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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1277771 
審判番号 不服2013-4979
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-15 
確定日 2013-08-05 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2012- 5534「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2011年9月30日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴い,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)3月12日付けの出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各図面のタイヤ表面に見られる梨地状の複数の点は,タイヤを立体的に表現するためのものであって,権利を要求する意匠の構成要素ではない。」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠実線部分」という。)である。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁普及支援課が2010年3月4日に受け入れた米国特許商標公報2010年2月9日10W06号所載の「自動車用タイヤ」の意匠(以下,「引用意匠」という。)の本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(以下,本願意匠実線部分に相当する引用意匠の部分を「引用意匠相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の対比

(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠は,いずれも「自動車用タイヤ」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

2.本願意匠実線部分と引用意匠相当部分(以下,「両意匠の部分」という。)の対比

(1)両意匠の部分の用途,機能,位置,大きさ及び範囲
両意匠の部分の用途及び機能は,いずれも全体が環状体をなす自動車用タイヤの,サイドウォール部分を除いたトレッド部分及びショルダー部分であるから,両意匠の部分の用途,機能,位置,大きさ及び範囲は,共通する。

(2)両意匠の部分の形態
両意匠の部分の形態を対比する(以下,対比のため,引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし,引用意匠の「FIG.1」を左に90°回転させ,「斜視図」とし,引用意匠の「FIG.2」を「正面図」とし,引用意匠の「FIG.3」を「背面図」とし,引用意匠の「FIG.4」を「右側面図」とし,引用意匠の「FIG.5」を「左側面図」とする。)と,主として以下の共通点及び相違点が認められる。

まず,共通点として,(A)全体は,左右角部を丸く落とした正面視略隅丸矩形状タイヤのトレッド部を,周方向に施した4本の縦溝で5つの区画に分割し,それぞれの区画について,中央の区画を「中央区画」,その両側の区画を「左右中間区画」,外側の区画を「左右ショルダー区画」とし,(B)中央区画は,細幅帯状体とし,その左辺から中央付近まで細溝を一定間隔で形成した点,(C)正面視左側の左中間区画は,中央区画と同程度の細幅帯状体とし,これを斜めに横断する細溝を中央区画の細溝と同一間隔で形成した点,(D)左右ショルダー区画は,中央区画より幅のある帯状体とし,タイヤ左右端部から対辺付近まで太い横溝を一定間隔で形成している点,(E)中央区画,左中間区画及び左ショルダー区画に施された溝部の態様を,左ショルダー区画に施された太い溝は横方向に形成し,左中間区画に施された細溝は右上がりの斜め方向に形成し,中央区画に施された細溝は,左中間区画の細溝と同様に,右上がりの斜め方向に形成した上で,これらの溝部が右上がりの一つの曲線をなし,2本の周方向の縦溝で分断されたように見えるように,各溝部の端部の位置を合わせて配設している点,が認められる。

