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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M3
管理番号 1273878 
審判番号 不服2012-21305
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-29 
確定日 2013-04-22 
意匠に係る物品 家具用蝶番 
事件の表示 意願2011- 19518「家具用蝶番」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,本意匠を意願2011-19519号(意匠登録第1441373号)の意匠とする,平成23年(2011年)8月30日の関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「家具用蝶番」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書添付の図面により表されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,平成12年(2000年)11月21日に日本国特許庁が公開した,公開特許公報記載の特開2000-320237号(発明の名称:ヒンジ)の【図1】に表された「ヒンジ」の意匠であって,その形態は,同公報の図版に表されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 本願意匠と引用意匠との対比
1.意匠に係る物品について
本願意匠の意匠に係る物品は「家具用蝶番」であり,座金に取り付けるための掛け部が一体となった蝶番であるのに対して,引用意匠の意匠に係る物品は「ヒンジ」であって,前記公報記載の【図1】において,座金に取り付けるための掛け部及び6と図示された凹陥部両端のねじを除いた部分と認められる。
そうすると,両意匠の意匠に係る物品は,座金に直接取り付けるか,掛け部を介して取り付けるかにおいて多少相違するが,いずれにしても,扉の開閉のために家具等に取り付けられる金具であることから,両物品は,表記は異なるが,共通するものと認められる。

2.形態について
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお,本願意匠において,【底面図】を【正面図】,【正面図】を【平面図】とし,他の図もそれらに合わせて図の表示を適宜変更し,また,変更後の【正面図】において左端を先端,右端を後端と呼ぶこととする。そして,引用意匠も,本願意匠の変更後の各図に合わせて対比する。
(1)共通点として,
(A)本体部は,板状体を倒「コ」字状に曲げて,先端部及び後端部,そして底面部を開放面とし,上面は,平面視すると,横長略長方形状で,その略中央位置に3つの透孔を横一列に配置した点,
(B)本体部の先端には,横断面が隅丸略四角形のカップ状を呈するやや深い凹陥部が,傾斜面状を呈するアーム部を介して連接され,アーム部と接続する当該凹陥部の上縁には,平面視すると,略扇面状の板状鍔部が上下対称に設けられ,さらに,その先端側の凹陥部上縁には,上下にねじ穴を1つずつ有する倒略「凹」字状の鍔部が設けられている点,
がある。
(2)相違点として,
(a)平面視において,
(a-1)本体部上面の先端と傾斜面状を呈するアーム部上面の後端の態様につき,本願意匠は,本体部上面の先端に,アーム部上面と面一となるような細幅の屈曲片を設けているのに対して,引用意匠は,前記公報に記載された【図3】の参考意匠1(別紙第2参照)を参酌すれば,アーム部上面の後端に,本体部上面と面一となるような細幅の屈曲片を設けている点,
(a-2)本体部上面略中央位置の3つの透孔の形状につき,本願意匠は,先端から後端に向かって,順に,長円形状,円形状,円形状を呈しているのに対して,引用意匠は,円形状,ややへんぺいな樽型形状,長円形状を呈している点,
(b)正面視において,
(b-1)本体部正面の先端部付近の態様につき,本願意匠は,アーム部上面の傾斜角度と同角度の斜め段差部を形成しているのに対して,引用意匠は,平坦面状である点,
(b-2)本体部正面の下縁の態様につき,本願意匠は,正面視において,左右両端部を略4分の1円弧状の隅丸状とし,中間部に,本体部左右幅の略2分の1の幅の略等脚台形状の僅かな抉り部を設けているのに対して,引用意匠は,先端付近に,本体部全高の略2分の1の高さから後方向に直線状の傾斜辺を形成し,さらに,先端から本体部左右幅の略3分の1の位置から後端にかけて,略鉤状の抉り部を設けている点,
(c)背面視において,本体部の先端に傾斜面状を呈するアーム部を介して設けられた,凹陥部の外周面のアーム寄りの位置に,本願意匠は,短い棒状のレバーが設けられているのに対して,引用意匠には,レバーが設けられていない点,
(d)底面視において,本願意匠は,本体部裏面の先端寄り及び後端寄りのそれぞれの位置に,座金と係止するための掛け止め部が設けられているのに対して,引用意匠は,参考意匠1を参酌すれば,掛け止め部は設けられていない点,
がある。

