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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L4 |
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管理番号 | 1275194 |
審判番号 | 不服2012-24795 |
総通号数 | 163 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-12-14 |
確定日 | 2013-06-11 |
意匠に係る物品 | 軒樋 |
事件の表示 | 意願2011- 18280「軒樋」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,平成23年(2011年)8月10日に出願されたものであって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「軒樋」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成12年(2000年)11月13日)に記載された意匠登録第1090729号(意匠に係る物品,軒とい)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠及び引用意匠は,いずれも「軒樋」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 次に,本願意匠と引用意匠の形態を対比する(以下,対比のため,引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし,引用意匠の「平面図」を90°回転させ,引用意匠の「左側面図」を「正面図」とする。)と,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 まず,共通点として,(A)全体は,一定の断面形状で長手方向に連続する薄板状長尺材からなり,水平状の底板部と,底板部正面側端部から上方外側へ傾斜して立設された正面壁面部,及び,底板部背面側端部からほぼ垂直状に立設された背面壁面部とを一体的に形成し,右側面視において上方に開放した略台形状としたものであって,(B)正面壁面部上端部及び背面壁面部上端部に,軒樋内側に向けて,取り付け部材に嵌合するための中空耳部を配設した点,(C)正面壁面部は,右側面視略平行四辺形状の枠体からなる壁面連結部によって,2つの壁面板を上下にずらして連結した態様とし,正面壁面部下方部分に,壁面連結部の底面部が段差部の底面部となる段差部を一段形成した点,が認められる。 一方,相違点として,(ア)正面壁面部下方部分に形成された段差部の配置が,本願意匠は,正面壁面部の約1/8の高さの位置に形成しているのに対して,引用意匠は,約1/3の高さの位置に形成している点,(イ)正面壁面部と背面壁面部との高さが,本願意匠は,正面壁面部の高さが背面壁面部の約1.3倍であるのに対して,引用意匠は,両壁面部の高さがほぼ同じである点,(ウ)底板部正面側角部の態様が,本願意匠は,鋭利な下向きの突起状辺部を有した角部であるのに対して,引用意匠は,突起のない鈍角の角部を形成している点,(エ)正面壁面部の傾斜が,本願意匠は,引用意匠より直立している点,(オ)右側面視略平行四辺形状の枠体の壁面連結部の態様が,本願意匠は,幅の狭い略平行四辺形状の枠体を縦に2つ配設した形状であるのに対して,引用意匠は,幅広のものを1つ配設した形状である点,(カ)正面壁面部上端部の中空耳部の態様が,本願意匠は,上面部に階段状の段差部をもつ右側面視クランク状の中空の枠体を,正面壁面部上端部の軒樋内側部分に1つ形成しているのに対して,引用意匠は,右側面視略鈎状の中空の枠体を,正面壁面部上端部から僅かに下がった位置の軒樋内側部分に1つ形成している点,(キ)背面壁面上端部の中空耳部の態様が,本願意匠は,右側面視略台形状の中空の枠体を,背面壁面部上端部の軒樋内側部分に1つ形成しているのに対して,引用意匠は,右側面視略D字状の中空の枠体を,背面壁面部上端部分の軒樋内側部分に1つ形成している点,が認められる。 (2)本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 まず,両意匠は,いずれも軒樋であり,意匠に係る物品が一致する。 次に,共通点(A)及び(B)における,壁面上端部内側に耳部を形成し,全体を右側面視上方開放状の略逆台形状とした態様は,引用意匠のほかにも多数見受けられ,軒樋の構成態様としてありふれたものであって,本願意匠と引用意匠のみがもつ共通点とは言えず,両意匠の類似性についての判断に与える影響は軽微なものにとどまるものである。また,共通点(C)の態様も,軒先設置後の使用時には全く見えない極めて部分的なものであるから,両意匠の類似性についての判断に与える影響も微弱なものであると言える。そして,これら共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対して,相違点(ア)ないし(エ)における各点については,両意匠の基調をそれぞれに形成しているものであって,両意匠の形態全体の美感を大きく異ならせるものであり,とりわけ,相違点のうちの本願意匠に係る底板部正面側角部の態様は,本願意匠に特徴的なものであるから,両意匠の類似性についての判断に大きな影響を及ぼすものである。また,相違点(オ)ないし(キ)も,上記の各相違点とともに,両意匠の類否性の判断に一定の影響を及ぼすものと言える。そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言うことができる。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものであるが ,形態においては,両意匠の間には,その基本的な形状を含めて複数の共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 4.結び 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-05-28 |
出願番号 | 意願2011-18280(D2011-18280) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 恭子 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
中田 博康 江塚 尚弘 |
登録日 | 2013-06-21 |
登録番号 | 意匠登録第1474986号(D1474986) |