他方,相違点として,(ア)正面視右側の右中間区画の態様について,本願意匠実線部分は,細溝のない平滑面とし,細幅帯状体左辺に僅かな切り欠き部を一定間隔で形成しているのに対し,引用意匠相当部分は,細幅帯状体の約1/3の長さの右上がりの斜め方向の細溝を,細幅帯状体左辺から形成し,細幅帯状体の約1/4の長さの右下がりの斜め方向の細溝を,細幅帯状体右辺から,左辺側に形成した細溝と1/2ずれる位置に,形成した点,(イ)左ショルダー区画の態様について,本願意匠実線部分は,横方向に一定の間隔で形成した太い横溝の間に,左側面視略直角三角形状の凹部を1つずつ形成しているのに対し,引用意匠相当部分には,そのような凹部がない点,(ウ)中央区画の態様について,本願意匠実線部分は,細溝より細いサイピングを,細幅帯状体の左辺から中央付近まで,右上がりの斜め方向に形成しているのに対し,引用意匠相当部分は,細溝を,本願意匠実線部分と同様の位置に形成している点,(エ)正面視左側の左中間区画の態様について,本願意匠実線部分は,細幅帯状体左辺に平面視略三角形状の溝部を一定の間隔で配し,その三角形状の溝部頂点部分から右辺にかけて,より細いサイピングを右上がりの斜め方向に形成しているのに対し,引用意匠相当部分は,右上がりの斜め方向に形成した細溝の細幅帯状体左辺部分をやや広げて形成している点,(オ)トレッド部の各区画の大きさについて,本願意匠実線部分は,周方向に施した縦溝よりやや幅広に,中央区画及び左右中間区画を形成し,中央区画の約2倍の幅となるように左右ショルダー区画を形成しているのに対し,引用意匠相当部分は,幅広の縦溝の約3倍の幅で中央区画及び左右中間区画を形成し,中央区画の約1.5倍の幅となるように左右ショルダー区画を形成している点,(カ)周方向に施した各縦溝の幅について,本願意匠実線部分は,4本の縦溝が全て同じ幅なのに対し,引用意匠相当部分は,幅広の縦溝3本の右側に,幅の狭い溝を1本形成している点,(キ)右ショルダー区画の態様について,本願意匠実線部分は,中央区画より幅のある帯状体左辺に,太い横溝の間の位置となるように僅かな切り欠き部を1つずつ形成しているのに対し,引用意匠相当部分は,右下がりの斜め方向の短い細溝を,本願意匠実線部分の切り欠き部と同様の位置に形成している点,(ク)縦溝に形成されたスリップサインについて,本願意匠実線部分には,何も表されていないのに対し,引用意匠相当部分は,各縦溝の正面側及び背面側に1つずつスリップサインを形成している点,が認められる。

(3)両意匠の部分の類否判断
そこで,両意匠の部分におけるこれらの共通点と相違点を検討する。

まず,共通点(A)は,両意匠のトレッド部の態様を概括したにすぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の部分の類否判断を決定するものとすることはできない。次に,共通点(B)ないし(E)の細溝の態様については,本願出願前より既に見受けられる態様(例えば,特許庁普及支援課が2009年9月3日に受け入れた,中華人民共和国意匠公報(発行日:2009年8月19日)に所載の「自動車用タイヤ」(公開番号CN300985298)の意匠(参考意匠1:特許庁意匠課公知資料番号第HH21005886号,別紙第3参照))であるから,両意匠のみに共通する特徴的な態様とは言えず,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであると言うほかない。そして,これら共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対して,相違点(ア)については,トレッド部に溝の全くない平滑な細幅帯状体の存在は,全面に溝を形成したといった視覚的印象を与える引用意匠とは大きく異なる点であり,両意匠に別異の印象を与えるものであるから,相違点(ア)は,両意匠の類似性についての判断に大きな影響を及ぼすものである。次に,相違点(イ)についても,需要者の注意を強く惹く側面部分に施された本願意匠実線部分のみに見られる特徴であるので,この相違点が,両意匠の類否判断に与える影響も大きいものと言える。また,相違点(ウ)及び相違点(エ)については,サイピングと細溝との違いは,機能上重要な違いがあることから需要者の注意を惹く部分であり,見た目も異なるから両意匠に別異の印象を与え,これらの相違点も,両意匠の類似性についての判断に一定の影響を及ぼすものである。そして,相違点(オ)についても,この種物品においては,トレッドパターンが同様で断面幅が異なるサイズのタイヤが生産されてはいるものの,中央区画及び左右中間区画に対する左右ショルダー区画の大きさの違いは,看者に両意匠が別異であるとの印象を与えるものであるので,この相違点も,両意匠の類似性についての判断に一定の影響を及ぼすものである。さらに,相違点(カ)についても,この種物品では縦溝も注目される部位であり,その幅の違いは看者に両意匠が別異であるとの印象を与えるものであるので,この相違点も,両意匠の類似性についての判断に一定の影響を及ぼすものである。最後に,相違点(キ)及び相違点(ク)についても,僅かな違いではあるが,上記の各相違点とともに,両意匠の類似性の判断に一定の影響を及ぼすものと言える。したがって,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言うことができる。

3.両意匠の類否判断

本願意匠と引用意匠に係る物品については,一致し,両意匠の部分の用途,機能,位置,大きさ及び範囲については共通しているが,両意匠の部分の形態については上記のとおり類似しないものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-07-22 
出願番号 意願2012-5534(D2012-5534) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
中田 博康
登録日 2013-08-16 
登録番号 意匠登録第1479753号(D1479753) 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
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