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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 審判 査定不服 意9条先願 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1277776 |
審判番号 | 不服2013-1797 |
総通号数 | 165 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-01-30 |
確定日 | 2013-08-13 |
意匠に係る物品 | 包装用缶 |
事件の表示 | 意願2012-3961「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 (1)本件意匠出願 本願は,平成24年(2012年)2月24日付けの意匠登録出願であって,出願当初は,願書の「本意匠の表示」の欄に「意願2012-1683」と記載した,意匠法第10条第1項の規定による関連意匠として意匠登録を受けようとするものであった。 しかし,その後,本件審判請求人(本件に係る意匠登録出願人)は,平成25年7月12日付け手続補正書の提出によって,願書の「本意匠の表示」の欄の記載内容を「意願2012-3960」に変更する補正をしたものである。 (2)本願意匠 本願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用缶」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面代用の写真に現されたとおりとするものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前に特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第1140109号(意匠に係る物品,包装用缶)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 [A] 原査定の適否 まず,原査定における拒絶の理由と,その際に引用された意匠について検討し,原査定の適否を判断する。 (1)両意匠の共通点 本願意匠と引用意匠を対比すると,意匠に係る物品は,共に「包装用缶」であって一致し,その形態は,全体形状を縦長円筒形状としたものであって,胴部上側に1本,胴部下側に2本,の計3本の水平方向の溝(請求理由で言うところの「ビード」。)を設けて,胴部周面を上下に4つに分割(以下,分割された周面を上方より「第1面」ないし「第4面」という。)している点,で共通する。 (2)両意匠の相違点 それに対して,具体的構成態様において,(A)溝の断面形状につき,本願意匠は,平坦部との接合稜部が丸面状であり,相対的に幅が狭く浅いのに対して,引用意匠は,該部が角張っており,相対的に幅が広く深い点,(B)溝の配置につき,本願意匠は,胴部上側に1本,胴部下側に2本設けているのに対して,引用意匠は,上側ネックイン部に1本,胴部上側に1本及び胴部下側に2本設けている点,(C)周面の構成につき,本願意匠は,第1面と第4面の幅を同じにし,下端の第4面から上の第2面へと,小・中・大と,順に面積を大きくしているのに対して,引用意匠は,第1面と第4面の幅を同じにし,第3面の幅をそれらの半分弱にしている点,において主な相違点が認められる。 (3)類否判断 本願意匠と引用意匠を比較すると,共通点は両意匠の態様を極めて概括的に捕らえたに過ぎず,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいということはできないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできないのに対して,具体的構成態様に係る相違点(B)及び(C)によって,本願意匠の胴部周面には,第1面と第4面に同幅の面が現れて,同時に第4面から第3面,第2面へと下から順に面積が大きくなるというリズム感を持った上での,一定のまとまりある統一感が存在し,それが,本願意匠の特徴の一つになっているのに対して,引用意匠は,下端平坦部(第4面)の上に,この平坦部より幅広の部分に2本の溝とそれに挟まれた極細平坦部(第3面)による凹凸条部を設けた態様であって,これらの胴部下側の態様の違いを含めた胴部周面の違いは,平坦部と溝との限られた形態要素で構成される中にあっては,それぞれの特徴をなすものとして,看者の注意を引くものであり,胴部上側の態様の違いも一定程度看者の注意を引くものであることを考慮すると,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいといえる。 以上の点により,前記共通点が醸し出す印象をしのいで,見る者に両意匠が別異であるとの印象を与えるところとなっている。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものといえる。 (4)小括 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 [B] その他の審理 (1)審理結果 当合議体が,先行意匠調査等を行った結果を基に,当審が更に審理した結果,以下のとおり判断した。 (i)本願の意匠は,「上端に1段,下側に2段の,計3段の同幅の面が現れる」という,本意匠の特徴点を持ち合わせていない,という理由で,出願時に本意匠として願書に記載されていた意願2012-1683の意匠とは類似していないものと認められる。 (ii)水平方向の溝を設けて,胴部周面を上下に,4つに分割して現れた面のうち下側3面が,下端から,小・中・大と,順に面積が大きくなっている点で共通感がある,という理由で,本願意匠と意願2012-3960(不服2013-1796)の意匠は類似すると認められる。 (2)指令書 上記の審理結果を踏まえて,特許庁長官は,意匠法第9条第4項の規定に基づいて,平成25年6月26日付けで,意匠法第9条第2項に定められた協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じる指令書を送付した(発送日:平成25年7月2日)。 (3)手続補正書 これを受けて,審判請求人は,平成25年7月12日付け手続補正書の提出によって,願書に記載した「本意匠の表示」の欄の記載を「意願2012-3960」に変更する補正をした。 なおかつ,同日の平成25年7月12日に,意願2012-3960(不服2013-1796)について,本意匠とする補正(本意匠の表示を削除する補正。)をした。 (4)小括 以上のとおりであって,今現在,意匠法第9条第4項の規定に定められた協議の結果の届け出がないが,前記2つの補正により,実質的に協議が成立したものと認められる。 よって,本願意匠は,意願2012-3960を本意匠とする関連意匠として,意匠登録を受けることができるものとなった。 4.結び また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-07-26 |
出願番号 | 意願2012-3961(D2012-3961) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
D 1 8・ 4- WY (F4) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 並木 文子 |
特許庁審判長 |
川崎 芳孝 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 中田 博康 |
登録日 | 2013-08-30 |
登録番号 | 意匠登録第1480767号(D1480767) |
代理人 | 特許業務法人創成国際特許事務所 |