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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立成立) B4
管理番号 1272509 
判定請求番号 判定2012-600030
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2013-05-31 
種別 判定 
判定請求日 2012-08-29 
確定日 2013-04-05 
意匠に係る物品 ポーチ 
事件の表示 上記当事者間の登録第1358338号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物件目録に示されるイ号意匠は、登録第1358338号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1 請求人の申立て及び理由
請求人は、結論同旨の判定を求めると申立て、その理由を判定請求書に記載のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証(枝番を含む)ないし甲第7号証(枝番を含む)を提出した。

第2 被請求人の答弁及び理由
被請求人は、「イ号物件目録に示されるイ号意匠は、登録第1358338号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める。」と答弁し、その理由を判定請求答弁書に記載のとおり主張し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第33号証を提出した。

第3 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、2008年(平成20年)9月22日に意匠登録出願をし、2009年(平成21年)4月3日に意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1358338号の意匠(以下、「本件登録意匠」という。)であり、願書の記載によれば、意匠に係る物品は「ポーチ」であって、タオル生地を素材としたものであり、その形態は願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)

2.イ号意匠
イ号意匠は、判定請求人が提出したイ号物件目録に示された、イ号見本で特定される意匠であり、イ号物件目録の記載によれば、意匠に係る物品は「タオルチーフ」であって、手を拭いたり汗を拭うタオルチーフとして、また、内部にペットボトルを収納するペットボトルホルダーとして、さらには、内部に保冷材を収納して冷却材やアイスピローとして使用することができるものであり、その形態はイ号見本に示されたとおりものである。(別紙第2参照(判定請求人がイ号見本を撮影したものとして提出したイ号写真))

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比
両意匠を対比すると、本件登録意匠の意匠に係る物品は「ポーチ」であり、イ号意匠の意匠に係る物品は「タオルチーフ」であるが、何れもタオル生地の、ハンカチーフとしても小物入れとしても使用できる携帯用の小型の袋であるから、両者の用途及び機能に特段の差はなく、意匠に係る物品は一致する。
次に、形態については、主として以下の共通点と相違点がある。
【共通点】
(A)全体は、(A-1)1枚の隅丸正方形状のタオル生地のハンカチーフ(いわゆるタオルチーフ(以下、「本体部」という。))を二つ折りにし、折曲げ辺以外の3辺に1つの連続するスライドファスナーを縫着して偏平な袋状としたものであって、スライドファスナーを全開にした状態ではもとの隅丸正方形状となる構成であり、(A-2)正背面視で長手辺と短手辺の比率が約2:1をなす略長方形状を呈する点。
(B)スライドファスナーは、(B-1)スライダーと、片側辺にエレメント(務歯)を有する一対の長尺のテープ生地とからなり、(B-2)テープ生地は、本体部を二つ折りとしたときに内側となる面(以下、「内面」といい、これと反対の外側となる面を「外面」という。)の外周に沿って、エレメントを外向きにして寝かせた状態で設けられている点。
(C)本体部の外面のスライドファスナーのテープ生地との境界に沿った外周に、縁取りを設けている点。
【相違点】
(ア)本体部について、本件登録意匠は、外面及び内面の何れも折曲げ辺を境として、片側半分を青緑色、残り半分を黄緑色の地色とし、それぞれの地色部分に、互いの色を用いたドットをそれぞれ短手方向に8個ずつ、長手方向に16個ずつ、ドット直径の3倍程度の間隔を空けて正方格子状に表したドット模様を施したのに対し、イ号意匠は、外面及び内面のどちらも折曲げ辺を境に色分けすることはせず、外面は全体を水色1色の地色とし、その地色部分に、より淡い水色の太幅の屈曲線による略C字形状、略U字形状、略I字形状、略円形状を、それらが組み合わさって縦横7?8個ずつの群をなすようにして全面に表した、いわゆるヒョウ柄模様を施した点。
(イ)スライドファスナーについて、イ号意匠は、テープ生地の両端部を本体部の折曲げ辺に沿うように何れも内方に短く直角に折り曲げ、スライドファスナー全体を淡い水色としたのに対し、本件登録意匠は、該端部の片側、すなわち本体部を展開した状態においてスライダーが位置しない側の端部は内方に折り曲げず、スライドファスナー全体を黒色とした点。
(ウ)縁取り部について、本件登録意匠は黒色と白色の2色による波状模様を表したのに対し、イ号意匠はスライドファスナーと同じ淡い水色無模様のものとした点。
(エ)本件登録意匠は、背面視、本体部外面の片側短手辺の中程に、縁取りに沿って黒色長方形のタグを設けたのに対し、イ号意匠はタグを設けていない点。

