• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D4
管理番号 1275186 
審判番号 不服2012-23616
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-11-29 
確定日 2013-05-28 
意匠に係る物品 換気扇用パネル 
事件の表示 意願2010- 11723「換気扇用パネル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠

本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,平成22年(2010年)5月13日に出願されたものであって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「換気扇用パネル」とし,その形態を願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,特許庁意匠課が1995年9月29日に受け入れた,天井埋込形換気扇’95カタログ第19頁に所載の「換気扇」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HN07024082号)であって,その形態は,同カタログに掲載された写真により現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断

(1)本願意匠と引用意匠の対比

本願意匠の意匠に係る物品は,「換気扇用パネル」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「換気扇」であるが,その追記部分の記載からパネル部分についてのみを引用意匠としていると判断すれば,両意匠の意匠に係る物品は,いずれも換気扇のパネルに係るものであり,共通する。

次に,本願意匠と引用意匠の形態を対比する(以下,対比のため,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
まず,共通点として,パネルの全体は,正面視が正方形状の額縁状枠体であり,この枠体周辺部からスリット部にかけてなだらかな膨らみを形成し,枠体中央開口部に,18本の角材状連子子を設けてスリット部を形成した態様が認められる。

一方,相違点として,連子子の取付部位について,本願意匠は,枠体開口部の上下内壁面において,枠体前面から背面方向に傾斜面及び水平面を設け,その傾斜面中間部分から水平面中間部までの位置に連子子を立設させているのに対して,引用意匠は,連子子を枠体前面と同一の面となるように配設している点,パネルに占めるスリット部の割合について,本願意匠は,スリット部の面積がパネル全体の約43%であるのに対して,引用意匠は,スリット部の面積がパネル全体の約50%である点,枠体前面の膨らみ形状について,本願意匠の膨らみより引用意匠の膨らみがやや大きく厚みがある点,が認められる。

(2)本願意匠と引用意匠の類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

まず,両意匠は,いずれも換気扇用パネルであり,意匠に係る物品が共通する。

次に,換気扇用パネルの全体について共通しているとした態様は,引用意匠のほかにも多数見受けられ,このような換気扇の吸入口前面に付設するパネルの構成態様としてありふれたものであり,本願意匠と引用意匠のみがもつ共通点とは言えず,両意匠の類似性についての判断に与える影響も軽微なものにとどまるものであるから,これら共通点を総合したとしても,直ちに両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うことはできない。

これに対して,前記の各相違点は,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれあるという他ない。とりわけ,連子子の取付部位についての相違点は,本願意匠においては,その取付位置を枠体開口部の内壁面中間部分としているため,連子子全体が枠体前面より内側に入り込む態様となっており,引用意匠における連子子と枠体前面とがフラットに形成された態様とは全く異なる印象を与えるものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいものであり,この相違点のみによっても両意匠の類似性についての判断を左右する程のものと言える。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通するが,形態においては,本願意匠と引用意匠との間には,その基本的な形状を含めて共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を凌駕し,意匠全体としては視覚的印象を異にするというべきであるから,両意匠は類似するものということはできない。

3 結び

以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論とおり審決する。
別掲
審決日 2013-05-15 
出願番号 意願2010-11723(D2010-11723) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邊 久美 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 樫本 光司
江塚 尚弘
登録日 2013-06-07 
登録番号 意匠登録第1474086号(D1474086) 
代理人 稲葉 忠彦 
代理人 高橋 省吾 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