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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M3
管理番号 1265892 
審判番号 不服2012-10245
総通号数 156 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-23 
確定日 2012-10-26 
意匠に係る物品 建具用レバーハンドル 
事件の表示 意願2010- 31731「建具用レバーハンドル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成22(2010)年12月28日の意匠登録出願であって,その意匠は,意匠に係る物品が「建具用レバーハンドル」であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁総合情報館が1998年7月15日に受け入れた国際事務局意匠公報1998年6月30日発行の第2091頁(DM/043 541)下段に記載された「建具用取手」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH11036593号)(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
(1)両意匠の対比
両意匠を対比すると,意匠に係る物品について,本願意匠は,「建具用レバーハンドル」であるのに対して,引用意匠は,「建具用取手」であるが,いずれもドアや窓などの建具を開閉する際に用いられるハンドルに係るものであるから,意匠に係る物品が共通し,その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。
なお,両意匠を対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれの形態を認定・対比する。
1)共通点
(A)扁平な台座部(以下,「台座部」という)から略垂直状に円柱形状の支柱(以下,「支柱」という。)を設け,支柱の頭部から平面視略L字状に,凹円弧状に手前側に張り出したハンドル部(以下,「ハンドル部」という。)を形成した点,(B)ハンドル部は,正面視水平な横長の略競技用トラック形状で,平面視した左右の厚みがほぼ均等であり,正面視の高さより平面視の厚みが薄く形成されている点において主に共通する。
2)差異点
(ア)ハンドル部の平面視の先端部の形状について,本願意匠は,先端部が水平方向に直線状に切断された形状であるのに対して,引用意匠は,先端部は凸円弧状の緩やかな曲線状である点,(イ)台座部の具体的態様について,本願意匠は,表面側が水平状の扁平な円板状であるのに対して,引用意匠は,表面側を平面視して緩やかな凸円弧状に膨出した正面視横長の略競技用トラック形状の扁平な板状である点,(ウ)支柱について,本願意匠は,支柱が付け根付近で回動するレバーハンドルであって,台座との間に僅かに隙間を有し,支柱がハンドル部に近付くに従って僅かに内側に傾斜しているのに対して,引用意匠は,支柱が回動しない固定式のハンドルであって,台座との間に隙間を有さず,支柱は台座部に対して垂直状に形成されている点,(エ)ハンドル部の正面視の縦横比について,本願意匠は,約1:6.2であるのに対して,引用意匠は,約1:5.5で,本願意匠の方がやや横長である点,(オ)ハンドル部の縦方向の断面形状について,本願意匠は,表裏が同形のカーブとなる縦長楕円形状であるのに対して,引用意匠は,断面形状は不明であるが,外形から表裏のカーブが異なっていることが推認できる点,(カ)支柱とハンドル部との境界線について,本願意匠は境界線がはっきりせず,裏面側が支柱からハンドル部へと緩やかに連続しているのに対して,引用意匠は境界線がはっきり視認できる点に主な差異が認められる。
(2)類否判断
そこで検討するに,共通点(A)及び同(B)は,この種の物品の分野においては,他にも見られる,ありふれた態様であり,かつ,両意匠の全体形状を概括的に捉えたものに過ぎず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様は,両意匠の需要者が重大な関心をもって見るものであるから,これらの差異点が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものというべきである。
すなわち,差異点(ア)は,ハンドル部の先端部の形状についての差異であるが,この種の物品分野において,ハンドル部は需要者が使用時にこの部位に着目する部分であり,その先端部の形状の差異は,両意匠のハンドル部の形状の違いを印象付け,需要者に本願意匠のハンドル部と引用意匠のハンドル部に対して,別異の印象を与えるものである。次に,差異点(イ)は,台座部の具体的態様における差異であって,それが台座部の正面形状の差異となって現れ,需要者の目に付き易い部分に係る明瞭な差異であり,本願意匠は,円板状のシンプルなものであるが,面積が大きく正面から見て目立つものであるのに対して,引用意匠は,膨出面を有する正面視横長の略競技用トラック形状であり,ハンドル部と重なる部分が多く目立たない態様であって,両意匠における差異は,無視することのできないもので,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。また,差異点(ウ)に係る態様は,支柱の態様についての差異であるが,ハンドルが回動するか否か,また,支柱の傾斜の有無は,手で握って使用するこの種物品分野においては,その違いは,需要者に与える印象を異ならせるものといえ,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。さらに,差異点(エ)ないし(カ)のハンドル部の正面視の縦横比や断面形状及び支柱とハンドル部との境界線についての差異は,各部位の部分的な差異であって,それらのみではいずれも両意匠の類否判断に与える影響が大きいとはいえないが,差異点(ア)ないし(ウ)に係る態様と相俟って,両意匠の類否判断に影響を与えるものである。そうして,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,上記共通点を凌駕するものであって,生起する美感を異にしていると認められる。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

4.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-10-12 
出願番号 意願2010-31731(D2010-31731) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 谿 季江渡邊 久美 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 川崎 芳孝
遠藤 行久
登録日 2012-11-22 
登録番号 意匠登録第1458168号(D1458168) 
代理人 宮口 聡 

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