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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1267044 
審判番号 不服2012-1038
総通号数 157 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-19 
確定日 2012-10-31 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2011-7123「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2011年(平成23年)3月29日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものであり,「実線で示した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠の当該部分」ともいう。)である(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前に特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第1043733号(意匠に係る物品,包装用容器の本体)の意匠(以下,「引用意匠」という。)における本願部分意匠に相当する部分の意匠(以下,「引用意匠の相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
(1)両意匠の共通点
本願意匠と引用意匠を対比すると,意匠に係る物品は,願書の記載内容によると,本願意匠は「包装用容器」であって,引用意匠は「包装用容器の本体」であるが,願書に添付した図面の記載内容によると,本願意匠は,包装用容器の本体部分のみが開示されているので,両意匠共に,包装用容器の本体であって,一致している。
本願意匠の当該部分と引用意匠の相当部分(以下,「両意匠の部分」という。)については,共に全体形状を前後に偏平(へんぺい)な略縦長直方体状とした包装用容器の本体の,胴部とその上面中央から垂直に立ち上がった略円筒形状の注ぎ口部の台座部の周面(立ち上がり面)部分であるから,用途と機能,及び,位置,大きさと範囲については共通し,その具体的形態については,(A)正面から見た場合,胴部正背面(前面と後面)が下方で窄まった略倒立台形状を成し,(B)側面から見た場合,胴部左右側面が上方で窄まった略縦長細台形状を成し,(C)胴部上面中央の台座部を除いた左右肩部上面をやや膨らんだ曲面による傾斜面状としたものであって,これらの点が主として共通する。

(2)両意匠の相違点
他方,両意匠の部分における形態においては,
(ア)正面視における下端辺の長さと上端縁部(台座部下端辺)までの高さの比率につき,本願意匠の当該部分が,約1:2.2であるのに対し,引用意匠の相当部分が,約1:2.5である点,
(イ)平面視における胴部上面の縦横比につき,本願意匠の当該部分が,約1:2であるのに対し,引用意匠の相当部分が,約1:3である点,
(ウ)肩部上面の構成につき,本願意匠の当該部分は,ほぼ単純な二次曲面(側面が略台形状(上底が直線)であることから容易に推察できる。)であるのに対し,引用意匠の相当部分は,側面視で肩部上面中心の下がり具合より,前後縁部の下がり具合が大きく,凸弧状(側面の略台形状上底が上に凸円弧状となっていることから容易に推察できる。)であって,かつ,正面視で凸弧状であるから,凸弧面状と認められる点,
(エ)本体周面の前後面と側面からなる稜線(胴部角部)につき,本願意匠の当該部分は直線であるのに対し,引用意匠の相当部分は外側に湾曲した曲線である点,
(オ)台座部の形状につき,本願意匠の当該部分は,台座部周面が円筒形状であるのに対し,引用意匠の相当部分は,角丸略横長長方形状である点,で主に相違している。

(3)両意匠の部分における形態の類否判断
両意匠の部分の形態における共通点と相違点を検討すると,共通点は,両意匠の部分の態様を概括したに過ぎないものであることから,この共通性のみをもって両意匠の部分の類否判断を決定するものとすることはできないのに対して,両意匠の部分における相違点(ウ)は,通常の使用状態において,目に付きやすい肩部上面の相違であって,その面構成は大きく異なっており,この種物品においては,形状の差異を表すのに重要な箇所の一つといえる部分の相違であって,類否判断に大きな影響を与えるものである。また,それぞれは小差であるが,相違点(ア),(イ)及び(エ)が合わさったときの相乗効果を考慮すると,類否判断に一定程度の影響があると考えられ,これに,小さな差異とはいえ,胴部上面中央に位置する相違点(オ)も含めれば,相違点全体で,類否判断に影響を与えるものと認められる。
したがって,両意匠の部分に係る形態は,共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,類似しないものといえる。

(4)両意匠の類否判断
本願意匠と引用意匠に係る物品は一致し,両意匠の部分の用途と機能,及び,位置,大きさと範囲が共通しているが,その部分の形態については,上記のとおり類似しないものといえるものであるから,本願意匠と引用意匠は類似しないものといえる。

(5)結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における,拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-10-15 
出願番号 意願2011-7123(D2011-7123) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕和 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 遠藤 行久
橘 崇生
登録日 2012-12-07 
登録番号 意匠登録第1459274号(D1459274) 
代理人 志賀 正武 
代理人 高橋 詔男 
代理人 高柴 忠夫 

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