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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M2
管理番号 1271063 
審判番号 不服2012-16714
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-28 
確定日 2013-03-05 
意匠に係る物品 配線・配管材保護カバー 
事件の表示 意願2011- 12574「配線・配管材保護カバー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2011年(平成23年)6月2日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「配線・配管材保護カバー」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書添付の図面により表されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,特許庁発行の意匠公報に記載された意匠登録第1329891号(意匠に係る物品,配線・配管材保護カバー)の意匠の中の蓋体の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 本願意匠と引用意匠との対比
1.意匠に係る物品について
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「配線・配管材保護カバー」であり,一致する。

2.形態について
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお,引用意匠は,【蓋体の背面図】を【正面図】とし,その他の図も,本願意匠の各図の向きに適宜合わせて対比することとする。
また,両意匠の正面図の対比図(別紙3参照)において示したA-A’部分を,以下,「水平部」,B-B’部分を「垂直部」という。
(1)共通点として,
(A)全体は,断面が略逆「U」字状の直線状カバー材を,長さ方向途中で垂直に屈曲させたような態様のものであって,水平部と垂直部が直角となるように形成されたものであり,正面視すると,幅広の略倒「L」の字状を呈し,使用時に床面ないし壁面と接する右側面及び底面,そして,配線・配管材を挿入する,水平部の左側面,及び垂直部の上面が開口している点,
(B)水平部の断面形状につき,
(B-1)上辺は水平な略直線状であり,その左右両端から,それぞれ斜め45度下方に向いた略直線状の傾斜辺(以下,「左右傾斜辺」という。)を介して,垂直な略直線状の左右辺(以下,「左右垂直辺」という。)を形成した変形略六角形状を想起させる点,
(B-2)上辺と左右傾斜辺が接する両角部は,エッジ状を呈し,左右傾斜辺と左右垂直辺が接する両角部は,なだらかな円弧状を呈している点,
(C)垂直部の断面形状は,水平部の断面形状と同形同大である点,
がある。
(2)相違点として,
(a)正面視おいて,
(a-1)水平部の長さと垂直部の高さの比率につき,本願意匠は,約4:1であるのに対して,引用意匠は,1:1である点,
(a-2)水平部上面と垂直部左側面が接する位置に形成された凹円弧面につき,本願意匠は,小径の4分の1円弧面であるのに対して,引用意匠は,やや大径の4分の1円弧面である点,
(a-3)引用意匠には,水平部の下辺右寄り,及び垂直部の右辺下寄りの位置に,それぞれ略倒「し」の字状,及び略倒「J]の字状の区画部が形成され,背面側にも,その対称形状の区画部が形成されているのに対して,本願意匠には,そのような区画部が形成されていない点,
(b)水平部の断面形状の縦横比率につき,本願意匠は,約1:1であるのに対して,引用意匠は,約1:2である点,
がある。

第4 両意匠の類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
1.形態について
(1)共通点の評価
共通点(A)の,全体は,断面が略逆「U」字状の直線状カバー材を,長さ方向途中で垂直に屈曲させたような態様のものであって,水平部と垂直部が直角状となるように形成され,正面視すると,幅広の略倒「L」の字状を呈し,右側面及び底面,そして,水平部の左側面及び垂直部の上面が開口している点,また,共通点(C)の,垂直部の断面形状を,水平部の断面形状と同形同大とした点については,いずれも,この種の物品においては,例を挙げるまでもなく,従来から見られる態様であって,これらの点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものと言うほかない。
共通点(B)の,水平部の断面形状につき,上辺と左右傾斜辺が接する両角部をエッジ状とし,左右傾斜辺と左右垂直辺が接する両角部をなだらかな円弧状とした点については,例えば,参考意匠1(意匠登録第1237863号,意匠に係る物品:配線・配管材保護カバー連結具の蓋体の意匠(別紙第4参照))に見られるように,引用意匠の出願前より見受けられる態様であって,格別両意匠のみに見られる特徴ある態様とは言い難く,この点も,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものと言うほかない。
(2)相違点の評価
これに対して,両意匠の相違点に係る形態が生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。
すなわち,相違点(a-1)の,正面視における水平部の長さと垂直部の高さの比率の相違については,全体の構成比率という両意匠の骨格に関わるものであり,この種物品においては,本願出願前より,引用意匠に見られるような1:1の比率のものが多数を占める中にあっては,本願意匠の約4:1の比率とした態様は,特徴あるものといえ,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言わざるを得ない。
なお,この点について,原審の拒絶の理由においては,当該比率を変えることは,参考意匠2(意匠登録第1399149号,意匠に係る物品:エアーコンディショナー用配管カバー(別紙第5参照)))にあるように,当該分野においてこの出願以前よりよく行われる対応であるため,特段評価することができないとしたが,参考意匠2は,垂直部における配線・配管材を挿入する開口部の位置及び方向が,本願意匠とは全く異なるものであることから,当該登録意匠が本願意匠の出願前に見受けられたからといって,前記判断を左右するものとは言えない。
また,相違点(a-2)の,水平部上面と垂直部左側面が接する位置に形成された凹円弧面の円弧の径の大きさの相違,及び相違点(b)の,水平部の断面形状の縦横比率の相違については,この種物品において,適宜採用される範囲内の径の大きさ及び断面形状の縦横比率ではあるが,いずれも,視覚的に明らかに異なる態様であることから,両意匠の類否判断にそれなりの影響を及ぼすものと言える。
そして,相違点(a-3)の,引用意匠の水平部の下辺右寄り,及び垂直部の右辺下寄りの位置に形成された,略倒「し」の字状,及び略倒「J]の字状の区画部の有無については,引用意匠の当該区画部は,いずれも顕著な凹凸部を形成しているものではないことから,部分的な細部の相違というべきであり,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱に留まるものではあるが,前記相違点(a-1),(a-2)及び同(b)と相乗して生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言わざるを得ない。

2.小括
そうすると,両意匠の意匠に係る物品は一致するが,両意匠の形態において相違点が共通点を凌駕し,両意匠は,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠とは類似しないものである。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることができない。
また,本願について,他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-02-20 
出願番号 意願2011-12574(D2011-12574) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 外山 雅暁木村 恭子 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 橘 崇生
遠藤 行久
登録日 2013-03-15 
登録番号 意匠登録第1466612号(D1466612) 
代理人 特許業務法人 Vesta国際特許事務所 
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