4.本件登録意匠とイ号意匠の類否判断
この種の携帯用小物入れは、手に持ったり、身につけたりするものであって、スカーフやアクセサリー等と同様、ファッションアイテムの1つに数えることができる趣味・嗜好性の強い物品であるから、看者は両意匠の構成各部の形状だけではなく模様や色彩にも格別の注意を払って観察するものと認められる。
両意匠の類否はこの点を踏まえ、共通点及び相違点を総合して意匠全体として検討し、判断する。
【共通点の評価】
共通点(A-1)は、全体形状についての共通点であるが、タオル生地のハンカチチーフ自体はごくありふれており、ハンカチーフにファスナーを取り付けて携帯用小物入れとした意匠は、本件登録意匠の出願前から既に公然知られており(意匠1 別紙第3参照)、また、折曲げ辺以外の3辺を1つの連続するスライドファスナーで閉じるようにした点は、各種袋物のポケット部等においてごく普通に見られる態様のものであり、偏平な袋状とした状態における共通点(A-2)も、この種物品分野において普通に見られる態様のものである(意匠2及び意匠3 別紙第4及び別紙第5参照)。したがって、共通点(A-1)及び共通点(A-2)に示す態様は、何れも両意匠の特徴をなすものとして特段の看者の注意を惹くものではなく、類否判断に及ぼす影響は微弱である。
なお、被請求人は、「正面視が長方形状で厚さの薄いポーチをその三辺にわたって設けられたスライドファスナーを全て開いて展開させると略正方形の平面状の1枚のタオル生地状態に大きく変形する構成」(判定請求答弁書 第5頁第18頁?20頁)、すなわち、上記共通点(A-1)と共通点(A-2)の2つの態様を同時に備えた構成の意匠が、従来全く存在していないとして、この構成が本件登録意匠の「新規な創作部分をなしており、需要者の注意を惹きつける意匠の要部である。」(判定請求答弁書 第5頁第23頁?24頁)と主張するが、この2つの態様は、何れも上記のとおり特に新規な態様とはいえないものであり、これら2つの態様を同時に備えた構成が生じる視覚効果を考慮するにしても、他方で看者の趣味・嗜好性に強く訴えかける、本体部の模様及び色彩に関する相違点(ア)が認められることから、被請求人が主張する構成がもたらす視覚効果はさほど顕著なものとはいえず、類否判断に及ぼす影響は微弱なものに止まる。
共通点(B-1)のスライドファスナーの形状は、スライダー及びテープ生地のどちらもごく一般的な形状のもので、共通点(B-2)の本体部に対する取付けの態様も、平面的で柔軟な素材に用いる際にごく普通に採用される取付け態様であるから、どちらも特段の看者の注意は惹かず、この共通点が類否判断に及ぼす影響は微弱である。
共通点(C)の縁取りは、この種物品分野に限らず、衣服やかばん類をはじめとする平面的な素材を用いる様々な分野において、広く行われている縁始末を施したに過ぎないものであり、加えて、この縁取りには相違点(ウ)の模様及び色彩に関する相違が同時に見て取れるから、縁取りの形状自体が生ずる視覚的効果はさほど顕著なものとはいえず、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
【相違点の評価】
次に、相違点について検討すると、
相違点(ア)の本体部の模様及び色彩における相違は、意匠全体の大部分を占める本体部の内外全面に及ぶものであり、かつ、この種の趣味・嗜好性の強い物品にあって看者が一際大きな関心を払って観察する要素に係る相違である。そして、本件登録意匠の模様は、形と大きさが同じ小さなドットを、ドット直径の3倍程度の間隔を空けて正方格子状に規則的に配列し、地色とドットの色彩について、内外各面において、折曲げ辺を境として片側半分ずつをネガポジ状に反転させたものであるのに対し、イ号意匠の模様は、形と大きさが不同の、太幅屈曲線による様々な形状を不規則に配置したいわゆるヒョウ柄模様であり、また、ヒョウ柄模様の色彩について、内外各面での、折曲げ辺を境とするネガポジ状の反転はなされていないものであるから、この相違は極めて顕著な相違として強く看者の注意を惹き、当該部位の色彩の相違と相俟って、両意匠の類否判断において決定的な影響を及ぼすものである。
相違点(イ)の、折曲げ部の有無の相違は、本体部内面に設けられたテープ生地の片側端部という局所的な相違に過ぎないものであり、色彩の相違も、テープ生地という部材単位で施したまでのものであるから格別目立たず、この相違は微弱なものという他ない。
相違点(ウ)は、意匠全体として観察する場合には本体部の3辺に沿って太線状に表れるに過ぎない相違であるが、本件登録意匠の模様は黒色と白色という極めてコントラストの強い配色によって波状をなしているものであるから、イ号意匠の、本体部の色彩と同系色の色彩で無模様の縁取りとの相違は相応の看者の注意を惹くものであり、この相違は両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼす。
相違点(エ)の、タグの有無の相違は、小物入れとして使用する際に表側となる本体部外面における相違であるが、意匠全体として観察する場合には、本体部外面の片側短手辺の中程部分という局所的な相違と認められるものであり、加えて、タグの本来的な役割は商品の出所や品質等を表示することで、タグを設けることも設けないこともごく普通の態様であることから、その有無が意匠上の相違として直ちに看者の注意を惹くともいえず、結局のところこの相違が類否判断に及ぼす影響は微弱である。
以上のとおりであり、両意匠は、意匠に係る物品が一致するが、その形態については、共通点(A)ないし(C)は類否判断に及ぼす影響が微弱であり、これら共通点が相俟って生じる視覚的効果を考慮しても、相違点(ア)ないし(エ)が両意匠に生じさせる別異の美感を凌駕するものとはいえないから、両意匠は類似しない。

4.むすび
したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2013-03-27 
出願番号 意願2008-24223(D2008-24223) 
審決分類 D 1 2・ 1- ZA (B4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 富永 亘 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 橘 崇生
早川 治子
登録日 2009-04-03 
登録番号 意匠登録第1358338号(D1358338) 
代理人 藤原 清隆 
代理人 小羽根 孝康 
代理人 高田 修治 
代理人 大島 泰甫 
代理人 稗苗 秀三 
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