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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B7
管理番号 1277758 
審判番号 不服2013-2062
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-04 
確定日 2013-07-12 
意匠に係る物品 立体フェイスマスク 
事件の表示 意願2011- 9987「立体フェイスマスク」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成23年(2011年)年4月28日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「立体フェイスマスク」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁が平成21年(2009年)10月19日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1371301号「立体フェイスマスク」の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,両意匠は,いずれも顔をパックする際に用いられる化粧水等が含浸されたシート状の「立体フェイスマスク」であり,意匠に係る物品が一致する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(1)共通点
(A)全体を顔の左右それぞれの半分に対応する左右対称で同大の一対のシートを重ねて顔の正中線に沿う端縁を加熱又は加圧処理により接着し,口の部分を正面視倒U字状に切り欠いたものである点,(B)接着した部分(以下,「接着部」という。)は,正面視において顔の正中線と直角となるように並設された横方向の小さな凹凸状によって形成され,鼻の下の切り込み部分及び口の切り欠き部分には設けられていない点,(C)目頭及び目尻付近に短い切り込み線を設けた点,において主に共通する。
(2)差異点
(ア)額及び鼻の正中線において,本願意匠は,額の上部及び鼻筋の部分に接着部を設けておらず,左右のシートが使用時の開いた状態で,当該部分が重なる部分となるのに対して,引用意匠は,額の上部及び鼻筋の部分にも接着部を設け,使用時の開いた状態で重なる部分は有していない点,(イ)正面視した鼻の外形状について,本願意匠は,鼻筋が鷲鼻状で前方側に突出し,鼻孔部のラインは斜め直線状で,鼻の下との間に僅かに斜め「V」字状の隙間があるのに対して,引用意匠は,鼻筋が真っ直ぐで,鼻孔部のラインの傾斜が急で小鼻部分に隅丸「L」字状に切り込みがある点,(ウ)顎の左右の外縁と耳下の部位において,本願意匠は,外側に弧状に突出し切り取り線を設けた部分(以下,「弧状突出部」という。)を有しているのに対して,引用意匠は,弧状突出部を有していない点,(エ)外縁部について,本願意匠は,上端部が直線状で,こめかみ部付近を僅かな斜め弧状部とし,頬の上を円弧状とし,弧状突出部の下方から顎の下までを円弧状とする複雑な形状で,こめかみ部,頬部,顎の左右部分に,内側に向かう直線状の切り込み線を設けているのに対して,引用意匠は,外縁部が緩やかな略逆倒「つ」の字状の弧状で頬の下付近に略逆「へ」の字状に先端が曲がった切り込み線を設けている点,(オ)目の周囲について,本願意匠は,目の左右と上部に目に沿う切り込み線を設け,下側を切り離さず,目頭には斜め上下に切り込み線を設けているのに対して,引用意匠は,目の周囲は略楕円形状の孔とし,目頭には横方向にのみ切り込み線を設けた点,において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)は,両意匠の全体形状を概括的に捉えたものに過ぎず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいというほかなく,また,共通点(B)及び同(C)は,この種の物品の分野においては,他の意匠にも見られる,ありふれた態様であり,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,差異点(ア)は,額の上部及び鼻筋の部分に接着部を設けておらず,左右のシートが使用時の開いた切り離された状態で,当該部分が重なる部分となる本願意匠の態様は,使用状態参考図に示されるように,顔により密着することができるもので,本願意匠のみに見られる特徴的な態様であるのに対して,そのような特徴のない引用意匠とは,需要者に別異な印象を与えるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)は,正面視した鼻の外形状についての差異であるが,鼻の外形状は,この種のフェイスマスクの分野において,鼻のラインがどのような態様であるかは,需要者が強く注意を惹く点であり,前記差異点(ア)に係る態様と相俟って,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)は,弧状突出部の有無における差異であるが,突出部を外縁部に設けることは,ありふれた態様といえるもので,本願意匠のみの格別の特徴とはいえないが,本願意匠の弧状突出部の形状や位置は,他に同様なものは見当たらず,本願意匠の特徴といえるもので,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
そして,差異点(エ)の外縁部の形状の差異と切り込み線の数の差異については,外縁部の形状は,顔の中心部の態様に比較すれば印象が薄い部分ではあるが,その差異が全体の面積を左右するものであって,無視することはできず,切り込み線の数については,使用時に需要者が注意を払う部位であることから,前記差異点(ア)及び同(イ)に係る態様と相俟って,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
さらに,差異点(オ)の目の周囲について,目の周囲を切り離さず切り込み線だけとすることも,孔部とすることも,いずれもありふれた態様といえるものであり,また,目頭の切り込み線の差異は,細部に係るものであって,目立つ差異とはいえないが,前記差異点(ア)及び同(イ)に係る態様と相俟って,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

4.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-06-19 
出願番号 意願2011-9987(D2011-9987) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 小林 裕和 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 中田 博康
江塚 尚弘
登録日 2013-08-16 
登録番号 意匠登録第1479509号(D1479509) 
代理人 特許業務法人あーく特許事務所 
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