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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F3 |
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管理番号 | 1276354 |
審判番号 | 不服2012-23203 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-11-22 |
確定日 | 2013-07-01 |
意匠に係る物品 | 往復葉書 |
事件の表示 | 意願2011-8799「往復葉書」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は,平成23年(2011年)4月16日の意匠登録出願に係り,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「往復葉書」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照) なお,往信部と同一平面への返信部の展開時における往信部の表面側を「表側」といい,そちら側の面を「表面」といい,それぞれの反対を「裏側」と「裏面」という。 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国に頒布された,特許庁発行の登録実用新案公報に記載の実用新案登録第3053926号における第3ページに所載の【図1】(b)に表された「往復葉書」のうち,郵便番号枠及び種別の記載等を除いた部分の意匠(以下,「引用意匠」という。)に類似するものと認められるので,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するというものであって,その引用意匠の形態は,同公報の図版に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) なお,各葉片の名称は,本願意匠と同じようにして名付ける。(例えば,「第1の添付片4」を「第3葉片」という。) そこで,本願意匠と引用意匠を対比し,検討すると,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,その形態は,全体が,縦長長方形の葉片を剥離可能に疑似接着した状態で3枚重ねにした往診部の横に,1枚の縦長長方形の葉片の返信部が連接して成る点において共通する。 他方,両意匠は,(1)構成する材料につき,本願意匠は,葉片が横に三連となった紙に,一枚の葉片(紙)を疑似接着フィルムによってはり付けたものであるのに対して,引用意匠は,葉片が横に五連となった紙を一枚用いて,その3番目と4番目の表裏をはり合わせたものである点,(2)往信時の表面態様(本願においては正面図の態様)につき,本願意匠は,第2葉片に記された文字が見えるように,第3葉片の上部に6個の貫通した円形孔が設けてあり,左辺には第4葉片がごくわずか見え,右辺には第2葉片がごくわずか見えるようにしてあるのに対して,引用意匠は,第3葉片の右側に第2葉片に記された文字が見えるように,第2葉片の幅より文字1列分第3葉片の横幅を短くしている点,(3)往信部につき,本願意匠は,横に三連となった紙を外三つ折り様にした一端葉片である第1葉片を往信部とし,1枚構成であるのに対して,引用意匠は,横五連の紙のうち3番目と4番目の葉片を表裏ではり合わせて往信部とし,2枚重ねである点,で主に相違する。 そこで,両意匠の共通点と相違点を検討すると,共通点は,4葉片式の往復葉書においてはありふれた共通点であって,類否判断に与える影響は限定的である。 一方,まず,相違点(2)は,本願意匠の態様も,引用意匠の態様も,どちらも,この種物品分野においてはごく普通の態様であって,本願意匠のものが本願独自の態様とも言えず,類否判断に与える影響はごくわずかであるが,その他の相違点が,類否判断に与える影響は大きいと言える。 すなわち,相違点(1)により,本願意匠は,葉書4枚分の面積の紙が必要であるのに対して,引用意匠は葉書5枚分の面積の紙が必要であり,往復葉書の需要者である印刷業者にとって,印刷時の態様が大きく異なることから,注意を強く引く相違点と認められ,両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きい。 相違点(3)については,返信時に往信部(本願意匠にあっては,第1葉片。引用意匠にあっては,はり合わされた3番目と4番目の葉片)を切り離す際,本願意匠では一重の紙であり,切離しが容易であるのに対し,引用意匠では,2枚重ねであり,切離しがやや困難であり,使用者に,その厚み感も含め,相違が意識されるものであり,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えると考えられる。 以上の点により,前記共通点が醸し出す印象をしのいで,見る者に両意匠が別異であるとの印象を与えるところとなっている。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものといえる。 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-06-19 |
出願番号 | 意願2011-8799(D2011-8799) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清水 玲香 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 中田 博康 |
登録日 | 2013-07-12 |
登録番号 | 意匠登録第1476802号(D1476802) |
代理人 | 安藤 惇逸 |