第4 両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
1.形態について
(1)共通点の評価
共通点(A)及び(B)は,両意匠の骨格をなすともいえる点ではあるが,この種の物品においては,両意匠のような態様のものは,例を挙げるまでもなく,引用意匠の公開日前より見受けられる態様であって,両意匠のみに見られる格別特徴ある態様のものとは言い難く,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,微弱なものと言うほかない。

(2)相違点の評価
これに対して,両意匠の相違点に係る形態が生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。
すなわち,相違点(a-1)の,本体部上面の先端とアーム部上面の後端の態様の相違につき,本願意匠においては,本体部とアーム部を屈曲させたときに,本体部先端に設けられた細幅の屈曲片によって,本体部先端とアーム部先端との隙間が覆われることから,本体部とアーム部を回動自在に接続する内部のピン等が隠れて,すっきりとした印象を与え,この種物品においては,そのような態様のものは,本願出願前には見られないものであって,本願意匠のみに見られる特徴ある態様のものといえるのに対して,引用意匠においては,アーム部先端に細幅の屈曲片が設けられているものの,本体部とアーム部を屈曲させたときに,この種物品に数多く見受けられるように,本体部先端とアーム部先端との間に隙間が生じ,内部のピン等が視認され,煩雑な印象を与え,かつ,本体部上面の先端とアーム部上面の後端が位置する屈曲部は,物品全体の大きさからすれば,小さな範囲ではあるが,この種物品の機能上重要な部分であって,需要者の注意を強く惹く部分であることを勘案すれば,この相違点は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言わざるを得ない。
相違点(a-2)の上面の3つの透孔の形状の相違については,当該透孔は,扉の前後左右ないし高さを調整するためのネジが現れる部分であって,必然的に,長円形状や円形状等を呈するものと言え,本願意匠の当該透孔の形状も格別特徴あるものとは言えないことから,この点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
相違点(b-1)の本体部正面の先端部付近の態様につき,本願意匠に形成されたアーム部上面の傾斜角度と同角度の斜め段差部の態様は,この種物品においては,本願出願前には見受けられない特徴あるものと言えるのに対して,引用意匠は,単に平坦面状である点は,視覚的な印象を異にし,また,本体部の先端部付近は,前記のとおり,需要者の注意を強く惹く部分と言えることから,この相違点は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言わざるを得ない。
相違点(b-2)本体部正面の下縁の態様につき,本願意匠が,正面視において,左右両端部を略4分の1円弧状の隅丸状とし,中間部に,本体部左右幅の略2分の1の幅の略等脚台形状の僅かな抉り部を設けた態様は,本願出願前より見受けられるものであって,格別特徴あるものとは言えないが,引用意匠の態様とは,視覚的に明らかに相違するものであることから,この相違点は,両意匠の類否判断に少なからず影響を及ぼすものと言える。
相違点(c)の,本体部の先端に設けられた,やや深い凹陥部の外周面のアーム寄りの位置に,本願意匠が短い棒状のレバーが設けた点については,当該アームが格別特徴ある形態を有しているとも言えないことから,部分的な細部の相違であり,また,相違点(d)の,底面視において,本願意匠が本体部裏面の先端寄り及び後端寄りのそれぞれの位置に座金と係止するための掛け止め部を設けた点についても,需要者の目に付きにくい部分における相違であることから,(c),(d)いずれの点も両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱ではあるが,前記相違点(a)及び同(b)と相乗して生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言わざるを得ない。

2.小括
そうすると,両意匠の意匠に係る物品は共通するが,両意匠の形態において相違点が共通点を凌駕し,両意匠は,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠とは類似しないものである。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることができない。
また,本願について,他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-03-29 
出願番号 意願2011-19518(D2011-19518) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 渡邊 久美谿 季江 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 遠藤 行久
橘 崇生
登録日 2013-05-10 
登録番号 意匠登録第1472317号(D1472317) 
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