• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7
管理番号 1277770 
審判番号 不服2013-3236
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-20 
確定日 2013-07-26 
意匠に係る物品 ベッド 
事件の表示 意願2011- 11695「ベッド」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠

本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,平成23年(2011年)5月25日に出願されたものであって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ベッド」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成19年(2007年)5月7日)に記載された意匠登録第1299200号(意匠に係る物品,ベッド)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断

(1)本願意匠と引用意匠の対比

本願意匠及び引用意匠は,いずれもベッドに係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

次に,本願意匠と引用意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

まず,共通点として,(A)全体は,上下が開口した略矩形枠体状のベッド本体部に,その約2倍の高さとなる背面視略饅頭形状の板体のヘッドボード(以下,「ヘッドボード部」という。)を取付け,サイドフレーム前面部,フットボード前面部及びヘッドボード背面部を,ベッドの四隅部分で縫い合わせた合成皮革で被覆して,その内部にウレタンを挿入して断面視略円弧状の膨らみを形成し,ベッド全体を平面視隅丸矩形状に形成したものであって,(B)ヘッドボード左右上端部からサイドフレーム背面側上端部へなだらかに連続させ,正面視及び平面視が共に円弧状となるよう形成している点,(C)ヘッドボード部正面側に,表面に略円弧状の継ぎ目を対称的に2つ表した,断面視略翼形状の背もたれ(以下,「背もたれ部」という。)を,斜めに立て掛けて配設している点,(D)ベッド本体上部に,略矩形状の床板を2つ配設している点,(E)ベッドの底面部において,その四隅部分に略扁平円板状の脚部を1つずつ配し,その中央部分に丸パイプを横コの字状に屈曲して構成したベッド支持部を1つ配設した点,が認められる。

一方,相違点として,(ア)ヘッドボード部の背面視の態様が,本願意匠は,底面部を直線状とし,上面部を円弧状に膨らませた略饅頭形に形成しているのに対し,引用意匠は,底面部及び上面部を直線状とし,側面部を円弧状に膨らませた略扁平矩形状に形成している点,(イ)背もたれ部の上面部の態様が,本願意匠は,ヘッドボード上面部の態様に合わせ,円弧状に膨らませて形成しているのに対し,引用意匠は,ヘッドボード上面部の態様に合わせ,直線状に形成している点,(ウ)フットボード上面部の態様が,本願意匠は,ベッドの先端部に向かって下方に傾斜した形状としているのに対し,引用意匠は,そのような傾斜を形成していない点,(エ)略矩形状の床板の配置態様が,本願意匠は,床板をサイドフレーム上端部から一段下がった位置に配設しているのに対し,引用意匠は,床板をサイドフレーム上端部と同じ高さに配設している点,(オ)革張りの縫い合わせ部分の態様が,本願意匠は,平行する3本線にて表されているのに対して,引用意匠は,1本の線と,その線の両側に各1本のランニングステッチが沿うように表されている点,が認められる。

(2)本願意匠と引用意匠の類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

まず,両意匠は,いずれもベッドに係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

次に,共通点(A)ないし(C)における,サイドフレーム前面部,フットボード前面部及びヘッドボード背面部に断面視略円弧状の膨らみを形成し,ヘッドボード左右上端部からサイドフレーム背面側上端部へなだらかに連続させた形態とし,フットボード前面部に背もたれ部を傾斜して設け,ベッド全体を平面視隅丸矩形状に形成した態様は,本願出願前より既に見受けられる態様(例えば,意匠登録第956917号のベッドの意匠(参考意匠1:別紙第3参照)。)であって,両意匠のみに共通する特徴的な態様とは言えず,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は軽微なものであると言うほかない。また,共通点(D)の略矩形状の床板を2つ配設した態様も,引用意匠のほかにも多数見受けられるありふれたものであり,本願意匠と引用意匠のみがもつ共通点とは言えず,両意匠の類似性についての判断に与える影響は微弱なものにとどまるものである。また,共通点(E)の態様も,ベッド設置後の使用時にはほとんど見えない極めて部分的な部位に係るものであるから,両意匠の類似性についての判断に与える影響も微弱なものであると言える。そして,これら共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対して,相違点(ア)ないし(エ)における各点は,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであり,両意匠の基調をそれぞれに形成しているものであるから,両意匠の形態全体の美感を大きく異ならせるものと言える。とりわけ,相違点(ウ)及び相違点(エ)のフットボード先端を斜めに切り欠いた形状及び床板をサイドフレーム上端部から一段下がった位置に配設したことにより,床板が切り欠いたフットボードの高さと一致する点は,本願意匠にのみ表れる特徴的なものであるから,両意匠の類似性についての判断に大きな影響を及ぼすものである。また,相違点(オ)も,縫い目に係る細部における差異ではあるが,上記相違点とともに両意匠の類似性の判断に一定の影響を及ぼすものと言える。そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言うことができる。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものであるが,形態においては,両意匠の間には,その基本的な形状を含めて複数の共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

4.結び

以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-06-25 
出願番号 意願2011-11695(D2011-11695) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内藤 弘樹樫本 光司 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
中田 博康
登録日 2013-08-23 
登録番号 意匠登録第1480127号(D1480127) 
代理人 平山 俊夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