | 意匠登録第1457288号(D1457288) |
代理人 | 平井 良憲 |